「その気になれば、弱小企業なんていつでも潰せるんですよ」―そう電話口で笑いながら言われた時、血の気が引く感覚がした。取引先の新担当者・吉田は、電話越しにそう宣告した。しかも値下げ要求や納期短縮を無理強いしてきて、断れば「立場を考えろ」と脅してくる。きっとこのタイプは昔、俺を心身ともにボロボロにした工場長と同じ顔をしている。今日まで我慢してきた。だが、吉田は知らない。恩人の会社を守るために、俺…

「その気になれば、弱小企業なんていつでも潰せるんですよ」―そう電話口で笑いながら言われた時、血の気が引く感覚がした。取引先の新担当者・吉田は、電話越しにそう宣告した。しかも値下げ要求や納期短縮を無理強いしてきて、断れば「立場を考えろ」と脅してくる。きっとこのタイプは昔、俺を心身ともにボロボロにした工場長と同じ顔をしている。今日まで我慢してきた。だが、吉田は知らない。恩人の会社を守るために、俺...

取引先の担当者が、歪んだ笑みを浮かべて言ったんだ。「弱小企業なんていつでも潰せる」。その顔を見た瞬間、俺の脳裏に過去の記憶が蘇った。昔、俺を虐めていた工場長と、まったく同じ顔をしていた。こういう人間は絶対に許せない。俺は固い決意を胸に、ある計画を実行した。結果、担当者は社会人生活はおろか、自分の人生さえも棒に振ることになった。

俺の名前は西岡、48歳。貧しい家庭に育ったから、高校を卒業してすぐに働き始めた。最初の就職先は、地元の小さな工場。人口の少ない閉鎖的な職場で、空気は重く淀んでいた。

「お前みたいな人間は、いくらでも替えが効くんだよ」

そう言い放ったのは工場長だった。若くて立場の弱い人間を虐めることを唯一の楽しみにしている、最低の性格の持ち主だった。

毎日のように罵倒され、俺の心は疲弊していった。仕事帰り、無意識のうちに口から漏れたのは「消えてしまいたい」という言葉だった。すぐに我に返って自分の口を手で覆う。手は震え、全身が冷たくなっていくのを感じた。

このままではまずいと思った俺は、工場を辞めて都会へ出ることにした。都会なら、稼げる仕事もあると思ったからだ。しかし、現実は残酷だった。無一文で上京した俺を待っていたのは、いきなりのカツアゲだった。

「おい、金出せよ」

上京当日、悪い連中に絡まれ、路地裏に連れて行かれてしまった。複数の男に囲まれ、どうすることもできずに絶望していると、突然、声が聞こえてきた。

「警察に通報したからな」

男たちは足早に逃げ去った。取り残された俺に手を差し伸べてくれたのは、江崎社長だった。

「兄ちゃん、大丈夫か?」

「あ、ありがとうございます… 」

「飯は食ったか?」

「まだです… 」

「じゃあ、飯でも食いながら話そう。腹が減っちゃ力も出ないだろう」

豪快に笑いながら言ってくれた社長に、俺は思わず目頭が熱くなった。知らない人間に、ここまでしてくれる人がいるとは思わなかった。

その後、社長と親しくなった俺は就職先を紹介してもらい、真面目にコツコツ働いてお金を貯めた。そして40歳の時、独立して自分の会社を起こしたのだ。

江崎社長とはずっと付き合いがあり、会社を起こした直後、仕事に困っていた時に自社との取引を持ちかけてくれた。おかげで会社の経営は軌道に乗り、従業員数も徐々に増えていった。

