「ねえ、あなた、何か知ってるんじゃないの?」
私は夫をまっすぐ見据えてそう言った。彼の顔が一瞬で強張るのを見逃さなかった。
「いや、知らないぞ。あの連中のことなんて。ていうかお前、何か知ってるのか?」
「おかしいわね。心当たりがあるはずよ。だってあなた、身分を偽ってママ活してたんでしょ。たくさんの女性からお金を騙し取っていたそうじゃない」
「そこまでバレてたのか…。嘘だろう」
この事実を知ったのは、夫の浮気の証拠を掴むためにボイスレコーダーを使い始めてからだった。私が購入したボールペン型のボイスレコーダーは、35時間もの連続録音が可能だった。その機能を生かし、私はリビングにそれを置いておいた。
結果、夫がママ活相手に電話している会話も見事に録音されていたというわけだ。
探偵事務所への依頼は、夫と姉の浮気調査のためだった。しかしそこで夫がママ活相手を騙していることも明らかになった。そこで私がとった行動は、ママ活相手に接触することだった。全員に夫の本性をさらしたことで、ママ活相手たちは騙されていた事実に気づいたのだ。
以前、夫は私にこう言っていた。「前みたいな凡人代わりなんていくらでもいる」と。
その「代わり」がママ活相手たちであることを知った時、私は彼が本当に救いのないバカだと呆れ果てた。
ちなみに、ママ活相手を追いかけている男性たちというのは、ママ活相手の旦那さんたちよ。向こうは向こうで大変みたいだけどね。
夫は私の言葉に恐れを抱いたように震えた。
「ま、お前、そこまでやるのか?そんなことして、向こうから訴えられる可能性もあっただろ」
「そうかもしれないわね。でもそれも覚悟のうちよ。私は絶対に許せなかった。自分の欲望を満たすために家族を裏切ったあなたが」
「代わりなんていないのよ。一人一人に人生があるの。いらなくなったら捨てるなんてありえない。自分を中心に世界が回ってると思わないで」
私は夫をまっすぐに見据えて言い放った。すると彼はうつむき、震え始めた。私が思っていた以上に追い詰められている様子だった。
隣で見ていた義両親はため息をつくばかり。すると夫は膝をついて義両親に懇願し始めた。
「父さん、母さん、お願いだ。俺をかばってくれ。俺を追いかけている連中の中に、やばそうなやつがいるんだよ。何をされるかわからないんだ。家族なら助けてくれよ」
「俺ははっきりと覚えているぞ。俺は一人で生きていける。両親がいなくても何ひとつ困らない。忘れたとは言わないよな」
「最後の最後まで、あなたは自分の身が可愛いのね。まきさんの気持ちを踏みにじっておいて、自分が困ったら手のひら返し。世の中そんなに甘くないわよ」
「そんなひどいこと言ってないって。俺は父さんと母さんがいないと生きていけないよ」
その瞬間、私はボールペンを掲げてやった。そして無言の圧力で夫に訴えかけた。あの日の出来事はすべて録音済みよ。
すぐに夫も察したようで、だらだらと冷や汗をかき始めた。
「俺が全部悪かったんだ。認めるから、誰か助けてくれ」
その言葉が虚しく響くだけで、誰も手を差し伸べない。夫は足を引きずるようにして義実家を後にした。
その後、夫は最悪の結末を迎えることになる。男たちから逃げるために会社にも行けず、地元から姿を消した。しかしママ活相手の旦那さんたちは執拗に夫を追いかけた。何度も助けを求めるメールが届いていたが、私は助けることもブロックすることもなく、ただ眺めるだけだった。
夫はママ活相手たちにも助けを求めたらしいが、当然誰も助けない。彼女たちにとって夫は退屈な日常を満たすためだけの道具。夫こそ何かの代用品だったのかもしれない。
彼にとってはふさわしい末路と言えるだろう。今さら悔やんだところで遅すぎるし、はっきり言って自業自得だ。「因果応報の報いを受けるべきだ」と私は小さくつぶやいた。
