「高卒が作ったものなんて使えるわけないだろう。お前は必要ないんだよ。やめたらどうだ?」…

「高卒が作ったものなんて使えるわけないだろう。お前は必要ないんだよ。やめたらどうだ?」...

「お前のシステムは俺の優秀な部下が作り替える。そしてお前が作ったシステムは全て削除しろ。」

部長は喜びの表情でそう言った。俺が「やめます」と告げた瞬間、彼の目が確かに勝ち誇ったように光ったのだ。

俺の名前は三浦夕平。この会社でシステム構築とソフトウェア開発を担当している。自分で言うのもなんだが、プログラミングの才能には恵まれていると思っている。高校時代からソフトウェア開発に情熱を注ぎ、すでにプログラミングコンテストで優勝した経験もある。その頃からネット上で仕事を受け、様々なプロジェクトに携わってきた。

大学には進学しなかった。独学で知識と技術を身につけた俺にとって、学歴より実力で勝負する道を選んだのだ。

当時、社長は新しい会社を立ち上げたばかりで、個人でありながらソフトウェアを得意とする俺にも仕事を発注してくれていた。社長は俺の才能を認め、将来に期待を寄せてくれていた。

「三浦君、君の実力なら社会に出ても即戦力になるよ。是非とも我が社に来てくれないか?」

その言葉に応え、俺は高校卒業後すぐに社長の誘いに乗って就職した。当時はまだ小さな会社だったが、俺の技術と社長の経営手腕が結びつき、会社は着実に知名度を上げていった。俺は書籍やオンラインを駆使して新しいプログラミング言語を習得し、プロのエンジニアとしての地位を築いていった。

そして二十年の歳月が経ち、会社は一流大学の卒業生でなければ入れないような企業にまで成長した。

「やはり君を採用した私の目に狂いはなかったようだ。我が社を支えてくれて本当に助かっているよ。」

社長は俺の能力を高く評価し、会社の未来を担う重要な人材として位置づけてくれていた。俺は多くのプロジェクトで中心的な役割を果たし、仕事にやりがいを見出していた。

しかし、厄介な人物もいた。松本部長だ。彼は東大卒で、学歴を重視する傾向が強く、俺のような高卒を軽視し、雑用を押し付ける態度を取ってきた。

「三浦、お前高卒なの?へえ。この会社って大卒しか取らないのに。お前がここにいるのはただ運が良かっただけだな。」

俺は低学歴だという理由で、部長から馬鹿にされ続けた。彼は俺と社長で会社をここまで大きくしたことや、社内で特別優秀とされていることを何も知らない。だが、自分から言うのもなんだと思い、俺は実力で部長に認められるように努力を続けた。

同僚の藤本晋太は、高学歴だったため部長に大変気に入られ、特別扱いされていた。だが、藤本自身は学歴よりも実力を重視する男で、長い付き合いの俺を常に理解し、支えてくれていた。

「夕平の実力は部長にもっと認められるべきだ。なんとかしてやるよ。」

「藤本、君の助けには本当に感謝している。だけど、松本部長の態度が変わるとは思えないな。」

それでも俺は諦めずに努力を続けたが、部長の考え方は固く、学歴を基準にした評価を変えようとはしなかった。

ある日、部長がこれまでの俺の努力を打ち壊すようなことを言ってきた。

「高卒が作ったシステムやソフトウェアを使うなんて危険だ。」

今までの努力や情熱が、一瞬で否定された。危険なことなど何もない。さすがの俺も黙っていられず、言い返した。

「部長、私のシステムは確かな品質と機能を備えています。社長もそれを高く評価していました。学歴や頭脳の優劣だけで人材の価値を判断するのは間違っています。実力と成果を見てください。」