44歳の時、もっと広い場所に会社を引っ越したいと考えていた俺に、社長は自分の所有する土地の一つを譲ってくれると言った。

「社長、いくら何でもそこまでしていただくわけには… 」

「いいからいいから。田舎にある何の価値もない土地だ。お前がもらってくれれば、俺は無駄な固定資産税を払わずに済む」

確かに譲ってもらった土地は広いだけで大した価値はなかったが、それでも俺には大きすぎる恩だった。

「ありがとうございます。この恩は必ず返します」

「ああ、楽しみに待ってるぜ」

しかし、俺は江崎社長に恩返しができなかった。俺が45歳の時、突然、社長が病気で亡くなってしまったのだ。

父親のように慕っていた人がいなくなり、俺の心には大きな穴が開いた。葬儀が終わった後、俺は一人で斎場の前に座り込んだ。

「社長…

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結局何ひとつ恩返しができませんでした。本当に申し訳ありません」

社長の遺影は、いつもと同じ笑顔でそこにあった。

呆然としている間に、新しい社長が就任した。専務だった森さんという人だ。初めて顔を合わせた時から、俺は江崎社長との違いを感じていた。性格は明るいのだが、調子のいいことばかり言う。その場のノリで重要事項を決めることもあり、経営能力にはかなりの疑問を持っていた。

ほどなくして、俺の不安は見事に的中した。就任して1年ほどで、江崎社長の会社が傾き始めたのだ。本格的な経営の立て直しをしなければ、倒産の可能性もある。

そこで森社長は思い切った決断を下した。駅前にあった本社を売却し、土地価格が安い山の近くに本社を移転したのだ。固定費をかなりカットすることができ、なんとか経営を立て直すことができた。

俺としても、恩人の会社が残ったことに胸を撫で下ろした。今も取引が続いているので、恩人の会社であると同時に、売上を支えてくれる貴重な取引先でもあるのだ。

48歳の誕生日を迎えた直後の春。俺は社長室で、そんなことをのんびりと考えていた。あの大事件が起こるまでは、まったく知る由もなかった。

始まりは、森社長の会社の担当者変更の通達だった。窓口は俺が担当している。会社を起こした当時からの長い付き合いということもあり、他の社員に任せる気は起きなかったのだ。前任の担当者が急病で入院し、そのまま退職することになったらしい。

新しい担当者が決まり、挨拶のために俺の会社を訪れた。

「まったく、ろくな引き継ぎもせず入院なんて、迷惑な話ですよね」

一方的に話しているのは、新担当者の吉田さんだ。ペラペラとよく動く口をぼんやり見ながら、吉田さんのプロフィールを頭の中で整理した。半年前に大手企業から転職してきたらしい。前職では年商数百億規模の案件を担当していたと、本人が誇らしげに話していた。

