息子に「年金が月5万だけだろ?家計の足しにもならないよ」と言われ、老人ホームに押し込まれた75歳の母。しかし彼女は夫が残した「あるもの」を持っていた。それが何か知った時、息子夫婦の人生は一瞬で崩れ去る。私は静かに微笑んだ。「愛だけでは生きていけないのね。さようなら」──そして株主総会の日、誰もが予想もしなかった展開が待っていた。 CTA:…

息子に「年金が月5万だけだろ?家計の足しにもならないよ」と言われ、老人ホームに押し込まれた75歳の母。しかし彼女は夫が残した「あるもの」を持っていた。それが何か知った時、息子夫婦の人生は一瞬で崩れ去る。私は静かに微笑んだ。「愛だけでは生きていけないのね。さようなら」──そして株主総会の日、誰もが予想もしなかった展開が待っていた。 CTA:...

夫が亡くなって十年。私は独りで細々と暮らしてきた。息子の隆と嫁の恵理子には、迷惑をかけまいと必死だった。

ある日、隆が私に向かって言った。「母さん、年金は月五万だけだろ?正直、家計の足しにもならないよな」

その言葉を聞いた瞬間、何かが心の中で崩れ落ちた。私は隆を産んでから必死に働いてきたのに。夫の給料だけでは足りず、家計を支えるために働き続けたのに。まるで私が透明人間になったかのような気持ちだった。

「義母さん、私たちも精一杯なんですよ」「私の実家は年金が二十万以上あって、両親もまだ働いているんですから」と恵理子は続けた。

「でも、私は家事は全部やっているし、迷惑はかけていないはずよ」

私がそう言っても、彼らの表情は変わらなかった。夫が生きていたら、こんな屈辱を受けることはなかったのだろうか。友人の秋子が訪ねてきてくれた時も、恵理子が間に割って入った。「すみません、母はもう面会は受けないので」と。

「秋子さん、何か困ったことがあったら言ってね」という友人の言葉さえも、「あなたに関係ないわ。帰ってください」と恵理子は遮った。郵便受けは鍵をかけられ、電話も手紙も届かなくなった。「月に一度の面会で十分でしょ」と隆は吐き捨てるように言った。

しかし、私は夫が残してくれた切り札を持っている。それが何かを彼らは知らない。ある日、私は古い封筒を見つけた。震える手で開けると、中には株券と手紙が入っていた。「これを機に、すべてを清算しよう」

私は段ボール二箱だけを持って家を出た。恵理子に急かされ、車は老人ホームへと向かった。入所の手続きの際、係員に「荷物の中を見せてください。危険物がないか確認しますので」と言われた。私は仕方なく鞄を開けた。隆と恵理子は書類を済ませると、すぐに立ち去った。

「愛だけでは生きていけないのね」と私は独り言を言った。彼らの背中を見送りながら、「さようなら」と囁いた。ホームの食堂で、他の入所者の話を聞いた。「ここは地獄だよ」「出られるなら、出たほうがいい」

私は弁護士の山田を訪ねた。彼は私の話を聞いて息を呑んだ。「これらの書類は本物ですか?」「ええ、本物よ」と私は答えた。ホームに戻る前に、私は銀行にも寄った。火曜日の朝、私は誰よりも早く目覚めた。九時、係員の巡回の前に準備を整え、タクシーを呼んだ。最初に向かったのはデパートだった。「五十万円まで使えますわ」と私は笑った。

株主総会の日、私はエレベーターで他の株主たちと一緒に乗り込んだ。「筆頭株主が初めて出席するらしい」という噂を聞き、私はただ静かに微笑んだ。三割もの株を持つ筆頭株主が、今まで一度も姿を見せたことがなかったのだから。「今日が初めてですわ」と私は心の中で思った。

議長が私を紹介した。「本日は初めて、筆頭株主の藤田夫人にお越しいただきました」私は彼を見つめ、「どうぞ、続けてください」と言った。「筆頭株主のご意見が最優先です」「ここに、取締役の藤田隆氏の解任動議を提出します」

会場は一瞬にして騒然となった。隆は真っ青な顔で立ち上がった。「ちょっと待ってください!母さん、何を言ってるんだ!」

「あなた、私のことを年金が月五万だけの貧乏な老いぼれだと言ったわね。『邪魔な存在だ、消えろ』とも言ったわね。私は、あなたが私を老人ホームに押し込んだときの書類を見つけたの。そこにはっきりと『経済的価値がないため』と書かれていたわ」

「あなたには、私がどれほどの株を持っているかを見抜く視力がなかった。ただそれだけのことよ。明日から来なくていいわ。あなたが私にしたことが、そのまま返ってきただけのことよ」

後日、弁護士から電話があった。「隆氏は解雇された後、就職先を探していますが、噂が広がっていてどこも雇ってくれません」と。私は電話を切ると、地元の保育園へ向かった。そこでの子どもたちの笑顔こそが、私の本当の宝物だ。

「こんな大金、受け取れません」と園長は言ったが、「私には十分なお金がありますから」と私は押し切った。コンビニの弁当を食べながら、母のことを考えた。母は誰かのために生きることを知っていた。私は独りぼっちだが、母の教えがある。母が残してくれたものは、お金だけではない。誰かを思いやる心こそが、本当の財産なのだと気づいた。

老人ホームでの屈辱を忘れたことはない。しかし、もう憎しみも恨みもない。私はただ、自分の人生を精一杯生きていくだけだ。誰のためでもなく、私自身のために。私は自由だ。誰にも縛られず、誰にも見下されず、自分の価値を信じて生きている。隆には、それが理解できなかった。ただ、それだけのことだ。

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