離婚届を破り捨てた夫が、義両親に「突然離婚を切り出してきたんだ」と嘘をついた。私は黙ってスマホを取り出し、ある写真を見せた。すると夫の顔色が一変した。浮気現場の写真に、さらに衝撃の事実が隠れていることを、彼はまだ知らない。

離婚届を破り捨てた夫が、義両親に「突然離婚を切り出してきたんだ」と嘘をついた。私は黙ってスマホを取り出し、ある写真を見せた。すると夫の顔色が一変した。浮気現場の写真に、さらに衝撃の事実が隠れていることを、彼はまだ知らない。

「何かあったのかい?ちょっと元気がないように見えるけど」
義両親に顔を覗き込まれ、私は慌てて表情を整えた。夫のことはまだ詳しく話していないが、私が彼の方を見ようとしないこと、そして遠い目をしていたことから、何かあったことは容易に想像がついたに違いない。

玄関で立ち話をするのもなんだと思い、私は二人を部屋に通すことにした。だが、入り口でぴたりと足を止める二人を見て、はっと息を飲む。そうだ。夫が破いた離婚届が、床に散らばったままではないか。
「こ、これは……二人とも、何があったのか聞かせてくれる?」
戸惑いながら互いに私と夫を見る義両親。その目の奥には混乱と、ほんの少しの恐怖が滲んでいた。半分どころではなく細切れになった離婚届を見る機会など、滅多にないだろう。
義両親からじっと視線を送られても、夫は何も言わない。やがて彼は項垂れながら口を開いた。
「いや……突然離婚を切り出してきたんだよ。でも、親父たちと同居したくはないみたいでさ」
眉を八の字に下げ、引きつった笑みを浮かべるその姿からは、気難しい妻に手を焼く夫を演じたいという思いが透けて見えた。私に責任をなすりつけようとする口調だ。

それを聞き、私の胸の内にはさらに彼への苛立ちが募った。こう伝えれば義両親が自分の味方をすると思ったのだろうが、それは違った。
「さん、そう思った理由とかってあるかしら?」
「言いづらいかもしれんが、もし良かったら聞かせてくれないだろうか?」
二人は彼の言い分だけを鵜呑みにせず、私の話も聞こうという姿勢を示してくれた。私はゆっくりと顔を上げ、二人の目をまっすぐに見据えて頭を下げた。
「お父さん、お母さん、本当にごめんなさい」
突然の謝罪に二人は息を飲んだが、同時に、夫の方は別の意味で息を漏らしたようだった。私が彼に逆らったことを悔い改めているとでも思い込んでいるのだろう。勘違いもいい加減にしろ、だ。
「お二人とは同居できません。私はたさんと離婚するつもりです」
離婚届を視界に入れた時点で察しはついていたのだろうが、私は自分の口からしっかりと報告した。頭の上にクエッションマークを浮かべる二人に、私はこの決断に至るまでの経緯を説明していく。
「実は、今回の同居について私は一切知らされていなかったんです」
「え、どういうことだ?」
夫婦でしっかり話し合って決めたと思っていたからこそ、二人は驚きに襲われたのだろう。それはそうだ。普通はそうする家庭の方が多いに違いない。義母は目を丸くし、義父は言葉を忘れて私から視線をそらし、夫を凝視している。声に出さずとも伝わってくる。どうしてこんな勝手なことをしたんだという疑問が。それを受けても、夫の表情は崩れない。あくまでも私がおかしなことを言っているという姿勢を貫くつもりなのだろう。
「元々、さんは私のことを介護要因にするつもりだったんです。でも、それを知らされたら私が断ると踏んでいたから、こうして黙って同居を強行するつもりだったんでしょうね」
緊張感が漂う中、私の淡々とした声が響いた。義両親の困惑は深まるばかりで、口をパクパクと開閉させているが、そこから言葉が漏れ出てくることはない。窓を揺らす風。外の道路を通行するトラック。この場にいる全員の呼吸音が嫌に大きく聞こえるほど静まり返ったが、夫がそれを切り裂いた。
「な、何を言い出すんだよ。いきなり俺がいつそんなことを言ったっていうんだ」
相変わらず彼は口元に笑みを貼り付けたまま、いい夫を演じつつ、全てを私のせいにして白を切り通すつもりなのだ。だが、よく見るとまぶたがピクピクと震えており、動揺していることがわかる。この調子で行けば、壁を崩し彼の本性を義両親の前でさらすことができるかもしれない。私は息を整え、もう一つ衝撃的な事実を二人に告げることにした。
「お父さんとお母さんには、言わなければならないことが他にもあります。実はた志さんは、浮気をしていたんです」

