「あんたのことが気になっている女子がいるからさ、1度会ってみてよ」——そう言ったのは、俺をいつも不良たちと一緒にからかう姉だった。調子に乗った俺は相手のことを何も聞かずに待ち合わせ場所へ向かった。ところがそこにいたのは、校内で一番怖い不良少女・千夏さん。姉に騙されたのかと思ったのに、彼女は「せっかくのデートなんだから、なんか話せよ」と言って、目も合わせようとしなかった。それなのに、次の日から…

「あんたのことが気になっている女子がいるからさ、1度会ってみてよ」——そう言ったのは、俺をいつも不良たちと一緒にからかう姉だった。調子に乗った俺は相手のことを何も聞かずに待ち合わせ場所へ向かった。ところがそこにいたのは、校内で一番怖い不良少女・千夏さん。姉に騙されたのかと思ったのに、彼女は「せっかくのデートなんだから、なんか話せよ」と言って、目も合わせようとしなかった。それなのに、次の日から...

高校1年の頃の俺は、いわゆるインキャラでパッとしない高校生活を送っていた。高校生になったら見た目も気にして、友達もたくさん増えて、彼女と楽しい時間を過ごす——そんな毎日が待っていると思っていた。しかし俺の高校デビューは失敗に終わり、理想とはほど遠い現実に心が折れそうだった。

そんな俺には2歳年上の姉がいて、同じ高校に通っていた。俺とは真逆の性格の姉は、なぜか校内の不良たちと一緒に俺の教室によく来ていた。その不良の中でも特に怖い人がいて、その千夏という女性は俺に会うたびに話しかけてくるのだ。俺は彼女の怖い顔がとても苦手だった。

この日も俺が教室で過ごしていると、姉と千夏さんがクラスにやってきた。

「またしてんの?」
「見ての通り何もしてないけど」
「本当、いつ来てもあんたって暇だね。彼女くらい作ったら?」
「そんな簡単に言うなよ。俺だってできるもんなら付き合ってみたいんだから」
「はあ。お前、二股する気か?」
「ふ、二股? 僕、彼女いないですけど」
「本当だろうな」
「は、はい。仮に彼女がいたとしても、二股なんてことはしないと思います」

俺は慌てて返すと、千夏さんは何か納得してくれたようだった。ああ、怖ええ。千夏さんってどこで起こるのかよくわからないんだよな。その後も姉たちが帰るまで、俺はビクビクしながら千夏さんの様子を伺っていた。

そんなある日のこと、自宅で晩御飯を食べていると、姉からとんでもないことを言われた。

「あんたのことが気になっている女子がいるからさ、1度会ってみてよ」

そんなことを言われたのは初めてで、調子に乗った俺は、相手がどんな人かも聞かずに会ってみることにした。そして会う約束の日になり、俺はドキドキしながら待ち合わせ場所のファミレスに向かった。

するとそこには、なぜかコーナー1の不良少女である千夏さんがいた。

「あれ? 千夏さん」
「こんにちは」
「おお。まあとりあえずそこ座れよ」
「え?」
「なんだよ。文句あんの?」
「いや、ないですけど」

俺は彼女に言われるがまま席に座った。しかし俺はもう1つ気になることがあった。店内を見渡しても、待ち合わせをしていそうな人がいないのだ。なんだよ、俺をからかっただけなのか。姉に腹を立てながらも、俺はこの状況をどうするべきかと必死に考えた。

「あのさ」
「は?」
「せっかくのデートなんだから、なんか話せよ」
「はい。えっと」
「なあ、まだかよ」
「これ、デートなんだな」

つか、口べたな俺が会話を引っ張るなんて無理だよ。俺は彼女の圧力に潰されそうになりながらも、必死で話題を作り彼女に振ってみた。すると最初は目も合わせてくれなかった千夏さんが、少しずつ俺の方を向いてくれるようになった。なぜか俺はその変化が嬉しくて、夢中になって色々な話をした。

思っていた以上に時間が経つのが早くて、気づけば日が沈んでいたので、この日はここで別れることになった。

そして次の日、俺がいつものように下校しようとすると、千夏さんが1人で教室にやってきた。

「あれ? 千夏さん、どうしたんですか?」
「つ、次のデートはいつにするのかなって」

ちょっと待ってくれ。次もあるのか。俺は思わず固まってしまった。千夏さんはそんな俺の気持ちに構うこともなく話を続ける。

そしてこの日から、千夏さんは毎日のように俺に会いに来るようになってしまった。最初は姉に騙されただけだと思っていたけど、もしかして千夏さんは本当に俺に好意を抱いているのか? 俺がそう思い始めた矢先、教室の入口に1人の男が現れた。

「ああ、誰だお前?」

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