半年ほど前、義母と町でお茶をしていた時のことだ。
「ねえ、さえ子さん。100万円貸してくれないかしら?」
突然の申し出に、飲みかけのコーヒーを吹き出しそうになった。義母は「ちょっと欲しいバッグがあるのよ」と穏やかな笑顔で続ける。
義父はお金に潔癖な人で、義母は毎月決まったお小遣いを渡されている。パートの給料もまるまる自由になるお金のはずなのに、なぜ100万円も必要なのか。不審に思いながらも、私は夫に相談せずにはいられなかった。
「あの人には言わないでちょうだい。怒られちゃうわ」
義母はそう言って私を睨みつけた。
「私、さえ子さんに嫌われるようなことしたかしら? 娘だと思っていたのは私だけだったんだわ」
その言葉に、私は悲しくなった。それでも夫に相談すると、夫は「母さんがそんなことを」と驚きながらも、仕方なく貸すことを決めた。借用書を書いてもらい、100万円を渡した。
それが悪い流れの始まりだった。
義母はその後も「どうしても」と何度もお金を借りに来るようになった。1万、3万、金額はバラバラだが、借金は確実に増えていった。返済を求めても「家族でしょ」と言われ、私たちは強く出られない。結局、貸した総額は200万円にまで膨れ上がっていた。
「もういい加減にしてください。200万も貸したんですよ。返済のご連絡以外は受け付けませんから」
そう言って電話を切った1週間後、義母からメッセージが届いた。返済の用意ができたので、私一人で義実家に取りに来てほしいという内容だった。
夫は心配して「俺も行くよ」と言ってくれたが、私は義母の指示通り一人で向かうことにした。その代わり、夫にはあるお願いをしておいた。
約束の日、義実家を訪れると、義父が茶封筒を差し出した。
「200万円入れておいた」
確認させてもらいますね、と私がその場でお金を数え始めると、義父が一括した。
「援助される立場のくせに、その態度は何様だ」
「援助? むしろ助差し上げたのは私と夫の方ですが」
私の言葉に義父は不快そうな顔をした。
「何? 母さんの話では、息子夫婦が困ってるから援助してやって欲しいってことだったが」
私と義父の目が同時に義母へ向く。義母は顔面蒼白になって、目を合わせようとしない。
私は半年間の出来事を全て説明した。義母に200万円を貸し続けていること、返済の約束がありながら1円も返してもらっていないこと。借用書を見せると、義母は「嘘よ! この人は嘘をついているのよ!」と必死に否定したが、通用しない。
ちょうどそのタイミングで夫が義実家に合流した。夫が連れてきたのは、夫より5歳年下の義妹だった。
それを見た義母はさらに顔を青くする。
「え、ど、どうして、あの子がいるんだ?」
義父は首をかしげる。義妹は唇をへの字に結んで、その場に座った。
「今まで私たち夫婦がおかした200万円は、全部あねさんの生活費に回っていたんですよね」
義母は何か言おうとしたが、諦めたのか、がっくりと肩を落として頷いた。
義妹は会社をクビになっていた。遅刻や無断欠勤、サボってスマホゲームをするなど、不真面目さが原因だった。義母に「実家に帰ってきなさい」と言われたが、義妹は「お父さんに怒られるから絶対に嫌」と断固拒否。「お兄ちゃんたちなら子供もいなくてお金も余ってるわよ。なんとかお金もらってきてくれない?」と義母に提案したのだ。
最初に「欲しいバッグがある」と言ってきたのも、お金を借りるための方便だったと義母は白状した。最初の100万円がうまくいったことで味を占めた義妹は、生活費だけでなく趣味のアニメやゲームにもお金を使うようになっていた。義母も最初は躊躇していたが、お金を自由に使う楽しさに目覚めて、義妹と共有していたらしい。
私たちの働いたお金が、そんなことに使われていたなんて。
義妹は心もとない様子で言い訳を口走る。
「家族なんだし、仕事をなくした私のことを助けてくれてもいいでしょ。そもそもお母さんがお兄ちゃんたちに借りたお金なんだから、私関係ないし」
