夫はソファに寝転びながら言った。「飯はまだかよ。早くしろよ。」家事も仕事も全部私任せ。5年間、耐え続けた。でも、ある日、夫のスーツのポケットから見覚えのないレシートを見つけた。高級レストランの、明らかに2人分の金額。しかも、私が残業で遅くなった日に。私はスマホを開き、夫の位置情報を確認した。すると、そこに表示された場所へ向かったとき――夫は若い女性と腕を組んで歩いていた。その女性のお腹は、す…

夫はソファに寝転びながら言った。「飯はまだかよ。早くしろよ。」家事も仕事も全部私任せ。5年間、耐え続けた。でも、ある日、夫のスーツのポケットから見覚えのないレシートを見つけた。高級レストランの、明らかに2人分の金額。しかも、私が残業で遅くなった日に。私はスマホを開き、夫の位置情報を確認した。すると、そこに表示された場所へ向かったとき――夫は若い女性と腕を組んで歩いていた。その女性のお腹は、す...

夫の高志は、私が帰宅するなりソファーに寝転んだまま言い放った。
「おい、飯はまだかよ。早くしろよ。本当に気の利かない女だな、このグズ。」
私たちは共働きなのに、家事は全部私の担当。残業で疲れて帰っても、彼は風呂に入って酒を飲み、ゲームをするだけ。
「私だって仕事してるのよ。なんで私ばっかりが家事をしなくちゃいけないの?」
「家事はお前の仕事だろ。ちょっと働いてるからって調子に乗るな。文句があるなら出ていけよ。」
毎回これだ。何度話し合っても、夫は「家事は女の仕事」と譲らない。
ある日、彼の脱ぎ散らかしたスーツを片付けていると、ポケットから見覚えのないレシートが落ちた。
そこには高級レストランの名前と、明らかに2人分の金額が記されていた。日付は、私が残業で遅くなった日。
「……何これ? この日、高志は『仕事の付き合いで遅くなる』って言ってたのに。」
私はスマホを開き、夫の位置情報を確認した。そこに表示されたのは、彼の会社でもなく、家でもない場所。
次の日、私は半休を取って、その場所へ向かった。
すると、高志は若い女性と腕を組んで歩いていた。しかも、その女性の腹部は、明らかに膨らんでいた。
「ちょっと待って、あなた……誰?」
「な、なんでここにいるんだよ!」
高志は動揺しながらも、私を邪魔者扱いした。
「だから何だよ。お前には関係ないだろ。俺は俺の人生だ。」
その瞬間、私の中で何かが完全に切れた。
それから私は、ある計画を立て始めた。焦らず、冷静に、確実に。
彼が私をただの「家政婦」だと思っているなら、その思い込みが、一番の弱点になる。
数週間後、私は高志に言った。
「ねえ、子供が欲しいと思わない?」
「は? 今さら? お前、何言ってんだよ。」
「だって、そろそろ5年目だし、そろそろ良いかなって。」
高志は嫌そうな顔をしたが、私が「家事も今まで通り全部やるから」と言うと、仕方なく頷いた。
実はその頃、私はこっそりと夫のスマホを調べていた。彼は相変わらず、その女性と頻繁に連絡を取り合っている。
私は彼の会社の同僚にも、彼の携帯のロック画面に映る女性の名前を「偶然」見せた。
「あれ? 高志さん、最近奥さんとランチ行ったって言ってたけど、この人誰?」
「……私ですよ。最近、雰囲気変えたんです。気づかれなかったみたいですね。」
同僚は笑って流したが、その後、会社の飲み会で夫の浮気話が自然と広がっていった。
私は待った。夫が自分から動き出すのを。
ある日、高志が「お前、最近なんだか冷たくないか?」と聞いてきた。
「別に。ただ、あなたが最近ずっとスマホ見てるから、疲れてるのかなって。」
「……別に、仕事の連絡だよ。」
「そう。ならいいけど。」
私は笑顔を崩さなかった。心の中では、カウントダウンが始まっていた。
そしてついに――
ある朝、私たちの家のポストに、一通の封書が届いた。
差出人は、『◯◯法律事務所』。
高志は青ざめた顔で封書を開けた。そこには、私が彼の不倫の証拠をまとめた書類が入っていた。
「な、なんだこれ……お前、何をしたんだよ!」
「何をしたって、あなたが先にしたことでしょう。私はあなたの妻であって、あなたの下僕じゃない。」
「ふざけんな! 離婚なんてするか!」
「するかどうかは、私が決めること。あなたはもう、何を言っても無駄よ。」
私は彼に、慰謝料と財産分与の書類を突きつけた。
「お前、よくもこんなことできたな……!」
「できたのは、あなたが私をここまで追い込んだからよ。家事も、子育ても、ぜんぶ私任せにして、あなたは好き勝手して。」
「もう終わりだよ、高志。あなたの好きだった『都合のいい女』は、今日で卒業するから。」
私はそう言って、書類にサインを求めた。
高志は顔を真っ赤にして怒鳴ったが、私はもう何も感じなかった。
裁判所から離婚調停の通知が届いたのは、それから一週間後のことだった。
私は今、新しい部屋で暮らしている。
窓から見える景色は、以前の家とはまるで違う。
「私、やっと自由になったんだ。」
あの日、夫のスーツのポケットからレシートを見つけていなければ、私は今もあの家に縛られていただろう。
そして、私は今でも思う。
「人を下に見て生きてきた人間は、最後には、一番大事なものを失うんだ。」
――私は、二度とあの男のために泣いたりしない。
彼のいない生活が、なによりの幸せだ。

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