一方、あれから姉も地元から離れ、新しい生活をスタートさせた。ただ時折り帰ってきては何度も頭を下げてくれる。
「お姉ちゃん、やっぱりすぐには許せない。一度なくした信用というものは簡単には取り返せないから。でも反省していることは伝わってる。昔のように笑い合える日が来るって信じてる」
姉の泣き声を聞いて、私も思わず涙がにじんだ。
この時、ふと夫が言っていた言葉を思い出した。「大事なことは直接伝えないと意味がない」と。
行動で示すことが間違っているとは思わない。でも時には言葉で伝えることが必要だ。もっと早く気持ちを言葉にできていたら、違った未来もあっただろう。
自分の殻を破って変わりたい。そう私は思うのだった。
—
「まき、今日は大事な親族との食事会だ。いいか、俺に絶対恥をかかすなよ。分かったら親族全員にただでサービスしてこい。お前は火葬場の火屋みたいなもんだからな」
夫の言った通り、今日は親族の食事会だ。私や夫の義両親を含めて15人。義実家は穏やかな雰囲気に包まれ、みんな楽しそうだ。
そんな中、夫は私を台所に呼び出し、いつも通りこき使おうとした。でも私はこう返す。
「ただでサービスしてこい、ね。もう料金はいただいたよ。だからその分きっちり働いてくるね」
「料金はいただいた?何言ってんの?お前はいつも通り『はい』って言ってればいいんだよ」
「本当だよ。300万円振り込んでもらったから、火屋として親族の皆さんにサービスしてくるね」
そう告げて台所から居間に向かおうとしたが、夫は私の腕を掴み、険しい顔を見せた。
「お前、その態度は何だ?300万円振り込んでもらったとか適当なこと言いやがって。大体誰がお前なんかに300万円も金を出すんだ。専業主婦のくせに、女のくせに調子に乗りやがって」
自分の思い通りにならなければ大声でわめく。これが私たちの夫婦の日常だ。でも親族たちは何も知らない。そして夫も重要なことを分かっていない。だから今日、私が分からせてやろうと思う。夫がどれだけ愚かなことをしているのかを。
私は夫に微笑んだ後、居間に向かおうとした。すると先に義両親が台所へとやってくる。どうやら夫の大声は居間にも届いていたらしい。ただ内容までは聞き取れていないようだ。
「どうしたんだ?大声なんか出してみんなびっくりしていたぞ」
「何があったか分からないけど、こんな席で夫婦喧嘩はやめなさい。お父さんの心臓が悪いんだから」
今日の親族の集まりは毎年恒例のものではあるが、義父の長寿祝いも兼ねていた。確かにそんなおめでたい席で夫婦喧嘩は申し訳ない。でも今日、私は黙っているわけにはいかないのだ。
私が事情を説明しようとすると、先に夫が口を開いた。
「父さん、母さん、ごめんね。最近俺が仕事で忙しくて、まきとの時間を作れなくてさ。それで言い合いになっちゃったんだよ。でももう大丈夫。まきも分かってくれたから」
そう言って夫は爽やかな笑みを浮かべながら平然と嘘をつく。
夫は大企業で営業マンとして活躍しており、義両親や親族たちにも評価されている。もちろん本性を隠した上でだ。だから夫が平然と嘘をついていても、義両親は気づくことができない。
「そうだったのか。分かった。すまないね、まきさん。シンタも頑張っているようなんだから分かってやってほしい。まきさん、また喧嘩になりそうなら私たちに何でも相談してね」
その言葉と同時に義両親は笑顔を向けてくれた。結婚当初から義両親は私に優しい。だからこそ義両親には夫のことを話さないといけない。私はそう思い、ぐっと拳を握ってから話を始めた。
「お父さん、お母さん、聞いてほしいことがあります。シンタさんはずっと嘘をつき続けているんです」
「え?嘘をつき続けている?どうしたんだ、まきさん。そんな怖い顔して」
「これを聞いていただければ分かります」