義母は「私が悪いの」と泣いている。自分の身勝手のために、私だけでなく実の家族まで巻き込んで。
義父の怒鳴り声が飛ぶ。
「お前たち、いい年した大人が人のお金を恥を知れ! さえ子さんとあ人に謝罪しないか!」
義母は畳に頭を擦りつけて謝罪の言葉を繰り返す。義妹は「お父さんが200万返したんならもういいじゃん」と言った。義父は義妹に近寄ると、半ばねじ伏せるようにして頭を押しつけた。
「謝るんだ。それからこの200万は、長い時間がかかってもきちんとお前たちに返してもらうから覚悟しておけ」
義妹は「ごめんなさい」と謝罪した。義父は改めて私たちに頭を下げる。
「2人とも本当にすまなかった。特にさえ子さん、さっきは怒鳴りつけて申し訳ないことをした」
そして義父は泣いている義母と義妹に冷たく言い放った。
「お前たちにはほとほと愛想が尽きた。もう縁を切りたいくらいだ」
「縁を切る」イコール「離婚」と結びついた義母が、弾けるように体を起こして私にすがりつく。
「離婚なんて嫌よ。さえ子さん、お父さんを止めてちょうだい。あなたも私の娘でしょ。私の味方をしてくれるわよね」
私は義母の手をゆっくりと引き剥がした。
「お母さんに初めてご挨拶した時、本当の母親だと思ってくれてって言ってもらえて、私本当に嬉しかったんです。でも実際は、お母さんは都合のいい時ばかり私を娘と呼んで、私の気持ちを考えてはくださらなかった。そんな母なら、私いりません」
義母は瞬時に顔を歪めて私を罵倒した。義父が義母を押さえつけ、「あとはこちらで片をつけるから、お前たちはもう行きなさい」と言った。
私は義母に目を向けることなく、200万円の封筒を鞄にしまう。義妹に声をかけた。
「元はといえば、あなたのせいでこれだけ家族を傷つけてめちゃくちゃにしたんですよ。お母さんも間違っていたけど、あなたのしたこともそれ以上に最低です。しっかり反省して、お父さんにお金を返してくださいね」
そう言って、私と夫はその場を後にした。
数週間後、義父が私たちの住むマンションを訪れた。「迷惑をかけた」と差し出した包みを開けると、中には50万円もの現金が入っていた。私が返そうとすると、義父は「これは少ないけど慰謝料にして欲しい」と譲らない。夫の手もあり、お金を受け取った。
義父からその後の話を聞いた。義母は最後まで嫌だと喚いていたが、無断で義父のカードに手をつけていたことも発覚し、結局離婚となった。義妹と一緒に家を追い出され、今では互いを攻め合いながら親戚の経営する民宿で住み込みの仕事をする日々なのだとか。
実は、義実家での騒動の後、私の妊娠が判明した。夫も義父もとても喜んでくれている。返済してもらった200万円と義父のくれた慰謝料の50万円は、生まれてくる子供のために使おうと思う。
息子が生まれ、月日は流れた。私はミキ。子育てをしながら働く38歳だ。息子が小学校に上がるタイミングで元の職場に再雇用してもらい、在宅ワークを中心に働いている。夫は2つ年上の40歳。やり手の営業マンだったが、3年前に転職して以来、給料は下がり、残業ばかりの毎日だ。
私の実家は田舎で農家をやっている。息子は小さい頃から畑仕事を見て育ち、今では田舎に行くとそれを楽しそうに手伝っている。両親は孫と一緒に畑仕事ができるのが相当嬉しいらしい。夫は都会育ちで田舎が嫌いで、私の実家に行く時は無理やり仕事を入れて行かないようにしている。
今年も1週間くらい田舎に行きたいと夫に確認すると、案の定「仕事が忙しいから」と断られた。息子を連れて実家に遊びに行くと、夫から毎日のように連絡が来る。「俺の着替えどこ?」「ご飯って何食べればいいの?」そんなことばかりだ。着替えはまとめて出してきたし、ご飯だって作り置きを冷凍してきた。いい大人なんだから、それくらい自分で何とかしてほしい。