元の職場で上司とそりが合わず転職したと言っているが、俺の考えでは、吉田さんの性格にも原因がありそうだ。

「いい条件だと思って転職したけど、まさか辺境地にある会社だとは思いませんでしたよ。数年前に移転したそうですけど、なんであんな場所を選んだんですかね」

事前に会社の住所を調べなかったのかというツッコミは、心の中に留めておいた。相手は大切な取引先で、しかも恩人の会社の人間だ。気分を害するようなことはしたくない。

俺が大人しく話を聞いていると、吉田さんは徐々に調子に乗り始めた。

「まあ、うちの会社は建物が新しいので居心地はいいですけどね。こことは違って。おっと、失礼」

嫌味な笑みを浮かべる吉田さん。少し眉を寄せると、吉田さんはヘラヘラと笑いながら言った。

「冗談ですって」

「… そうですか」

「おっと、もうこんな時間だ。今日はこの辺で失礼しますね」

吉田さんを見送りながら、俺は小さくため息をついた。今後、何事もなければいいけど。俺のつぶやきは誰にも届かず、地面へ落ちていった。

それから1週間後、突然、吉田さんから電話がかかってきた。

「あの、ちょっとお願いがあるんですけど、料金下げてくれませんか?」

「え? どうしてです?」

唐突な要求に驚きつつ、理由を尋ねた。

「最近、うちの会社また経営が怪しくなってるみたいで、コストカットしろって全社員に達しが出たんですよ」

森社長の経営手腕は、未だにレベルアップには至っていないらしい。本社の売却で経営を立て直せたかと思っていたが、ピンチは続いているようだ。

「それで、西岡社長の会社に協力していただきたくて」

「申し訳ありませんが、それはちょっと… うちも経営に余裕があるわけではないので」

即座に断ったが、吉田さんの声に不穏な気配が混じり始めた。

「あの、ご自分の立場分かってます? うちの会社に仕事をもらってるんですよね。別の会社に乗り換えてもいいんですよ」

驚きすぎて黙っていると、さらにこんなことを口にした。

「コストカットで結果を出した社員は昇進が有利になるんですよ。俺、将来的に役員を目指してるんです。今のうちに俺と仲良くしておいた方が、御社のためにもなると思うんですけどね」

要するに、吉田さんは自分の利益のために俺に無理を強いているのだ。本音を言えば断りたかったが、相手は恩人の会社の社員だ。結局、できる範囲ギリギリで値下げに応じた。

すると調子に乗った吉田さんは、今度は納期短縮を要求してきた。しかも、簡単なメールをよこしただけで、特急料金はなし。これはさすがに無理がある。抗議したところでまた脅されるだけだと考えた俺は、吉田さんの上司に電話で連絡をした。

「吉田さんから納期短縮のメールが届いたのですが」

「はあ… それはすみませんね」

上司の声は気が抜けていて、俺の話を真面目に聞いている様子はなかった。

「うちも大変なんですよ。お互い様ってことで、なんとか頑張っていただけませんか?」

どうやら上司は吉田さんの味方のようだ。ため息をつきながら電話を切ると、すぐさま吉田さんから着信が入った。

「あの、うちの上司に変なこと吹き込まないでくれます? 仕事の邪魔なんで」

「ですが、納期の短縮は無理で…

俺が言い返す前に、吉田さんは電話を切ってしまった。

問題はこれだけにとどまらない。他の取引先からも値引き要求が届き始めたのだ。あまりにも件数が多く、窓口担当の社員から相談を受けたため、社長である俺が自ら取引先の一つに事情を尋ねた。

「御社は値引き交渉に応じてくれると、吉田さんという方から聞いたんです」

吉田さんは、参加した業界の交流会で、うちが簡単に値引きに応じると吹聴していたらしい。胸の奥がじわりと熱くなるのを感じた。これは俺一人の問題ではない。従業員たちの生活にも、直接関わってくることだ。

「あれは特例で、うちは値引きに応じてません。申し訳ありませんが、今まで通りの価格でお願いします」

きっぱり断ると、担当者は少々不満げだったが、素直に引き下がった。他の取引先も大半は応じてくれたが、中には不満をあらわにする人もいる。最終的に、複数の会社との関係が悪化してしまった。

もはやこれは、吉田さんと俺だけの問題じゃないぞ。次にあった時にはしっかり話し合いをしなければ。

そう思っていた矢先、吉田さんから電話がかかってきて、またもや無理難題を押し付けてきた。

「新商品を作ろうと思ってて、御社に部品制作を依頼したいんですよ」

提示された価格は相場の3分の1。納期は、本来必要な期間のわずか半分程度だった。

「吉田さん、いい加減にしてください。我が社はあなたの飯の種じゃありません」

怒りのあまり、言葉がトゲトゲしくなってしまう。言いすぎたか。しかし、今さら引っ込める気にはなれなかった。慌てて口を片手で抑えると、吉田さんから帰ってきた言葉に俺は目を丸くした。

「はあ? 誰に向かって偉そうな口聞いてるんですか? うちはあんたの会社に仕事を与えてやってるんです。その気になれば、弱小企業なんていつでも潰せるんですよ」

次の瞬間、俺の脳裏に昔の記憶が蘇る。地元の工場で働いていた時、工場長に言われたあの言葉。「お前みたいな人間は、いくらでも替えが効くんだよ」。

あの時の俺は、ただ黙って俯くしかできなかった。治ったと思っていた心の傷が、また抉られるのを感じる。吉田さんの声と工場長の声が、頭の中で重なり合う。立場の弱い人間を踏みにじることに、何の躊躇もない。同じ顔だ。全く同じ顔をしている。