そう言った後、私はボイスレコーダーの再生ボタンを押した。
「まき、今日は大事な親族との食事会だ。いいか?俺に絶対恥をかかすなよ。分かったら親族全員ただでサービスしてこい。お前は火屋みたいなもんだからな」
その直後、義両親はがく然と目を見開き、私を見た。この音声はついさっきの台所でのやり取りを録音したものだ。
目を見開いていた義両親はたまらず口も開く。
「おい、なんだこれは?ただでサービスしてこい、火屋。どういうことなんだ?」
「これって本当のことなの?あ、ありえないわ」
実の息子の隠された一面に顔を青くしている義両親。しかしそんな義両親とは対照的に、意外にも夫は冷静だった。
「父さん、母さん、落ち着けって。俺が本心で愛する妻にこんなこと言うはずないだろう。実はドッキリを仕掛けようと思ってたんだ。だから何も心配することない。そうだよな、まき」
明らかに異常事態ではあったが、夫が何食わぬ顔で嘘をつくので、義両親はにわかに信じることができないようだ。そして夫は笑顔の裏で無言の圧力をかけている。両親に余計なことを言うなという言葉が顔に張り付いていた。
いつもならここで黙ってしまう私だが、今日は引けない。そこで私はボイスレコーダーの再生ボタンをもう一度押した。
「まき、嫁ってのはな、夫の所有物なんだよ。お前、聞いたことあるか?物が反論するところないよな。だからお前は俺の言うことを黙って聞いてればいい」
「まき、お前は専業主婦だよな。なのになんでこんなに飯がまずいの?このままだとお前、存在価値ないぞ。もっと努力してみせろよな」
夫の心ない言葉が次々と流れていく。この音声は普段私が受けている仕打ちの証拠だ。さっきのやり取りだけでなく、私はすでに自宅でも録音をしていたのだ。
夫はいつも「嫁」や「専業主婦」、いや女性自体を見下していた。私へのいびりに加えて、女性に対する愚痴もこれまで何度も聞いてきた。
結婚した当初はこんな態度一度も見せていませんでした。今思えば、元から私をこき使うためだったのかもしれません。結婚して半年ほど経つと、夫は態度を豹変させて私をいびるようになったんです。
「お父さん、お母さん、ずっと黙っていて申し訳ございませんでした」
私は義両親に深く頭を下げた。その顔は見えなかったが、怒りの感情は伝わってくる。そして義両親はその感情を夫にぶつけた。
「シンタ、まさかこれもドッキリって言わないよな。どういうことか説明しろ」
「ずっと私たちを騙し続けていたってこと?シンタ、なんとか言ってみなさい」
義両親は夫を激しく睨みつける。そんな夫も、義両親には見えない角度で私を激しく睨みつけた。「どうなるか分かってるだろうな」と言いたげな表情だ。
夫は義両親に向き直ると、もう一度爽やかな笑顔を貼り付ける。
「いやいや違うって。さっきも言ったけど、俺がこんなこと言うはずない。まきのことを愛しているのに、こんなこと言うはずないじゃないか」
「説明になってないぞ、シンタ。お前が言ってないなら、どうしてまきさんが音声なんか持っている?」
「これはあれだよ。俺じゃなくてテレビの音声さ。ちょうどこの日、ドラマを見ていたからその音声を録音してたんだろう。なんだよ。父さんと母さんだけじゃなくて、俺にもドッキリ仕掛けるつもりだったのか。困ったやつだな」
平然と嘘をつき続ける夫に、私は吐き気がした。そんな見苦しい言い訳をしても無駄なのに。だって私は全部知っているから。
困惑している義両親をさらに困惑させることになるかもしれないが、私は次の一手を打つことにした。
「お父さん、お母さん、これを見ていただけますか?」
私は義両親に一枚の名刺を渡し、言葉を続ける。
「この名刺は夫のスーツのポケットに入っていました。それで私、調べたのですが、実はシンタさんはキャバクラ通いをしています。私との記念日もドタキャンし、接待だと嘘をついて通っているんです」
