出産して家に戻ったら、義母が私のリビングに足を組んで座っていた。しかも、私物を全部持ち込んで、まるで自分の家のように。私が「もしかしてここに住んでるんですか?」と聞くと、義母は「妻に見捨てられた洋のために私が来てあげたんでしょうが」と。夫も「お前が勝手に僕を置いて出ていったんだよ」と義母の味方。そして義母は私の息子を奪い、「かわいそうに、こんなひどいママに抱かれてるなんて嫌だったのね」と言っ…

出産して家に戻ったら、義母が私のリビングに足を組んで座っていた。しかも、私物を全部持ち込んで、まるで自分の家のように。私が「もしかしてここに住んでるんですか?」と聞くと、義母は「妻に見捨てられた洋のために私が来てあげたんでしょうが」と。夫も「お前が勝手に僕を置いて出ていったんだよ」と義母の味方。そして義母は私の息子を奪い、「かわいそうに、こんなひどいママに抱かれてるなんて嫌だったのね」と言っ...

結婚8年目でようやく妊娠した。38歳、専業主婦の私にとって、これほど待ち望んだものはなかった。夫の洋一は2歳年上のマザコン男。義母は毎日のように嫌味を言ってきた。「問題ないならなんで妊娠しないのよ。大方結婚前に遊んでたんでしょうよ」と。

妊娠が分かった時は本当に嬉しかった。しかし、つわりがひどく、食べられるものが限られ、料理もできない日々が続いた。すると義母が我が家に来て避難する。「私の大切な洋一の食事も作らないでゴロゴロ寝てるだけですって。本当にご立派な嫁だこと」と。洋一も一緒になって「ママのこと何にもしてくれないんだ」と文句を言う。

あまりのつわりのひどさに、私は里帰り出産を決意した。義母と夫の小言から逃れるためだ。洋一に話すと、意外にもすんなりOKしてくれた。「つわりで苦しむのを見てるのは辛いからさ。実家でゆっくり休んだ方がいい」と。義母の説得も自分がすると言ってくれた。

息子の健太を出産し、体調が落ち着いてから我が家に戻ると、リビングには義母が足を組んで座っていた。まるで家の主のように。化粧は薄く、部屋着姿。どう見ても実家から来た格好ではない。周りを見ると、義母の私物がたくさんある。「もしかして、ここに住んでるんですか?」と聞くと、義母は「もしかしてとは何事ですか?妻に見捨てられた洋のために私が来てあげたんでしょうが」と。

「見捨てられたって何ですか?ちゃんと洋一に相談してOKもらったのに」と言い返すと、洋一が横から口を挟んだ。「そんなこと言ってない。お前が勝手に僕を置いて出ていったんだよ」と。義母も「やっぱりね。本当に悪い嫁ね」と。

ショックで呆然としていると、健太が泣き出した。義母がさっと取り上げ、「かわいそうに、こんなひどいママに抱かれてるなんて嫌だったのね。もう安心、ばあばが守ってあげるから」と話しかける。「返してください。私の息子です」と叫ぶも、洋一が義母の前に立ちはだかり、「お前の息子ってことは僕の息子でもあるだろう。その僕が許可してるんだから、ママが面倒見ていいんだ」と鬼のような形相で言う。

実家から我が家までの移動でクタクタだった私は、子供を取り返す気力も体力もなく、健太を義母に預けるしかなかった。

それからというもの、義母は私たちのマンションを自分の家だと思い込み、どんどん義母仕様に変えていった。日当たりの良かったリビングが義母の部屋となり、そこにベビーベッドを入れてしまった。洋一用のベッドまで買って、そこで3人で暮らすように。しかし、義母は健太の世話をしてくれるわけではない。泣き出すとすぐに私に押し付け、「やっぱりあなたの血が入ってるから出来損ないなのね。洋一が赤ちゃんの頃は本当にいい子だったのよ」と必ず余計な一言を忘れない。

家事も育児も全部私の仕事。「もっと薄味にしてちょうだい。こんな濃い味、孫にも良くないでしょ」「洗濯物いつまで外に干してるの?日に焼けちゃうでしょう。早く取り込みなさい」と全て私に押し付ける。義母がやるのはせいぜい健太のお散歩。健太をぎゅっと抱きしめ、洋一と一緒に公園に行き、3人で楽しそうにしている。

