高熱で立っているのもやっとだった。それでも義母に「夕食を作れ」と言われて、冷凍食品を出すのが精一杯だった。すると義母は私に花瓶を投げつけ、「火事場泥棒が家事サボっていいのか?」と叫んだ。私はこれまでのいびりに耐えかねて、ついに言い返してしまった。その瞬間、夫が静かにこう言ったんだ。「母さん、もう知ってるんだぞ。」まさか夫がそこまで知っていたなんて、思いもしなかった。義母の顔が一瞬で歪んだ。…

高熱で立っているのもやっとだった。それでも義母に「夕食を作れ」と言われて、冷凍食品を出すのが精一杯だった。すると義母は私に花瓶を投げつけ、「火事場泥棒が家事サボっていいのか?」と叫んだ。私はこれまでのいびりに耐えかねて、ついに言い返してしまった。その瞬間、夫が静かにこう言ったんだ。「母さん、もう知ってるんだぞ。」まさか夫がそこまで知っていたなんて、思いもしなかった。義母の顔が一瞬で歪んだ。...

高熱で意識がぼんやりする中、それでも私は夕食の支度をしなければならなかった。義母ののり子さんが、一日中家事をやらせてくるからだ。体は重く、立っているのもやっとだった。

「ご飯までに掃除を終わらせといて。普通ならできるでしょ。」

のり子さんの「普通」は、いつも私にとっての「無理難題」だった。仕事で疲れ果てていることなんて、関係ない。私は家に帰ってからも、休む間もなく掃除をさせられていた。自分が専業主婦で時間があるのに、なぜ私がやらなければならないのか。そんな不満は飲み込みながら、私はただ頷くしかなかった。

結婚する前、私は同居生活に不安なんてなかった。母が祖父母と良好な関係を築いていたから、それが当たり前だと思っていた。夫のカイトも、義父の三男さんも優しい人で、私の味方だと思っていた。だけど、のり子さんだけは違った。出会った瞬間から、私は彼女の標的になっていた。

「あんた呑気すぎない?今までの人生は何をやってきたの?」

そう言われても、私は謝るしかなかった。カイトに心配をかけたくなかったから。義父にも迷惑をかけたくなかったから。のり子さんはどんどんエスカレートしていく。自分の部屋を片付けているだけで怒られ、やり方を聞けば「自分で考えたら」とそっけない返事。私はどうしていいか分からず、ただ耐える日々が続いた。

そして、ついに我慢の限界が来た。熱で倒れてしまったのだ。それでも家事は免除されなかった。私は冷凍食品を使って夕食を作った。いつもはきちんと作っているのに、今日ばかりは許してくれるだろうと思った。そんな私の甘い考えは、すぐに打ち砕かれた。

食卓に並んだ料理を見て、のり子さんの表情が変わった。席を立ち上がると、いきなり花瓶を掴んで私に向かって投げつけた。

「嫁が家事サボっていいのか?」

花瓶は私には当たらなかったが、バリンと割れる大きな音に私は耳を塞いだ。そして、のり子さんは私のことを「嫁」ではなく「火事場泥棒」と呼んだ。その言葉に、私は瞬間的に殺意すら覚えた。今まで受けてきたすべてのいびりが、この一言で一気に爆発した。

「今まで家事もせずに何不自由なく暮らせてきたのは、誰のおかげだと思っているんですか?私ですよね!」

私は声を荒げた。今まで黙っていたカイトと三男さんが驚くのも構わなかった。のり子さんは逆ギレし、同じ言葉を繰り返すだけだった。

「急にどうしたの?花瓶を投げたから気がおかしくなったのかしら?」

「お母さんの言動は指導ではなく、ただのいびりですよ。」

そう言い放つと、のり子さんはさらにヒステリックに叫び始めた。カイトにふさわしいかどうか、などという言葉も飛び出した。私は反射的に言い返した。

「カイトにふさわしいかどうかは、カイト自身が決めることです。私が言われる筋合いはありません。」

その時、ずっと黙っていたカイトが口を開いた。

「もう母さん、いい加減にしろ。ずっとマナのこと苦しめていたの知ってるんだからな。」

「あら、カイトまで結婚しておかしくなったのかしら。いつ私が苦しめたって言うの?」

「新婚当初から、マナが怒鳴られているのを聞いてたんだよ。俺は気づいてた。だから三男さんに相談して、盗聴機を仕掛けたんだ。」

私は衝撃を受けた。まさかカイトが、そんなことをしていたなんて。のり子さんが私をいびる声は、すべて録音されていた。それを知って、私は少しだけ胸が軽くなった。一人じゃなかったんだと思えたから。

三男さんも話し始めた。

「のり子、俺も全部知ってる。お前とはもう限界だ。離婚しよう。」

のり子さんは顔面蒼白になり、必死に言い訳をした。けれど、カイトはさらに追い打ちをかけた。

「悪いけど、さっきマナに花瓶を投げた様子も録画させてもらったから。」

のり子さんは完全に黙った。あの大きな花瓶がもし当たっていたら、私はもしかしたら大怪我をしていたかもしれない。そうなれば、のり子さんは犯罪者になっていただろう。カイトと三男さんは、最初から私を守るために動いてくれていたのだ。

「警察に通報しろってことになる前に、家を出ていけよ。」

三男さんのその言葉に、のり子さんは何も言えなくなった。カイトが録音内容を警察に提出すると言うと、のり子さんは慌てて家を飛び出していった。

その後、三男さんは無事にのり子さんと離婚した。私はカイトと三男さんと三人で暮らし始めた。のり子さんがいない家は、信じられないくらい静かで平和だった。一人で抱え込んでいた家事も、三人で協力して行うようになった。

実家にも帰れるようになり、友達にも会えるようになった。のり子さんに縛られていた時間が嘘のように、私は自由を手に入れた。これからは、この二人と穏やかな日々を続けていきたい。私はそう強く願った。

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