「はあ?なんだって?」
「おい、シンタ、お前どこまで俺たちを騙せば気がすむんだ?」
「待ってくれよ、父さん。嘘はついてないって。記念日はドタキャンしたんじゃなくて、たまたま急な接待が入っただけだよ。まきには何度も説明したんだけどな。怒らせたなら謝る。だから父さんもそんなに怒るなって」
夫は何もなかったように頭を下げる。どこまでも見苦しい言い訳をして白を切り通すつもりのようだ。ただ、夫は何も分かっていない。それを証明するために、私はスマホを取り出した。
「これも見てください。シンタさんのメールの画像です。シンタさんは個人的にキャバ嬢と連絡を取り合っていました。接待なんかじゃないんです」
白を切る夫の前で、私は義両親に事実を伝える。次々と夫の愚行が明らかになり、義両親は怒りだけでなく失望の表情もにじませていた。一方、さっきまで冷静だった夫も怒りで顔を赤くしている。自分の本性を暴露していく私に、怒りは頂点に達しているようだった。
「いい加減にしろよ、まき。お前、頭おかしくなったのか?こそこそ俺のことを調べた挙げ句、スマホまで勝手に覗きやがって」
「だってシンタさん、ずっと女性を見下していたわよね。特に水商売の女はクズだ。名刺なんて受け取るわけがないって。なのにどうしてキャバ嬢の名刺を受け取ったの?理由を聞かせてよ」
「はあ。接待で仕方なくだろう。考えたら分かるだろうが。ちなみに個人的にメールのやり取りをしていたのは、そのキャバ嬢が先輩のお気に入りだったからだ。だから俺が仲を取り持つことになったんだよ。それを早とちりしやがって」
どこまでも夫は白を切るつもりだ。それならどん底までやってやる。できるだけ円満に済ませようと思っていたが、もう我慢の限界だ。
そう思い、私は居間にいる親族たちの前に顔を出す。注目を浴びる中、私は親族たちにあるものを配った。その瞬間、親族たちは騒然とし、義実家は異様な雰囲気に包まれた。
私が配ったあるものとは、夫が浮気している証拠だったのだ。夫のいびりの音声を録音し、キャバ嬢とのメールのやり取りを発見した私は、それを持って探偵事務所に依頼をしていた。その結果、夫の浮気は完全に黒だった。
「皆さん、騙されないでください。シンタさんは本性を隠していい顔をしているだけです。私はいびられ、火屋のような扱いを受けていました。いつか皆さんも利用される日が来るかもしれません」
義両親と同じように、親族たちもにわかに信じられないといった様子だった。でも親族たちはすぐに私のことを信じてくれた。おそらく私は自分でも気づかないくらい危機迫る表情をしていたのだろう。普段の私からは想像できない態度に、親族たちも異変を感じ取ったようだ。
ただ、それでも夫は認めようとしなかった。
「待て、待て、待ってくれ。俺は会社の先輩のためにその写真に映ってる女性に会っていただけだ。そしたらその女性がいいよってきて、俺は何も悪くないんだよ」
「シンタさん、バカなこと言わないで。あなたから言い寄ってきたと私は聞いたわよ」
「はあ?まき、でたらめ言うのも大概にしろよ。誰に聞いたって言うんだ?」
「本人よ。あなたの浮気相手。彼女の勤めているキャバクラに行って直接聞いてきた。そしたら全部話してくれたわよ。シンタさん、自分が既婚者ってこと隠してたのよね」
「お前、そこまでやってんのか?ふざけんな」
「ちなみにもう慰謝料は振り込んでもらったわ。最初に言ったでしょ?もう料金はいただいた。300万円振り込んでもらったって」
そう告げた後、私は慰謝料が振り込まれたことを証明した。とうとう夫も観念したのか、その場に座り込む。その直後、義両親と親族から冷たい視線が浴びせられ、義父が代表して怒りの声をあげた。