家に帰ると、洗っていない洗濯物、出していないゴミが散らかっていた。夫に言っても「仕事で疲れたんだからしょうがないだろう」と予想通りの言葉が返ってくるだけだ。
それから1ヶ月、息子は田舎から帰ってきて以来、何かを考えるようなそぶりが増えた。寂しいのかなと思ったけど、理由を聞いてみると大人顔負けの回答だった。
「おじいちゃんもおばあちゃんも畑仕事が大変そうだよね。大丈夫かな? もっと簡単にできればいいのにね」
祖父母の心配をしていたようだ。息子の成長を感じる。
その後、用事があって会社に行った時、社長との雑談で息子の話になった。すると社長が食いついてきた。どうやら会社の技術を農業にも活かせないかと、新しいプロジェクトを立ち上げようとしているらしい。いわゆる農業のIT化だ。試験的に協力してくれる農家を探しているというので、私は早速両親に話し、私がサポートに入ることで実家が協力してくれることになった。
そこから私の生活にはこれまでよりも張りが出てきた。ただこなしているだけの仕事から、自分で考える仕事が増え、実家の手伝いができると思うとアイディアも広がってワクワクしている。私のやりたい仕事はこれだったんだ。
その様子を見た夫が、何を勘違いしたのか不機嫌に聞いてきた。
「お前、最近浮気でもしてるの?」
あまりに突拍子もない発言に、私も変な声を出してしまう。仕事が楽しいだけだと説明しても、夫の相槌はいつも「はあ」だ。今回は珍しく「へえ。お前農家になるの」と見下した顔でニヤニヤしながら言ってきた。
農家や田舎を見下す夫に苛立ちを覚えたが、息子のためにも両親は揃っていた方がいいと思い、私が離婚を考えることはなかった。
でも、嵐は突然やってくる。
数ヶ月後、私は会社をやめて独立することになった。自分でやりたいことが増えてきて、会社と相談した結果、業務提携という形で独立することになったのだ。前々から夫には話していたはずなのに、いざ会社を辞めるとなったら大事件が起こった。
仕事から帰ってきた夫に「話していた通り、今日で退職したからね」と報告すると、夫は突然私を睨みつけた。
「本当に辞めたの? なんでお前、ニートにでもなるの?」
私は思わず夫と全く同じ言葉が口から出そうになるのをこらえた。あんなに話していたのに、何も聞いていなかったのか。
「仕事をしないわけじゃなくて、独立するの」
「独立なんて都合のいい言い訳だろ。今までだって家でゴロゴロしながらパソコン開いて、仕事してたんだか遊んでたんだかわかんない状態だったのに。またパソコンで遊んで、仕事した気になってるだけだろ」
私は頭に来た。在宅ワークが理解されないのは、一定数こういう考えの人がいるからだろう。
「私はちゃんと仕事をしていたし、合間に家事もやってる。仕事も家事も育児も、ほとんど手を抜いたこともないはずだけど」
「家にいるんだから、家事も育児も当たり前だろ。お前の仕事だよ」
「だったら、あなたがちゃんと稼いできてよ。転職してからの給料、今までよりも下がってるんだよ。今は私の方が稼いでるんだからね。むしろ私の方が家計に多く入れてるんだから」
「でも辞めるんだろ? ニートじゃん」
夫はため息をついてリビングを出ていってしまった。ちゃんと話ができないから、喧嘩にもならない。明日になればまた普通に戻るかな、なんて思っていると、夫が戻ってきてテーブルの前で立ち止まった。
「金がない嫁は要らない。これ書いて離婚しろ」
どこから持ってきたのか、夫はテーブルの上に離婚届を置いた。
私は一瞬戸惑ったけど、夫の行動に腹が立っていたので受け入れる。
「本当にいいのね」
「当たり前だろ。専業主婦のニートを養う義務なんかない」
「ああ、そうですか」
この人には何を言っても無駄だ。でも、息子がいるのだから、そんな簡単に離婚なんて。
そう話すと、夫は笑い飛ばした。
「お前が連れて行けよ。子育ては母親の仕事だからな。それにあいつ、俺に全然似てないじゃん。誰の子供だよ」