確かに我が社は規模が小さい。社歴も古いし、バリバリ稼いでいるわけでもない。俺自身も、頼りがいがある見た目や雰囲気がある社長ではない。認めたくはないが、それが現実だ。しかし、馬鹿にされる筋合いもなかった。

「同感です」

考えるより先に、口が動いていた。

「は? 何がだよ。おい」

吉田さんの問いかけには答えず、電話を切る。そして、小さく呟いた。

「弱小企業はいつでも潰せる。俺も同じ考えですよ、吉田さん」

俺はスマホを操作して、ある人に電話をかけた。

「もしもし。頼みたいことがあるんですけど」

頭の中で今日のスケジュールを組み直す。これから忙しくなりそうだ。残業確定だなと思いながら、俺はある計画を進めた。

翌日、社長室でいつも通り仕事をしていたところ、内線がかかってきた。

「もしもし。お仕事中失礼します。社長、お客様です」

「わかった。社長室にお通しして」

即座に伝えると、間もなくして社長室の扉がノックされた。

「どうも」

「さあ、入ってください」

笑顔の俺とは対象的に、相手の顔は真っ青だった。

「し、失礼します」

震える声をあげながら社長室に入ってきたのは、吉田さんの会社のトップ、森社長だ。続けて、滝のような汗を流しながら吉田さんが入ってきた。

「西岡社長、これは一体どういうことでしょう?」

森社長の手には、茶封筒が握られていた。

「昨日、郵便で送った手紙が届いたんですね」

「はい。御社の顧問弁護士から送られてきた、本社の土地の賃貸借契約の解除通告が今朝、我が社に届きました」

次の瞬間、吉田さんが悲鳴混じりの声をあげた。

「なんで言ってくれなかったんだよ。うちの会社があんたの土地の上に立ってるってこと… 」

「むしろ、なんで知らなかったんですかと聞きたいですね」

大手企業出身の吉田さんには、借地という概念がそもそも頭になかったのかもしれない。

森社長に視線を移すと、しどろもどろに事情を明かす。

「全担当者が急病で倒れ、引き継ぎがしっかりできていなかったようで… 」

そんな理由が通用するのかと、呆れてため息をついた。俺が46歳の時の話だ。経営の立て直しを始めた森社長が、突然、我が社を訪れたのだ。

「西岡社長は、先代社長から土地をもらいましたよね。あの土地を貸していただけないでしょうか? 本社を売却して、土地代が安い場所へ移転しようと考えてまして」

森社長が言っているのは、山間にある土地のことだ。会社を大きくする目的で江崎社長からもらったが、移転費用がかなりかかるため、予算を検討している段階だった。

現状、固定資産税を払っているだけで、活用できていない。森社長の提案は、俺にとってもありがたい話だった。

土地の貸し出しで、別の土地への移転費用を稼げるだろう。それに当時の俺は、江崎社長に恩返しができなかったことを気にしていて、社長が残した会社を救えるならばと、あまり迷わず承諾した。

「わかりました。先代にはお世話になりましたし、格安でお貸ししますよ」

「本当ですか? ありがとうございます」

こうして、俺の所有する土地に森社長の会社が移転してきたのだ。しかし、相手は江崎社長ではない。経営手腕に不安のある森社長だ。そこで俺は契約書に、ある条項を盛り込んでいた。

「信義誠実義務違反があった場合の即時解除条項が入っています。あの時、社長が確認してサインしましたよね。今回、違反があったと判断しました。いろいろな文書記録が揃っていたため、顧問弁護士も迅速に対応してくれましてね」