なぜそれを知っているのかと夫は反射的に言いそうになっていたが、その言葉を口にすることで認めているようなものだと気がついたのか、言葉を途中で止めた。もしくは、驚愕のあまり声が詰まって出てこなくなってしまった可能性もある。もちろん、彼だけではなく義両親も言葉を失っていた。二人ともわなわなと肩を震わせている。一瞬のうちに真っ青になった顔や唇を見ると、まるで貫通事故でも遭ったかのようだ。この場において平然としているのは私だけと言っても、当然心の中は穏やかではない。夫を追い詰めることばかりを考え、復讐心や怒りといったマイナスの感情でどうにか気を強く保っているのだ。
夫は目をパチクリとさせた後、眉間を指で揉んでから、私を気遣うかのような善人ぶった表情に戻す。その切り替えの速さと表情の柔らかさに、私は悪い意味で関心すら覚えた。
「俺がそんなことするわけないじゃないか。だって俺はお前のことを世界一愛しているんだぞ。他の女によそ見するとでも思っているのか」
なんて白々しい奴なんだ。ヒステリックに話を飛躍させ、自分の過ちを認めずに逃げるつもりか。夫の薄汚さ、狡猾さが言葉にもよく現れている。それに、愛しているだなんてよく言えたものだ。結婚してから全くと言っていいほど伝えてこなかったくせに。現に私ではなく別の女性の方に気持ちが移っている彼の「世界一」という言葉は、薄っぺらいことこの上ない。プラスチックよりも軽く、吹けばすぐに飛んでいきそうである。
「あー、お前はきっと疲れているんだよ。だから俺が浮気をするだなんて、くだらない妄想を展開させてしまうんだ。ちょっと休んだ方がいいんじゃないか」
そう言いながら、彼はグイグイと肩を押して私をこの部屋から出て行かせようとする。気遣うふりをして、これ以上自分にとって都合の悪いことを言わせないようにするために違いない。義両親に見られないよう、二人に背を向けながら私を睨みつけてきていることからもよくわかる。私は夫の手を払い落とし、あるものを取り出した。
「これを、見てください」
そう言いながら、私は義両親に書類と写真の束を手渡した。びっしりと文字が記載されている報告書と、夫の姿が移り込んだ写真の数々だ。
「な、なんだよ、それ」
「なんだよって。自分が一番よく分かっているでしょ。どれも見覚えがある場面よね」
そう。私が出したのは、彼の浮気調査をした際の報告書と、浮気現場を捉えた写真だったのだ。決定的な証拠を出されて動揺したのか、それともまだ言い逃れしようとしたのかわからないが、夫は情けない声をあげた。
「ち、違う。これは俺じゃないんだ」
慌ててごまかすかのように、彼は私から書類や写真を取り上げようとしたが、もう遅い。二人の手はがっちりとそれらを掴み、穴が開くほど凝視しているため、すでに頭の中にインプットされてしまっているだろう。
「もちろん、探偵事務所に依頼して集めてもらった証拠もあるけど、ほとんど自分で用意したの。私が近くにいたことにも気がつかないくらい、浮気相手に夢中だったのよね」
私がはっと鼻を鳴らしながら問い詰めると、痛いところを突かれたのか、夫はがっくりと項垂れた。前髪が顔に影を落としているので表情は見えないが、悔しそうに唇を噛んだりしているに違いない。