私は耳を疑った。夫はだんだんと息子と遊ばなくなり、今では会話もほとんどしていない。まさか、そんなことを言い出すとは思っていなかった。
「どうしてそんなことが言えるの? あの子は間違いなく、あなたの子だからね」
「養育費の話でもしてるのか?」
私は侮辱されたような気がして声を荒げた。
「だったらDNA鑑定でも何でもしてみなさいよ。その代わり、本当にあなたの息子だったらどうなるか分かってるんでしょうね」
「証明できたら養育費でも何でも払ってやるよ」
息子には苦労をかけたけど、新年度からは転校することになった。私の実家に住ませてもらい、息子はそこの学校に通う。私の仕事はどこでもできるし、むしろ農業のIT化について調べたり研究したりするのには、この環境の方が助かる。息子も畑仕事を手伝うのが楽しそうだし、私がやっている仕事について話すと、目を輝かせて食いついてくる。
私と息子が家を出る前、DNA鑑定の結果が出て、夫と息子の親子関係は当然立証された。それを踏まえて話をすれば、離婚なんて思いとどまってくれるかもしれない。息子も両親が揃っていた方がいいだろう。そう思って、夫に話をしようとしていた。だが、私の様子がいつもと違うことに気づいた息子が言った。
「お父さんがいなくても平気だよ」
私は目を丸くして、どうしてかと息子に聞く。すると、とんでもない事実が発覚した。
息子は、夫が浮気をしているというのだ。友達と放課後に遊んでいたら、夫と若い女の人が腕を組んで歩いていたらしい。それも何回も見たという。どうやら田舎から帰った後、息子が考え込んでいたのは、夫の浮気を目撃したこともあったようだ。でも、私が悲しむと思って、なかなか言い出せなかったらしい。
振り返れば、夫に怪しい行動がなかったとは言いきれない。転職して以来帰りが遅くなったし、お風呂場にまでスマホを持っていくようになった。でも、それは普通に仕事をしているだけだと思っていた。離婚なんて考えたこともなかったから、浮気しているかもしれないなんて思いもしなかったのかもしれない。
夫が私に「浮気してるんじゃないの」と言ってきたのも、もしかしたら自分が浮気しているから出てきた発想だろう。
そう思うと居ても立ってもいられなくなって、恥を忍んでママ友に相談した。すると彼女も、夫が浮気相手らしき人といるところを見たことがあるという。しかもママ友はその現場を思わずスマホで撮ってしまい、私に言うべきか考えていたらしい。
浮気するならもっと別のところですればいいのに。私が在宅ワークだから家から出ないと思っているのか。意外にも夫は近所でデートを繰り返していたようだ。
夫がお風呂に入っている隙に、洗面所に用事があるふりをしてスマホを確認すると、ちょうどいいタイミングで浮気相手らしき人からのメッセージが届いて、証拠も保存した。他にも部屋に捨てられていたレシートから夫の行動範囲が分かり、浮気の証拠を集めるのはそう難しくなかった。
私は弁護士を通じて、浮気の慰謝料と養育費を請求する。すんなり払ってくれるとは思えなかったから、弁護士に頼んだ。すると案の定、夫から連絡が来る。しかもあんなに嫌がっていた私の実家まで、わざわざ夫が来た。
「なんだよ、これ。どういうことだよ」
玄関に出ていくと、夫が喚き始める。
「見れば分かるでしょう。慰謝料と養育費の請求額。あ、あとDNA鑑定の結果もね。親子関係が立証できたら養育費は払うって、自分で言ったよね? ちゃんと払ってよ。それに、そっちは身に覚えがあるでしょう。浮気の慰謝料」
私は怒りを通り越して、もはや笑っていた。
「浮気なんてしていない」と言いはる夫。もちろん、そんな言葉はもう通じない。私は夫が持っている封筒を奪い取り、中身を出した。
