朝7時に呼び出されたのに、担当者は5時間も俺を放置した。「お前みたいな下請けが俺に指図するのか?」と笑いながら、椅子を蹴って去っていった。俺は45歳の小さな工務店の社長。だが、その担当者は知らない。俺が28億円の契約を最終承認できる人物だということを。契約期限の正午、俺は契約書を叩きつけた。「この契約、中止しますね」と。すると彼はまだ笑っていた。「お前が抜けたところで、別の下請けがいるだけだ…

朝7時に呼び出されたのに、担当者は5時間も俺を放置した。「お前みたいな下請けが俺に指図するのか?」と笑いながら、椅子を蹴って去っていった。俺は45歳の小さな工務店の社長。だが、その担当者は知らない。俺が28億円の契約を最終承認できる人物だということを。契約期限の正午、俺は契約書を叩きつけた。「この契約、中止しますね」と。すると彼はまだ笑っていた。「お前が抜けたところで、別の下請けがいるだけだ...

朝の7時、現場に集まった俺たちは、担当者の三橋が来るのを待っていた。だが、待てども待てども姿を見せない。仕方なく事務所へ行くと、三橋は俺を見るなり手を追い払うように言った。「おいおい、汚い格好でここまで来るなよ」

俺は45歳の一級建築士。小さな工務店の社長というのが表の顔だが、実は大手建築グループの役員でもある。会長の小谷さんは、かつて俺に大工の技を叩き込んでくれた恩師だ。20年以上前、倒産寸前だった小谷さんの会社を、俺がITを使った改革で立て直し、超大規模なショッピングモールの建設案件を勝ち取った。そこから会社は急成長し、今や業界を牽引するグループとなった。

俺は現場の声を経営に届ける役員として、今も現場に立ち続けている。今回の28億円規模のプロジェクトも、俺が現場の安全確認と最終承認をするまで、三橋の会社は本契約を結べない。だが三橋は、俺が大手から回されてきた「使い捨ての下請け」だとしか思っていないようだ。2時間待たされ、やっと声をかければ「お前らみたいな下請けが俺に指図するのか?冗談じゃない」と椅子を蹴って去っていった。

俺は小谷さんに連絡し、近くの喫茶店で待つように指示された。結局、合計5時間も放置され、契約期限の正午を迎えた。俺は契約書を叩きつけて言った。「契約期限が過ぎたので、この28億円規模の契約は中止しますね」

三橋は笑った。「お前らが抜けたところで、別の下請けがいるだけだろ。バカが」

翌朝、俺はネイビーの高級スーツに身を包み、小谷さんの車で現場へ向かった。三橋の社長が、小谷さんに100件以上の着信を入れていたのだ。プレハブ事務所に着くと、三橋が社長に怒鳴られていた。俺が名刺を差し出すと、三橋の顔から血の気が引いた。そこには「取締役 技術最高責任者」と書いてある。

「昨日は最終確認のために伺いました。ですがあなたは7時に呼び出しておきながら5時間も放置し、契約期限になっても確認すら拒みました。職人を軽視する人間に、我が社の重要な技術を任せられると思われますか?」

三橋は土下座して謝ったが、もう遅い。小谷さんが言った。「この28億円のプロジェクトは、信頼できる別のゼネコンに組み直して発注しよう。もちろん、君の工務店に最高の施工を頼むよ」

その後、三橋の会社は巨額の損害賠償で傾き、三橋自身も業界から消えた。俺はこれからも現場第一主義でやっていく。完成する瞬間の喜びのために、今日も現場に立つ。

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