彼は営業職に就いていることもあり、出張が多いのは理解していた。だが、あまりにも頻度が高いことに、私は次第に違和感を抱くようになっていた。なんでもない日ならまだしも、お互いの誕生日や結婚記念日までドタキャンしていたのである。私のことを祝うのはもちろん、自分も祝われたくないのだろうか。もしかしたら、他に記念すべき日を一緒に迎えた人がいるのではないか。疑い始めた私は、隙を見計らって彼のスマートフォンやパソコンをチェックすることにした。その結果、他の女性の影に気づいたというわけだ。もちろんショックを受けて目の前が真っ暗になった。どうして、私の何が悪かったのかと、呪文のように自問自答を繰り返していたのだが、しばらく立って目が覚めたのである。浮気をする方が百パーセント悪いに決まっているではないか、と。その瞬間、私の心からは急速に彼への愛情が失われていった。冷めた感情の中でもメラメラと怒りの炎が燃え盛るという、不思議な感覚。それは日が経った今でも鮮明に覚えている。

こんなことをされて黙っていられるはずがない。何が何でも離婚してやる。そう決意した私は、自分に有利に進められるよう、浮気の証拠を集めていくことにした。そのために彼を尾行した結果、出張だと言って出かけていった先が女性の元だったと判明したのである。相手に惜しげもなく披露している、私には向けないような飛び切りの笑顔。躊躇なく繋がれている、甘い言葉。それらを見せつけられるたびに炎は大きくなっていき、発狂しそうにもなったが、どうにか耐えて写真に収めていった。浮気だけでも許せないというのに、夫はさらに私を侮辱するような言動を取っていたのである。彼は浮気相手に対し、こんなことを言っていた。
「なんで嫁とは別れないのかって?そんなの決まってるだろう。あいつを介護要因にするためだよ」