しかし、部長は最後まで耳を貸さなかった。

「高卒が作ったものなんて使えるわけないだろう。優れた頭脳を持つ学歴の高い社員たちがやってくれるから、お前は必要ないんだよ。やめたらどうだ?」

その言葉は心をえぐるような痛みを与えた。怒りと悲しみが胸に込み上げる。これまでの努力や実績が一瞬にして否定されるのかと思うと胸が締めつけられた。

俺は自分の実力を信じている。高卒であろうと、俺の技術は誰にも負けない。だが、部長からのひどい扱いと嫌みにもはや我慢できなくなった。

「やめます。もうこれ以上、部長の元で働くことはできません。」

部長は喜びの表情を見せた。

「お前のシステムは俺の優秀な部下が作り替える。そして、お前が作ったシステムは全て削除しろ。」

俺が生み出したものが、ただの捨てられる存在にされる。許せない気持ちと、それでも部長の命令に従うべきか迷った。

何より、俺の作ったシステムを削除することで、大変な状況になるかもしれない。同僚や部下に困惑する状況を作ることになる。そう思って尋ねた。

「大変なことになると思いますが、大丈夫ですか?」

「問題ない。言われた通りやっておけ。」

部長は冷たい表情で答えた。

「わかりました。」

仕事を離れる時、俺は一つずつソフトウェアを削除して会社を後にした。この後の展開は、なんとなく想像できていた。

藤本はその日、一日外回りをしていたため何も知らなかった。会社に戻った後、全てを知ることになる。

「システムが消えてる。部長、どういうことですか?」

「三浦が作ったシステムは、この会社にとって必要不可欠で、何より…」

「あいつがいないとそんなに問題か。」

部長は、自分が気に入っている藤本が俺の不在で取り乱しているのを見て、自分のしたことの重大さに少し気づき始めたようだった。

数日後、見慣れた番号から電話がかかってきた。

「もしもし、三浦です。」

電話の向こうは、辞めた会社の社長だった。

「三浦君、辞めたことを聞いて連絡してきたんだ。」

「はい…社長、何も言っていなくて申し訳ございませんでした。部長には常日頃から馬鹿にされていて、俺が作ったシステムを全て削除するよう言われたのです。我慢できなくなってやめました。」

「いや、君は悪くないんだ。松本への正式な処分はまた後で話す。一旦、お願い事があるんだ。実は君が作った勤怠管理システムが全く動かなくて困っているんだ。だから戻ってきてくれないか。」

俺は心の中で「だろうな」と思った。俺は高機能な勤怠管理システムを開発していた。社員型カードを利用し、出退勤管理はもちろん、残業管理やシフト管理、業務振り分け管理などあらゆる分野と連携できる、俺が独自で作り上げたものだ。当時、社長からも高い評価を受けた。だが、そのシステムは非常に複雑な仕組みを持っており、他の学歴の高いエンジニアたちにとって構築するのは難しかったようだ。

戻ってきてほしいという社長の懇願に、俺は深く考え込んだ。部長との関係や傷ついた心を思い出すと、複雑な感情が湧いた。

「社長、ありがとうございます。でも、部長の態度が変わらない限り、私は再びあの会社に戻ることはできないと思います。」

「悩むのは無理もない。部長にあんなことを言われたもんな。俺も助けてやれなくて申し訳なかった。しかし、三浦君がいないと会社は成り立たない。今までも、これからだってそうだ。」

社長は部長の件を謝罪し、俺がいなければ会社が成り立たないと語ってくれた。

「部長と話し合いの場を持ったんだ。彼を別の部署に移動させることになった。部下の正当な評価ができない上司では意味がないと伝えた。」

実は、藤本が部長が俺に言った言葉をすぐに社長に伝えていた。その話を聞いた社長は激怒し、部長を叱責したらしい。

「三浦君はこの会社の中でも最も優秀なエンジニアであり、彼の実力は見逃せないほどだ。私は彼の実力を買ってこの会社に来てもらったんだ。この会社の歴史は彼と共にあると言っても過言ではない。学歴だけで優秀さを判断するのはどうだろうか。三浦君は努力と情熱で自らの才能を開花させ、数々のプロジェクトで結果を出した。君の偏った考え方が、この会社の進歩を妨げているとは思わないか?」

震える部長に、社長は続けた。

「三浦君はこの会社の宝だ。そして、彼を否定するということは、私を否定するのと同じようなものなんだよ。」

その話を聞き、俺は改めて社長のリーダーシップと人間性に感銘を受けた。そして、そこまでしてくれるならと、復帰を決めた。

「社長、ありがとうございます。わかりました。再び会社に戻ります。」

数日後、俺は再び会社へ戻った。社内は歓迎の雰囲気に包まれた。

「夕平、お前よく戻ってきてくれた。大変だったんだぞ。お前がいなきゃ会社はダメになっていただろう。本当にありがとうな。」

藤本が泣きそうな顔で俺のところへ来た。俺も、藤本にあれだけ相談していたのに、去るような形で一度会社を辞めてしまったことを申し訳なく思った。

「三浦さん、お帰りなさい。本当に嬉しいですよ。待ってましたよ、三浦さん。」

周囲からの温かい言葉と笑顔に、心が温かくなった。そして、松本部長はもう以前の席にはいなかった。

さて、ここからが俺の仕事だ。削除したシステムを戻さなければならない。自分で削除したシステムを自分で戻すとは、時間も労力も無駄な作業ではあるが、システムは元通り正常に動作するようになった。困難な局面を乗り越え、俺の手で作り上げたシステムが再び輝きを取り戻した瞬間、喜びと達成感で満たされた。

その後、社長から新たな提案があった。俺が部長代理として部署をまとめてほしいというのだ。

学歴に偏らず実力を重視する部署を築き上げ、社内の風通しを改善するために、俺は奮闘する決意を固めた。学歴や出身大学に囚われず、才能や努力を正当に評価し、チーム全体の力を最大限に引き出すこと。それが、これからの俺の使命だと感じた。

これからも俺は技術の進歩と創造性を追求し、組織全体の発展に貢献していくつもりだ。そして、人々の実力や情熱を重視する風土を確立し、俺自身も成長し続けることで、社内の活力と競争力を高めていこうと決心した。

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