「お前、無能の高卒でこの案件、まとめられるのか?無理だよな」…

「お前、無能の高卒でこの案件、まとめられるのか?無理だよな」...

「お前、無能の高卒でこの案件、まとめられるのか?無理だよな」

大事な商談の前日。課長が俺に顔を近づけ、まともな社会人とは思えない態度で迫ってきたんだ。

「俺が代わりに行ってやるよ。無能な考察がお邪魔したら失礼だからな」

「てめえは来るな」

課長がヤンキー染みた巻き舌で俺に食ってかかってくる。だが俺もこれだけは譲れないという強い気持ちがあった。

何もしていない被害者の課長に、商談を譲る気など一切なかった。

俺は課長を睨み返し、はっきりと不満を伝えて意見を言い切った。だが当然、課長も負けてはいなかった。

「バカバカしい手合いの商談に、誰が仕事させるって言うんだよ」

俺を怒鳴りつけて威圧すると、勝手に取引先へ担当交代の連絡を入れてしまった。

「俺が担当になったって先方には伝えてやったからよ」

勝ち誇った笑みを浮かべた課長が、俺の作った商談資料を勝手にまとめ始める。もはや課長は、商談を勝ち取った気でいる。

その様子に無性に腹が立った俺は、最後に課長に一つだけ尋ねた。

「課長、本当に担当変更してよろしいんですね」

「当たり前だろ。そんなこともわからねえのか。やっぱりお前はバカだな」

課長はまとめた資料を小脇に抱え、最後に「じゃあな」と言ってオフィスを出ていく。

それが、会社への別れの言葉となるとも知らずに。

俺の名前は瀬か。高校卒業後、地元の厨房機器メーカーに就職し、現在は営業部に所属している。26歳の誕生日を迎え、自分がこれからどんな仕事をして会社に貢献していけるのか、そんなことをよく考えている。

入社当時の俺は、工場で生産ラインの管理チームに配属されていた。高卒社員は工場からという会社の決まりに乗っ取り、まずは会社と社会人の基礎を身につけることを求められた。

俺はその中で特に目標や希望というものを持たず、目の前の業務を丁寧に確実に消化しようと心がけていた。そして運良く、そのやり方を会社に認められ、本社への移動の切符を手に入れた。

2年前、俺は営業部長から抜擢される形で本社営業部に所属となった。

「何も構えなくていい。君の堅実という持ち味を生かして、着実に実績を積み上げてくれ」

俺を見い出してくれた営業部長は、俺の肩を叩き、優しい言葉をかけてくれた。その時、純粋だった俺に、その気遣いはどれほどありがたかったか。

俺はそれ以来、部長の期待に答えようと試行錯誤の日々を過ごしている。

「聞いてくれ。警物との商談成立だ。ここ1年のアプローチが実った結果だ」

ある日、俺の直属の上司である大平課長が満面の笑みと共に勝ち鬨をあげた。周囲の社員がその勝ち鬨に拍手や賞賛の言葉を送る。

「いいか?無理な相手にこそ粘りの交渉だよ。今回は俺の手柄だけど、お前たちも頑張らないとな」

課長は上機嫌で部下たちに胸を張った。だが俺はそのムードに入れず、一人肩を落としていた。

元々、警物を相手に時間をかけて商談していたのは俺だった。

個人的な人脈を頼り、東京のある名門企業の警物との繋がりを作る。そこから始めて資料を用意し、誠心誠意の商談をしていた。

しかし、それに気づいた大平課長に、全てを持っていかれた。半年前の話だ。元から俺を気に入っていなかった課長は、俺から手柄を横取りしようと画策したのだ。

悔しさを頭に浮かべ、俺はデスクに向かった。競争は意識せず、俺は大平さんから解放されて得た環境を活用する。俺は存分に自分らしい仕事をしようと心に決めていた。

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