ことの経緯を話し終えた私は、じっと彼に視線を注いだ。未だ顔を上げておらず、体をぴくりとも動かす気配がない。
「た、たし、お前はなんてことを!あさんを傷つけた自覚があるの?」
義父がそう詰め寄ると、夫はぐるりと首を回してからこちらを向いた。ずっと同じ姿勢で固まっていたためか、首がポキポキと気味のいい音を立てる。ゆっくりと開かれた口から出てきたのは、浮気を認める言葉でも謝罪でもなく、深いため息だった。
「だから、俺はなんもしてねえって。全部そいつの妄想だよ」
こうなって尚、言い逃れをしようとしてきたではないか。なんて図々しい奴だろう。私は呆れ返り、先ほど彼が吐いたものよりも深く長いため息をついた。
「そう。じゃあ、この人を見ても、そんな強気のことを言ってられるかしら」
私は彼に一泡吹かせるべく、ある人物をこの場に呼んだ。気まずそうに眉を寄せ、下唇を噛んでうつむきがちになった女性。重い足取りで、すぐにでもここから離れたいという気持ちがありありと伝わってくる。
「な、なんでここに……」
そう、この女性は浮気相手である。夫の裏返った情けない声を受け、彼女は痛々しいかのように肩を縮こまらせる。
「お父さんとお母さんが来るずっと前から、家の外で待機してもらっていたのよ」
そう、私が離婚を切り出して「専業主婦のくせに」と夫に笑われた時、窓の外に見えた人物は彼女だった。まさかここに登場するとは夢にも思っていなかったのだろう。夫は目を白黒させ、餌を求める金魚のように口をパクパクとさせる。義両親も彼女の登場に面食らっており、忙しなく視線を動かして彼女と夫、そして私とを順番に見てきた。
「どう?これでもまだ言い逃れを続けるつもり?」
私からの問いかけに返す言葉もないようで、彼は開けていた口をつぐんだ。頭の中で何か反論でも組み立てているのか、ぶつぶつと何事か呟いているが、ちゃんとした意味のある言葉は私の耳には届いてこない。
「なんで私が独自に浮気調査を進められたか、教えてあげましょうか。あなたは忘れていたかもしれないけど、ルナは私の元同僚でもあったからよ。当然、彼女の連絡先も所持している。証拠を十分に集めた私は、彼女にコンタクトを取りこう伝えたの。『あの人が私との結婚を、介護要因を確保するためだって聞いてるのよね。もしあなたがあの人と結婚するつもりなら、介護を押し付けられると思うけど、それでもいいってことよね』ってね」
言葉尻を被せるかのような勢いで、ルナは「もちろんよ」と頷いた。夫と一緒にいられるのであれば何でも喜んでするとのことだ。
「良かったじゃない。介護でも何でもしてくれるらしいわよ。じゃ、もう私たちが夫婦でい続ける必要性は全くないわよね」
シンと室内に沈黙が包む。その場をゆっくり見渡していると、義両親が顔を真っ赤にして両手の拳をギュッと握り込んでいる姿が目に入った。
「ふざけやがって、この野郎!」
義父がそう怒鳴り声をあげ、夫に掴みかかる。夫の方が背が高く体格もがっしりしているというのに、この瞬間だけは義父の体がかなり大きく感じた。それほどまでに迫力があったのである。
「お前がやったことは間違っているんだぞ!お前にできるのは、誠意を持って土下座して離婚することだ。さっさと彼女を解放すべきなんだよ!」
「浮気するくらいだったら、どうして結婚したのよ!信じられないくらい不誠実ね!」
私の気持ちを代弁してくれる二人。私を見下しているのではなく、実の両親からの言葉を聞いて、少しでも反省してくれるかと思いきや、夫が取った行動はとんでもないものだった。
「うるせえな!ああ、分かったよ。離婚したら離婚する!それでルナと再婚するんだ!」
彼は大股でルナに近づき、彼女の方を私たちに見せつけるかのように抱いた。すると、つい数秒前までうつむいていた彼女が態度を一変させ、得意げにニンマリと笑顔を浮かべたではないか。明らかに勝ち誇ったような目。あんたは私に負けたのよとでも言いたげに、私を見つめてきている。その姿を見ても、やはり私の心に悲しみや驚きがにじんでくることはない。むしろ少し先の未来を想像すると、二人のことが滑稽に思えて仕方がなかった。

「もうお前とは絶縁する。二度と姿を現すなよ!」
「ああ、別にいいよ。俺にはルナがいればいいからな」
義父の絶縁宣言にも特にダメージを受けた様子はなく、夫は私と義両親の背中を強く押し、無理やり家から追い出してきた。「じゃあな」という捨て台詞と共に、強く閉められた扉と鍵。義父はその方向を睨みつけていたが、数十秒ほど経つと私の方に体を向けた。
「あー、あのバカが本当に申し訳ない。謝っても許されることではないと思うが」
彼は代わりに謝罪をしてくれたのである。それに続き、義母も「私からもごめんなさい」と頭を下げてきた。私はすぐさま顔を上げてくださいと告げ、二人を安心させるように声をかけた。
「大丈夫です。すぐにあの二人は地獄を見ることになりますから」

