「三浦君、ちょっといい?」
金曜の夕方、外回りから戻った俺を社長が呼び止めた。珍しく焦った様子だ。
「実はね、明日からアメリカ出張の予定だった木下君がぎっくり腰になっちゃって。私が行くことにしたの」
それは大変だと思っていると、社長はさらに続けた。
「そしたら今度はベビーシッターの知恵さんから電話があって、娘さんが予定より早く産気づいて緊急入院したから付き添いたいって」
「それじゃあ、お子さんたちは?」
「私の両親は海外で、すぐには帰ってこれないの。そこで三浦君にお願いがあるのよ。1週間、うちの子たちの面倒を見てくれない?」
社長はすがるような目で俺を見る。正直、戸惑った。俺は独身で、子供の世話なんて専門外だ。しかし社長は「あなたしかいないのよ」と食い下がる。
「分かりました。お引き受けします」
そう答えると、社長の顔がぱっと明るくなった。
「ありがとう! 助かったわ。お礼はちゃんとするから」
翌朝、約束通り7時前に社長のマンションを訪ねた。すでに出かける支度を整えた社長が申し訳なさそうに言う。
「こんな早い時間に悪いわね。じゃあ、子供たちを紹介するわ。こっちがミサで、こっちがリサ。この人は三浦亮太さんよ。今日からママが帰るまで面倒を見てくれるからね」
「私がリサだよ」
「私がミサ」
「あ、ごめん、また間違えちゃった」
5歳の双子はそっくりで、社長自身も見分けがあやしいらしい。しかし二人は気にする様子もなく、「ママ、いってらっしゃい」と笑顔で送り出した。いい子たちだ。
「じゃあ、よろしくね」
社長が玄関を出ていくと、双子は途端に俺をじろりと見上げた。
「亮太のこと、認めませんからね」
「そうですよ」
「え? どういうこと?」
「亮太はママのこと狙ってるんでしょ。悪いやつなんでしょ」
なるほど。俺が社長に気があると思っているらしい。
「俺は君たちのママを狙ってないよ。ママの会社の部下なんだ。ママからお金をもらって、言われたお仕事をしてるんだよ」
「ふーん。じゃあ、朝ごはんはいらない。食べないもん」
そう言って二人は奥の部屋へ走っていってしまった。
とりあえず家の中を確認すると、シンクには半分以上残ったコーンフレークの皿が二つあった。前日の夜に社長から送られてきたメールを思い出す。ミサは柔らかめに炊いたご飯と納豆。リサはご飯と半熟の目玉焼き。どうやら二人とも和食が好きらしい。
俺は土鍋でご飯を炊き、納豆と半熟の目玉焼き、お味噌汁を用意して二人を呼んだ。
「リサちゃん、ミサちゃん、ご飯できたよ」
二人は疑い深そうな目を向けながらも、しぶしぶテーブルにつく。しかし一口食べると、その表情がぱっと明るくなった。どうやら合格のようだ。
「ごちそうさま」
反抗的な態度だが、きちんとしつけられている。感心してしまう。
お昼には二人の好きな狐うどんを用意した。嬉しそうに目を輝かせて食べる姿は無邪気で可愛い。
「亮太のご飯、美味しい」
「うん、美味しい」
「そうか。じゃあ夕飯も好きなものを作るよ。何がいい?」
「さつま芋ご飯!」
さすがは双子。リンクしている。思わず笑みがこぼれた。
公園に連れていくこともできた。最初は「行ってあげてもいいよ」と言っていたくせに、公園に着いた途端、二人は大はしゃぎだ。ブランコの次は鬼ごっこ。鬼はもちろん俺。普段の運動不足がたたって息が切れる俺を見て、双子はケラケラ笑う。
「楽しかった!」
二人は満足そうに笑う。知恵さんと来た時は気を使って走らせないようにしていたらしい。こんなに思いっきり遊べたのは初めてだったようだ。
「明日も公園行こうね」
「そうだね」
さっきまで俺を敵認定していたとは思えないほどご機嫌だ。