顔面蒼白で震える森社長に、俺は静かに語りかけた。江崎社長のように全面信頼できる相手ではなかったからこそ、万が一の場合の予防策として盛り込んだ条項だったが、まさかこんな形で役に立つとは思わなかった。

「そ、その件ですが、具体的にどのような違反をしたのでしょう? 吉田本人からは、何か問題があったとは聞いていません」

「吉田さん、社長に何も言ってないんですか?」

弁護士が送ったのは賃貸借契約の解除通告のみ。詳しい事情は書いていなかったが、まさか吉田さんが森社長に何も伝えていなかったとは。

「仕方ない。俺から説明します。吉田さんが担当になってから、こんなことがありまして」

今までの出来事を全て明かす。森社長の顔色は、青を通り越して白に変わった。

「おお… 本当にそんなこと…

「会議には記録担当として我が社の社員が同席することもありました。その人に確認を取ってみましょうか。議事録にも残っているはずです」

言い逃れできない状況に、吉田さんは先ほどから震えっぱなしだった。

「吉田、謝れ」

森社長の口から、低い声が聞こえてくる。今まで聞いたことのない、怒りに満ちた声だ。森社長は明るい性格で、問題が起こっても笑顔で受け流そうとする。そんな人の本気の怒りは、かなりの迫力があった。社長として頼りないと思っていたが、こういう一面もあったとは。

吉田さんは森社長の怒りに触れ、心の底から恐怖しているようだ。今までは呆然と突っ立っていたが、ゆっくりと膝を折り、額を床に擦りつけた。

「も、申し訳ございませんでした」

少しつついたら泣き出すのではと思うほど、余裕のない声だ。

しかし、簡単に許すわけにはいかない。

「江崎社長には恩があります。1回だけチャンスを与えましょう」

「本当ですか?」

吉田さんが勢いよく顔を上げる。どうやら、自分にチャンスが与えられたと勘違いしているようだ。

「吉田さんを、今後一切、私の会社との取引に関わらせないでください。厳しい処分もお願いします」

「ひ、わかりました」

即座に頷いた森社長と俺を、吉田さんは交互に見ている。

「ど、どうして… 俺、謝ったじゃないですか」

「黙っても許されないことって、世の中にたくさんあるんですよ。今回の件がそれです。あなたは自分の立場を振りかざし、我が社に無理難題を押し付けた。我が社が受けた損失は計り知れません。頭を下げた程度で許されることではありませんよ」

森社長が頷いて返す。

「お前のせいで、我が社は再び移転する可能性があった。どれだけの費用がかかると思っているんだ。これだけ安く土地を貸してくれるところは他にない。あったとしても、今より辺鄙な山奥か。そもそも移転できるほどの費用なんてない。お前のせいで、我が社は倒産していたかもしれないんだぞ」

吉田さんの目が大きく見開かれ、口からは浅い呼吸が漏れる。

「そ、そんな… 俺、会社に迷惑かけるつもりなんて… 」

「なかったとは言わせませんよ。あなたはとんでもないことをした。しっかりバツを受けなければ」

吉田さんの目から光が失われ、絶望の表情になる。

「2度と俺の前に姿を表さないでください」

吉田さんが崩れるように肩を落とした。

「うう…

嗚咽が聞こえる。床にポタポタと落ちているのは、涙か。しかし誰も、吉田さんに手を差し伸べなかった。

後日、森社長から連絡があった。吉田さんは担当を解任され、遠方の小さな営業所へ移動になったとのことだ。奥さんに離婚を突きつけられ、近いうちに退職になるかもしれないとも聞いた。自業自得だなとしか思えない。

値下げされた取引価格も元通りになり、迷惑な噂もすっかりなくなった。

「よし、今日も張り切って仕事するぞ」

腕まくりをして、自分を鼓舞する。

江崎社長、見守っててくださいね。いつかあの世で再会することがあれば、今回の件も笑って話せるだろうか。そんなことを考えながら、俺は今日も仕事に励んでいる。