赤ちゃんを連れた女性がいると必ず話しかけ、「うちの嫁は全然育児をしてくれないんですよ。私に押し付けて本当に困った嫁なんです」と言い広めているらしい。おかげで私は近所から鬼嫁だと言われ、白い目を向けられるようになった。

さすがに堪忍袋の緒が切れた私は、洋一に言った。「ねえ、そろそろお母さんに帰ってもらいたいんだけど」
「はあ?なんでだよ」
「だって全然健太の世話してくれないし、家事を手伝ってくれるって言ったのに、実際は全然じゃない。お母さんの分まで食事とか洗濯物とか増えてもう私クタクタなの」
「お前が悪いんじゃないか。ママがいるからこの家はうまく回ってるんだ。近所の人たちだって、みんなママは立派なおばあちゃんだって褒めてくれてるぞ」

大声で話していると、義母まで参戦してきた。「聞こえたわよ。私に出ていけですって。そっちこそ洋一を不幸にして」
「そうだよ。ママと同居するのが嫌なら、お前が出ていけ」
「そうそう。孫がいれば、あんたなんて用済みなんだから」

2人に鬼のような形相で迫られた私は恐怖に震えた。この2人、本気で私を追い出そうとしている。身の危険を感じた私は、逃げなければと決心した。その場では「わがままを言って申し訳ありませんでした。ついお母さんの親切に甘えてしまって。これからはそんなことがないよう注意します」と頭を深く下げ、2人の怒りを沈めた。

そしてその晩、健太が夜泣きしているのをチャンスだと思い、義母の部屋から連れ出すと「ちょっと外を回ってきます」と言って、そのままタクシーで実家に逃げた。

着の身着のままで実家に戻った私と健太。両親は驚きながらも事情を聞くと、喜んで迎えてくれた。「洋一君にももちろん問題があるが、それ以上にとんでもない母親だな」「そうよ。ちゃっかり夫婦の家に座って。そういえば、洋一さんのお父さんはどうしてらっしゃるの?何も言ってこないの?」

そう聞かれて初めて義父の存在を思い出した。義父は仕事一筋のとても真面目な人で無口。これまでに何度も顔を合わせているが、ほとんど声を聞いたことがない。義母がずっと私たちの家に座っているなら、一体どうやって生活しているのか。義父の妹のかず子が同居しているから、特に問題ないのかしら。

母が「一度洋一君のお父さんに連絡して、息子命の母親をどうにかしてくれないか頼んでみるべきじゃないか」と言う。父も「そうね。これはあちらのお父さんとお母さんの問題だから、電話ででも父さんに事情を説明して、あとはあまり首を突っ込まない方がいいかもしれないわよ」と。

確かに義両親がうまくいっていれば、義母が息子にべったりしたり、息子宅に居座るなんてこともないはず。夫婦間で何か問題があるのかもしれない。とはいえ、いきなり義父に連絡して「夫婦仲はどうなんですか」なんて聞けないし、義母を引き取れというのもと思い、かず子に電話してみた。

「あの、かず子さん、いきなりで何なんだけど、今お父さんどうしてます?」

そう聞くと、彼女は意外な答えを返した。「は?もうあなたと父とは関係ないと思うんだけど」

「え、関係ないって。実はお母さんが居座っちゃってて、私実家に逃げてきたんです。子供のこともあるから、できれば洋一との離婚は避けたいと思って」と必死に説明するも、かず子は「だから父や私とその人たちと何の関係があるの?」と。

「え、どういうこと?話が見えない」

しかし、それはかず子も同じだったようで、翌日喫茶店で会うことになると、驚くことが分かった。

実家に戻って3ヶ月、全く連絡をくれない彼に呆れ、私は電話でこう告げた。「要するに、私たち離婚しましょう」

「は?離婚?ちょっと待てよ」と、全然連絡してこなかった割にかなり驚いた声。「だって家を出ていけって言ったのはそっちでしょ。それとも永遠に別居して離婚はしないって?」
「いや、そういうつもりで行ったんじゃないんだって。ちょっときつく言えば、君が俺にもっと優しくしてくれると思ったんだよ」