その後、双子は俺のことを受け入れてくれたようで、日が経つにつれて懐いてきた。朝ご飯を食べさせて髪を結んでリボンをつけ、幼稚園に送り出す。掃除と洗濯を済ませて買い出しに行き、帰ってきた双子と遊ぶ。1週間も経つと、すっかり俺に懐いてくれた。
そして最終日。洗濯物を畳んでいると、双子が聞いてきた。
「ママが帰ってきたら、亮太はどうなるの?」
「俺は自分の家に帰るよ。仕事も行かなくちゃいけないしね」
すると二人は見る見るうちに目に涙を浮かべた。
「え、どうしたの?」
「亮太、このままいてよ。リサたちと一緒にいてよ」
ポロポロと大粒の涙を流す。
「でもママが帰ってくるんだから大丈夫だろ? 俺からママに話そうか? 少しお休み取ってくれるかも」
「ダメ、ダメだよ!」
「なんで?」
「ママはお仕事が好きなの。ママ、お仕事が生きがいって言ってた」
理由を掘り下げて聞いてみると、原因は知恵さんの前のベビーシッターにあった。
「子供が母親を恋しがるのは当たり前なのに、その人は『お母様のお仕事の邪魔をしてはいけません。わがままを言ったらお母様ががっかりしますよ』って言って、双子の甘えを押さえつけていたらしい」
社長に嫌われたくない二人は、いい子を演じていたのだ。そのベビーシッターは半年前に辞め、後に来た知恵さんがそのことに気づいて「自分にはわがままを言っていい」と伝えたようだ。
知恵さんが残したメモには、二人の好きなもの、嫌いなものが細かく書かれ、最後にはこうあった。
「リサちゃんもミサちゃんもママと一緒にいることがとても好きです。お仕事が忙しいのは重々承知しておりますが、夕飯や寝る時は一緒にいるようにしてあげてください。子供とのスキンシップは大切ですよ。ぎゅっと抱きしめて大好きと言ってあげてくださいね」
本当に愛情深い人だ。ただ、ハプニングが重なり、この一番読んでほしかった部分は社長に届かないまま俺に渡ってしまったのだろう。
いつの間にか俺にしがみついたまま眠ってしまった双子をベッドに運び、俺は知恵さんの代わりに社長にちゃんと伝えなければと考えていた。
翌日、社長は元気いっぱいに帰宅した。
「ただいま! リサ、ミサ、お土産よ! 三浦君、ありがとう。とても助かったわ。おかげで取引も大成功よ」
双子を抱きしめ、お土産を渡した後、仕事の成果を嬉しそうに報告する。
「そういえば木下さん、腰の方は落ち着いたみたいですね。でしたら木下さんに仕事を引き継いだ方がいいのでは?」
「うん、そうね。……でも、今回直接話したのは私だから、先方も私が窓口じゃないと納得しないわ」
「でも、三浦君だって分かってるでしょ。このプロジェクトが成功したら、うちの会社はもっと大きくなるのよ。そしたらみんなのお給料も上げられるわ」
「はあ」
「それより、この子たちどうだった? いい子だから手がかからなかったでしょ?」
「ええ、そうですね」
そう言って双子と話をする社長は、また二人の名前を間違えて呼んだ。俺が来た日も間違えていた。二人は寂しそうな顔をして、黙って部屋に戻っていった。
「ああ、またやっちゃった。親の私が言うのもなんだけど、そっくりなのよね。……そういえば、知恵さんは間違えたことないわ。今まで来てくれたシッターさんで間違えなかったのは知恵さんだけよ。たった3日で見分けがつくようになったの」
「それはきっと、知恵さんがお二人のことをよく見てるからだと思いますよ」
あまり気にしていなさそうな社長に、思わず低い声で言ってしまう。
「え、まあ、そうね。でも私だって二人と一緒にいたいけど、仕事がね……」
「お言葉ですが、『仕事が』って言いますけど、あの子たちよりも仕事が大事ですか?」
「え?」
「確かにうちの会社は社長で回っています。社長がいなかったら大変なことになるのも分かってます。でもあの子たちには、それ以上に社長が必要なんですよ」