それから数日後、ブーブーと私のスマートフォンが震えて着信を告げてきた。どうなるか分かっていた私は、にやりと不敵に唇の端を持ち上げる。通話ボタンを押して「もしもし」と言葉を発したが、その声色は自覚できるほどに弾んでいた。
「助けてくれ!」
少し前までの夫なら「何がおかしいんだ」と怒鳴り声でもあげそうなものだが、もうそんな余裕もないらしい。切羽詰まった様子で助けを求めてくる。きっと電話の向こうの彼は、脂汗を浮かべ、唇から血の気を失わせているに違いない。
「今になって?私がどれだけの思いをしたか、分かってる?」
頭の中で思い浮かべていた展開と全く同じで、高の見物である私の口からは勝手に笑い声が漏れてきた。それでもやはり、夫は反論してこない。もはや私の声がちゃんと聞こえているかも怪しいレベルだ。
「頼む。助けてくれよ。実は……浮気相手のルナも既婚者だったんだ!」
そう。私は初めから知っていた。彼女の結婚相手は職場の上司、つまり私の元上司でもあるということだ。彼女は既婚であることを隠していたようだが、私は調査の過程で気づき、元上司に全てを話していたのだ。
「んだと!あいつ、いい気になってやがる!」
当然のごとく、烈火の如く怒り狂った元上司は、我慢ならなくなって彼らが暮らす家に押しかけたという。その状況から夫はなんとか抜け出し、今私に電話をかけてきているのだろう。私に助けを求めたって意味がないというのに。
「相手はすごい切れてて、俺たちの話なんかまともに聞いてくれないんだよ!お前が来たらちょっとは落ち着くと思うんだ!頼む!今すぐ来てくれ!」
どうして浮気をした分際で話を聞いてもらえると思っているのだろうか。自己中心的な性格は治らないんだな。私はため息をつく。ここで少々痛い目を見せておくべきだろう。
「行くわけないでしょ」
そう言い放ち、夫の言葉を待たずして、私は通話を切ったのだった。実は私は元上司と打ち合わせ済みだった。そのため、彼らが元上司の元にいることを聞いても、特に驚きはなかったのである。元上司は、私が助けに行かない前提で夫たちをこらしめるために、謝罪を要求していた。私の分の怒りも込めて、二人に折檻を加えていたのだ。

後日、私は夫に、そして元上司はルナに、それぞれ高額な慰謝料を請求した。向こうも大人しく応じ、離婚したという。話が職場で広まらないわけもなく、夫たちは周りの社員から白い目で見られるようになり、肩身の狭い思いをしているそうだ。
「浮気とか最低だね。気持ち悪い」
「旦那だって嘘ついて二人で会ってたらしいよ」
そんな陰口が背中にぶつけられる日々。きっと地獄のように居心地が悪いだろうが、慰謝料の支払いと新居のローンがあるため、やめるわけにはいかないだろう。

一方、肩の荷が降りて体が軽くなった私は、一人暮らしを始める前に、義両親にお礼を伝えに行った。
「お父さん、お母さん。私のことを信じてくれて、そして味方をしてくれて、本当にありがとうございました」
自分ごとのように夫に怒りをぶつけてくれた二人を見て、私はあの状況にも関わらず、少し嬉しさを覚えてしまった。私のことを本気で思ってくれているのだと知ることができた。二人は「さんは何も悪くないんだから、当然だ」と言った後、顔を見合わせて驚くべき話を口にした。なんと、失踪した私の両親を見つけたというのだ。
義父は出張が多い人なのだが、ある時、京都に行った際にそれらしき人物を発見したそうだ。それから合間を縫って写真を見せるなどして目撃情報を集め、詳しい場所を突き止めたらしい。
「これが、今さんの両親が暮らしている場所だ」
そう言いながら差し出してきたのは、住所が書かれた小さなメモ。それを目にした瞬間、ドクドクと心臓が早鐘を打つ。私を置いていった苛立ちや悲しみ。両親の居場所を知らされたことによる驚き。色々な感情が混ざり合い、頭の中がぐちゃぐちゃになりそうだ。
「さん、京都に行ってみるのはどうかしら?今でも会いたいという気持ちがあるんだろう」
遠慮がちに言ってくれた義両親の目を、しっかりと見据える。確かに、両親を恋しく思う気持ちは存在している。だが、私にとって今の家族は義両親だ。
「とりあえず、しばらくは会わなくていいかなと思ってます」
そう答え、私はメモを義父の方にゆっくりと戻した。今は両親と会って何を話すべきか分からない。それでも、いつか本当に会いたいと思った時は、義両親と共にその場所へ向かいたいと思っている。そう伝えると、二人は優しそうに微笑みながらも「もちろん」と頷いてくれたのだった。

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