「これが浮気の証拠だから、その慰謝料の請求分かるでしょ? あなたが私に浮気してるとか言ってきたけど、それって自分が浮気してたから出た発想だよね。しかも浮気相手、前の会社の子じゃない。あ、そうそう、既婚者で、旦那さんはあなたの同僚だったそうじゃないの。転職したのもヘッドハンティングって自慢に話してたけど、浮気で居づらくなったから移っただけでしょ。残業だって言って浮気してるとは思わなかったわ」
ため息をつきながら言うと、夫は私を睨みつける。
「こんなの出来合いだ。こんな写真、いくらでも捏造できるだろう」
もう言い返す気力もなくなるほど馬鹿馬鹿しい。
「そうね。捏造はできるかもしれないけど、それは本物な。なんでだよ? だって捏造写真を作るほど暇じゃないし。その証拠を押さえたの、私だからね」
それでも「捏造だ」なんだと言ってくる夫に頭に来て、私は声を荒げた。
「そもそも、2度目の慰謝料請求なんて困るわよね。今の会社の給料、実はそんなに少なくなかったんじゃない? 家計に入れられなかったのは、前の浮気相手への慰謝料を払ってたからなんでしょ。なんかおかしいと思ってたのよ。浮気相手の元旦那さんから慰謝料請求されて、私に黙って給料から払ってたんでしょ。そんなことしてたら、お金もなくなるわよね。でも今回もきっちり払ってもらえますからね」
浮気相手とは「お互い結婚する相手を間違えた。運命の相手だ」なんて盛り上がってたみたいだ。だったら離婚すればよかったのに。私と離婚したら自由に使えるお金が減ってしまうから、離婚しなかったのだろう。
今回夫が強気だったのは、本当に私が浮気をして息子が自分の子供じゃないと思い込んだからのようだ。浮気相手に「奥さん、浮気してるんじゃないの」とすり込まれた結果だそうだ。
「こんなこと言われたくらいで私を疑えるんだから、やっぱり離婚するのが正解だろう」
とにかくもう離婚するし、すでに別居してるんだから何の不都合もないでしょ。すると夫がなんだか険しい顔をしたので、私は笑い飛ばしてやった。
「ああ、不都合はあるかもね。今、家の中大変でしょ? 洗濯機も使えないし、ゴミ出しの仕方もわかんないもんね。でも、ゴミ屋敷なんかにしたら追い出されるから、早く片付けなさいよ。私はそんなところに行きたくないから。もう2度とあの家に戻ることはないから。せいぜい浮気相手と一緒に頑張って。あ、慰謝料と養育費、どっちも一括払いにしてね。分割で踏み倒されるのも嫌だから。先に払ってね。よろしく」
「おい、待ってくれよ」
夫は絶望したような顔で玄関で声をあげていたけど、誰も相手にしないと分かると、ぼとぼとと車に乗って帰って行った。息子との親子関係が証明されたことに、意外とショックを受けたらしい。あれだけ「親子じゃない」と言っていた浮気相手のことを、信用できなくなったのだろう。
その後、夫との離婚は無事に成立。言った通り、慰謝料と養育費は一括で払ってもらった。貯金を崩しても払えなかったので、夫は離婚調停の相手方に借金をしたそうだ。浮気相手にも慰謝料を請求したところ、元夫と浮気相手は大喧嘩。「どうして私が慰謝料を払うんだ」と浮気相手は喚いていたようだけど、自分が人の夫と浮気をしたんだから当たり前だ。
私たちが住んでいたマンションは、家賃が払えなくなって退去。今は浮気相手とボロアパートに引っ越したそうで、浮気相手はそのアパートも気に入らないらしいが、行く当てもなく仕方なく同居しているようだ。
私は仕事もすっかり軌道に乗り、毎日楽しく過ごしている。IT関係の仕事に就いた時はこんな未来があるなんて全く思っていなかったけど、私の勉強してきたことが実家の農業の役に立っているなんて、夢のようだ。IT化によって畑での作業時間が減り、両親は体力的にも負担が少なくなったと言って喜んでいる。
息子は中学に入り、馴染めるか心配していたけど、今日も元気に学校に向かったところだ。息子のお気に入りの場所は今も畑だけど、私の仕事にも興味を示していて、最近では「パソコンを教えて」と言い始めた。
親バカだと思うけど、将来が楽しみだ。