「三浦君……」
「俺も3日で見分けがつくようになりました。社長は、お二人がお絵かきで何を描くのが好きか知ってますか? 俺は分かりますよ」
社長は呆気に取られた顔で俺を見ている。
「あの子たちは、知恵さんのおかげですっかり和食派です。朝は納豆に目玉焼き。それと出汁の効いたうどんが好きなんですよ」
「通りでコーンフレークを食べなかったはずだわ。でも『お腹いっぱい』って笑って言ってたのよ」
「それは社長への気遣いですよ。『ママはお仕事が大好きだから、わがままを言って困らせてはいけない』って思ってるようですから」
「あの子たちがそんなことを……」
「あの子たちはまだ5歳ですけど、大人の言うことをかなり分かっています。それに、ママに嫌われるんじゃないかって怖がって、言いたいことも我慢しているんですよ」
「え、なんで? そりゃ確かに仕事は好きだけど、あの子たちにお金で苦労させたくないから頑張ってきたのよ。それが親の愛情ってもんでしょ」
「社長が与えてるのは、物質的な愛情ですよね。あの子たちが求めてるのは、そういうんじゃないですよ」
「どういうこと?」
「俺自身があの子たちと同じ環境で育ったから、物では寂しさは埋めることはできないって知ってます。うちの両親は共働きで、俺は子供の頃から一人で過ごすことが多かったんです。でも俺のために頑張ってるって分かってたから我慢してました。10歳の時に妹が生まれて両親はますます頑張って働くようになったんですけど、妹は寂しがってよく泣いてました。正直、俺も寂しかったです。せめて夕飯は一緒にいて、学校であったことなんかの話を聞いて欲しかった。だから、あの子たちの気持ちが分かるんですよ」
「そうだったの……」
「お金に困らなかったのは感謝してますけどね。でも思い出といえば、妹と二人だけってのが多いんですよ。社長、もっとお二人との時間を作ってあげられませんか?」
俺の言葉に、社長は考え込んだ。
「三浦君、率直に言ってくれてありがとう。あなたの話を聞いてショックだったわ。私、あの子たちの何も見てなかったのね」
「知恵さんのメモも、よく読んでみてください。きっと知恵さんも、社長に子供たちと向き合って欲しいと思っていたはずです」
そう言って俺は知恵さんのメモを見せた。野菜を使った副菜のレシピの下に、社長へのメッセージが書かれていたのだ。
「あれ? これ、知恵さんがよく作ってくれたやつ。夕飯はいらないって連絡して遅くに帰宅すると、作り置きで冷蔵庫に入ってたの。ヘルシーだからありがたく思ってたけど、今考えれば子供たちだけじゃなく私の体も気遣ってくれていたのね」
「実は俺も今夜、社長に食べてもらおうと思って作ったんですよ」
冷蔵庫から小鉢を取り出して社長に渡す。
「本当に三浦君って料理上手ね。……美味しい。体にしみる」
そう言うと、社長は涙をこぼした。
「え? どうしたんですか?」
「分からないけど、なんだかほっとして。不思議と懐かしい味がする」
「そうなんですか。俺流にアレンジしただけですよ」
「うん、美味しいわ。お代わりある?」
「ありますけど。今の言い方、ミサちゃんにそっくりですよ」
「そっか。似てるか」
そう言って社長は大きくため息をついた。
「よし、決めた。私、少しセーブしてみる。社員のみんなも支えてくれるし、少し頼ってみるわ」
「そうですよ。俺も頑張りますから」
「三浦君、ありがとう」
社長は俺を見てにっこり笑う。その笑顔はいつもの自信満々の笑顔ではなく、自然な微笑みだった。俺は思わずドキッとした。
その日は遅くなってしまったので、もう一晩泊めてもらった。思いがけず社長と話し込んでしまったのもあるが、部屋にこもってしまった双子にお別れを言えなかったというのもある。