どうも様子がおかしい。考えてみると、あれだけ孫に固執していたはずの義母からも一度だって連絡がなかった。

「いや、それがさ、おふくろ、お前の血が入ってる孫なんていらないとか言い出してさ、俺にべったりで。あれ、ママじゃなくてお袋、僕じゃなくて俺になってる。お袋、バカでかいクマのプリントがしてあるTシャツ買ってきたり、俺がガキの頃好きだったからって気持ち悪いものを10個も食わせようとしたり、この前なんかさ、背中流してあげるとか言って風呂に入ってこようとしたんだぜ」

「うーん。それはちょっと気持ち悪いかも」

「だ、だからさ、お前に帰ってきてくれないかなって」

「え?じゃあなんで連絡してこなかったの?」

「え?それはさ、元々はお前が悪いんだから」

「悪いのは私じゃなくてお母さんでしょ。お母さんが出ていくつもりさらさらなくて、私とは絶対一緒に住みたくないとか言ってるんでしょう」

ズバッと言ってやると、洋一は「そ、それは……」とどもった。そこで私はかず子から聞いたことをはっきり言ってやった。

「出ていくわけないわよね。お父さんとお母さん離婚したんでしょ」

かず子から聞いた話によると、以前から義父は義母が洋一を可愛がり、義父や義父に似たかず子をないがしろにすることや、洋一が自分と全く似ていないことを疑問に思っていたそう。義母が洋一に住み込んで世話をすると言い出した時、さすがに異常だと思い、こっそりDNA鑑定を依頼すると、義父と洋一の親子関係はなしと判明。義母に問い詰めると、義父と結婚する頃、付き合っていた本命の男性との子供だったらしい。

それからは急展開。義父が義母に離婚を要求したため、義母は帰る場所を失い、洋一にへばりついたというわけだ。

「通りで服からアクセサリーから私物全部持ってきたわけよね。帰るところがないんですもの」

そう言うと、洋一は顔を赤らめながら「そ、そうなんだよ。俺、自分が不倫でできた子だなんて知らなかったんだよ。すごいショックなのに。お袋と来たら、愛する男性との子だからとか言って俺にべったりなんだ。しかも俺の給料そんな良くないのに、管理するってキャッシュカード持ってかれ、全部使いやがったんだ」と。

まあやりそうなことだ。私を追い出そうとしたのも、愛する本命男性との息子を独占したかったのと、私が専業主婦で洋一の給料を使うことが気に入らなかったのだろう。

義父と洋一は現在のところ形式上は親子だが、義父は親子関係不存在確認を申し立てるつもりのようだ。親子関係を解消するのは難しいらしく、実際に裁判で認められるかどうか分からないものの、優秀な弁護士を雇い、徹底的に戦うと義父本人から聞いている。

「俺さ、もう実家がなくなったってことじゃん。で、お荷物のお袋もいる。お前に戻ってきてもらって、お袋となんとかうまくやっていって欲しいんだよ」

「はあ。何を寝ぼけたことを。要するに邪魔になってきたお母さんを私に押し付けようってことでしょ。そんなの真っ平ごめんだから」

私はそれだけ言うと電話を切った。そして離婚届を役所からもらってくると、速攻サインして洋一に郵送。さらに慰謝料と財産分与、養育費もしっかり請求した。この処理は義父の紹介で、義父が今回義母との離婚や洋一との親子関係を切るためにお願いした弁護士に一緒に受け持ってもらった。

その結果、洋一と義母は慰謝料などでかなりの借金を負うことになり、2人とも365日休まず朝から晩まで働くことになったらしい。まあ当然の結果だろう。

今私は実家で両親と一緒に健太を育てている。知り合いの紹介で始めたジムの仕事も順調。義母とは縁が切れてしまったが、義父と同居するかず子は健太と血の繋がりがあるからか、時々遊びに来ては健太の相手をしてくれて、とても助かっている。このまま健太がすくすく育ってくれるよう、懸命に子育てするつもりだ。

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