「シンタ、ふざけているのはお前の方だ。まきさんはお前の奥さんとして支えてくれていただろうが。何が嫁は夫の所有物だ。何が専業主婦は存在価値がないだ。お前が会社で活躍できているのも、まきさんの支えがあってこそだろう。感謝の気持ちはないのか」
「待って、父さん。俺は会社で必死になって働いているのに、まきは家にいるだけで飯が食える。これって不公平じゃないか。女も働いて稼ぐべきだよ。だから俺は浮気した。彼女はキャバ嬢として金を稼いでいたからね。文句ある?まきと結婚したのは失敗だった。従順だけが取り柄だったのに、全く。俺は不幸だよ」
そう、夫が言った瞬間、夫の体が吹き飛んだ。義父が夫を投げ飛ばしたからだ。
「何が不幸だ?お前は自分が不幸だから他人を不幸にするのか?俺はな、お前みたいに自分の不幸を他人の不幸で薄めようとするやつが許せない。全員の前で謝罪しろ」
「痛えな。クソ親父。この際だからはっきり言ってやる。お前ら全員、根っこの部分では俺と同じなんだよ。芸能人が不倫騒動を起こしたら面白おかしく見るだろう。SNSで誰かが大炎上したらこぞって叩くだろう。仕事でライバルがミスったら嬉しいだろう。なんでか分かるか?他人の不幸が気持ちいいからだ。ここに俺の考えを否定できるやつがいるか?反論してみろ」
逆上した夫が義両親と親族たちにそう吐き捨てた。全員が反論したい気持ちだろうが、誰も声をあげない。それは夫の言ったことに心当たりがあったからかもしれない。
だけど私だけは声をあげた。
「はいはい、演説ご苦労様。論点をすり替えないでくれる?何があってもあなたのしたことが正当化されることはないの。私をいびる理由にも、浮気をする理由にもならない。あなたができることといえば、次の仕事を探すことくらいね」
「は?どういう意味だ?俺は会社をやめる気なんてないぞ」
「あら、そうでも会社はあなたのことを許さないと思うけどね。あなた、会社の女性社員を奴隷のように扱っていたじゃない。会社での活躍も、社員の手柄を横取りしていたのよね」
実はすでに夫は会社で問題視されているという状態だった。女性を見下していた夫は、会社でも全く同じように本性を隠して女性をこき使っていたらしい。勇気ある女性社員によって内部告発があり、夫の悪業はすべて明るみになっているそうだ。
「会社のことまで、なんでお前がそこまで知っている?」
「あなたの浮気相手のキャバ嬢には妹さんがいてね。彼女、あなたの会社で働いているのよ。私が浮気相手に会いに行った時、話を聞かせてくれたわ。妹が会社でひどい目に合わされているって。私があなたに復讐するって伝えたら、素直に慰謝料を払ってくれたというわけ。何も知らないで姉妹を騙していたんだから、当然の報いよ」
「マジかよ。俺、どうなるんだ?やべえよ」
「完全に自業自得だけどね。いい?女をなめるから痛い目に会うのよ。どっちが上とか下とか、そんなの関係ない。隣に並んで支え合うことを覚えることね。私の考えを否定できるかしら?できるなら反論してみなさいよ」
私の言葉に夫は何かを言いたそうにしていたが、今後の自分の身を考えるとそれどころではなかったらしい。
ずっと嘘と言い訳を続けていた夫は、義両親と親族たちから睨まれながら黙ってしまった。
その後、夫は会社を首になった。浮気や同僚への嫌がらせでなく、会社のお金を横領していたことも発覚したからだ。夫は慰謝料と賠償金により借金まみれになった。当然、夫は義両親と親族たちにも見放され、頼れる人もいない。危ないところからお金を借りるしかなくなり、今は追われる立場のようだ。
一方、私は一人暮らしを始め、就職も決めた。専業主婦だったのは夫からの希望であり、結婚と同時に退職したが、その会社に復職することができたのだ。
私は当分独身生活を続けるつもり。でももしご縁があったならば、隣で支え合える人と一緒になりたい。そう思っている。