翌朝、俺の姿を見つけた双子は大喜びでまとわりついてくる。
「やっぱり帰らなくてもいいの?」
「うーん、二人と一緒にいたいけど、俺、明日から仕事なんだよ。だから帰らなくちゃ」
「えー、やだ」
双子はダダをこね始める。そこへ社長が起きてきた。すると双子は俺から離れ、可愛らしく挨拶をする。変わり身が早い。
「この子たちが駄々をこねてる姿、最近全然見なかったのよ。本当に三浦君に心開いて懐いているのね」
「ああ、俺はおもちゃみたいなもんでしょ。本当はママにもああやって甘えたいんだと思いますよ」
「社長は今日から出社でいいんですよね?」
「ええ、まあ。呼び出しがなければ……」
「昨日、仕事をセーブするって言ってましたよね」
「ああ、そうだった。うん。今日は休むわ。じゃあ、みんなで公園に行きませんか? 俺、お弁当作りますよ」
「公園行く! 公園大好き!」
俺は超特急で家事をこなし、お弁当を用意した。
「三浦君、本当に家事のスキル高いね」
「子供の頃から家事やってましたからね。正直、仕事するより好きかも」
うっかり言ってしまったと焦ったが、社長はころころ笑っている。
公園に着くと、二人は早速ブランコの方へ駆けていく。一通りの遊具で遊び、お弁当を食べ、その後は鬼ごっこをして時間はあっという間に過ぎていく。夕方になると、俺と社長はくたくたになっていた。
「さあ、今日はもう帰りましょう」
「まあまあ疲れちゃった。俺も。だらしないなあ、情けないなあ」
双子からのブーイングに、思わず社長と顔を見合わせて笑ってしまった。すると双子は「わがままを言ってしまった」と青くなる。
「ママにわがままを言ってくれて、嬉しかったわよ」
社長は二人の頭を撫でながらそう言った。
「でも、ママ疲れてるのに……」
「それでも嬉しい。何にもならないよ」
二人は恐る恐る社長の顔を見る。
「本当だって。ママは二人が大好きだもん」
そう言ってぐっと双子を抱きしめた。二人は安心したような顔をしている。その光景に、俺の胸は熱くなった。知恵さんも喜んでくれるだろう。
「じゃあ、俺、帰ります」
社長のマンションから帰ろうとすると、足が急に重くなった。双子が俺の足に一人ずつしがみついているのだ。
「ダメ。帰っちゃダメ」
「三浦君にはお家があるのよ」
社長がなだめるが、二人は俺から離れようとしない。
「よし、分かった。じゃあ、休みの日には遊びに来るよ。それでどう?」
二人は納得してくれたようで、ようやく俺の足から離れた。その時、俺も妙な寂しさを覚えたが、それよりも親子の距離が縮まるよう願う気持ちでいっぱいだった。
翌日から、俺は連日のように双子のことで社長に捕まるようになった。仕事はパーフェクトな社長も、家事育児には悪戦苦闘しているようで、俺に色々と聞いてくる。いつものきりっとした社長と違って、おたおたする社長は可愛らしく見えた。
それに、自分の行動が結果的にいい方向に向かっていると聞いて、社長は嬉しそうだ。
「三浦君の意見を聞いて決めてよかった。会社も子供たちともいい関係になれて、これも三浦君のおかげよ」
「いやいや、俺は感じたことを言っただけですよ」
「でも、そういう行動に出たのは、知恵さんのメモを読んだからですね。私も何度も読んだわ。すごく助かった。……知恵さん、無事に男のお孫さんが生まれたそうなの。その後1ヶ月くらいは戻ってこれないわね」
「そうですか。俺はこのまま娘さんのそばにいてあげて欲しいって思ってるんですけど」
「まあ、そうよね。だって、私には三浦君がいるから」
「は?」
「三浦君って、恋人いないわよね」
「ええ、まあ……」
「もし良かったらなんだけど、このまま一緒に暮らさない?」
「それは、ベビーシッターとしてですか?」
「いえ、そういうんじゃなくて……」
社長は顔を真っ赤にして、もじもじしている。
「じゃあ、どういうことですか?」
これは男の俺の方から、きちんと言わなければいけないな。
「三浦さん、好きです。俺なんて年下で頼りないと思うけど、これからは三浦さんのことを支えていきたいと思っています」
「ありがとう。私、年上でバツイチ小持ちだけど、私も三浦君のこと好き。三浦君は私と正面から向き合ってくれたわ。子供たちと私の体のことを心配してくれて、立場的に『余計なお世話だ』って言われかねないのに、真剣に私たちのことを考えてくれた。本当に嬉しかったの」
こうして俺たちは付き合うことになった。
後日、改めてリサとミサに、俺が一緒に暮らすことを告げた。
「わーい! 亮太と一緒! やった! 亮太大好き!」
二人とも大喜びしてくれた。
「それとね、ママね、亮太と結婚しようと思ってるの」
「結婚?」
「そう。だから亮太はあなたたちのパパになるのよ」
「パパ?」
そう言って二人は飛びついてきた。
「これからは、仕事じゃなくて家族として、二人と一緒にいるよ」
二人はさらに大喜びする。今まで生きてきて、こんな嬉しい時間はない。俺は涙が出そうになるのを抑えながらそう言った。
そして1ヶ月後、社内で俺と三浦さんの結婚を発表した。この時のどよめきと言ったら、ビルが揺れるんじゃないかと思ったよ。なんやかんや言われたが、最終的にはみんな祝福してくれた。
その後、俺の両親に報告に行ったのだが、その時に両親の意外な思いを知ることができた。両親は仕事ばかりで俺や妹に寂しい思いをさせたことを、ずっと気にしていたらしい。俺と三浦さんの婚約を聞いて、俺と妹に寂しい思いをさせたことを謝ってくれたのだ。
確かに寂しかったけど、そのおかげで家事スキルが身について、三浦さんとこうして一緒になれたのだから悪いことばかりではなかった。そう伝えると、両親は安心したように笑った。
そして半年後、お互いの家族だけを招待して、うちで結婚式を挙げた。三浦さんは再婚になるから、派手にやることを望まなかったというのもある。まあ、俺としては、三浦さんの綺麗なドレス姿や双子の可愛いドレス姿を、他の人に見せなくて済んでほっとしているけどな。
久しぶりに帰国した三浦さんのご両親は、「亮太さん、娘と孫をよろしくお願いします。この子は仕事ばかりで他のことが目に入らない時もありますけど、その時は叱ってくださいね」と言って、深々と頭を下げてくれた。
出席者の中には、家族同然の知恵さんの姿もあった。
「知恵さん、今日は来てくださってありがとうございます」
「いいえ、こちらこそご招待くださってありがとうございます。リサちゃんもミサちゃんも目が生き生きしてて、安心しました」
「知恵さんのメモが大活躍でしたよ」
「お役に立ったようで安心しました。奥様も随分と表情が柔らかくなって。これも亮太さんのおかげですね」
知恵さんは優しく微笑んだ。
「私も娘家族と、慌ただしくも楽しく過ごしています。どうか亮太さんも、ご家族と仲良くお過ごしください」
「はい、ありがとうございます。また家族で遊びに行かせてください」
「ええ、いつでもいらしてください」
双子は嬉しそうに知恵さんにまとわりついている。
それから3年。三浦さんは相変わらずバリバリ仕事をこなしている。俺はと言うと、専業主夫になった。まあ、適材適所というやつだ。家事と双子の世話、それに半年前に生まれた息子の世話は、俺がしている。小学生になったリサとミサも、息子の世話のお手伝いをしてくれる。
子供の成長って早いもんだな。あの頃には考えられなかった幸せが、ここにある。この幸せを、俺なりのスタンスで守っていきたいと心から思った。



