養護教諭として働く僕の前に、モデル並みの美貌を持つ同僚の先生が現れた。彼女はいつも優しくて、誰からも憧れられていた。でも、ある日僕が「先生こそ休まなくていいんですか?」と何気なく言った瞬間、彼女の表情が凍りついた。あの冷たい視線の意味を、僕はあの時まったく理解していなかった。そして、保健室のベッドで横になる女子生徒の微笑みが、なぜか妙に怖く感じたのは、その数日後のことだった──。 CTA:…

養護教諭として働く僕の前に、モデル並みの美貌を持つ同僚の先生が現れた。彼女はいつも優しくて、誰からも憧れられていた。でも、ある日僕が「先生こそ休まなくていいんですか?」と何気なく言った瞬間、彼女の表情が凍りついた。あの冷たい視線の意味を、僕はあの時まったく理解していなかった。そして、保健室のベッドで横になる女子生徒の微笑みが、なぜか妙に怖く感じたのは、その数日後のことだった──。 CTA:...

養護教諭としてこの高校に来て、もうすぐ半年。新設校だからか、生徒たちはみんなピリピリしていて、ちょっとしたことで不安定になる子も多い。最近は特に、一年生の女子生徒が頻繁に保健室へ来るようになっていた。

「先生、体調悪いです…」

そう言って入ってきたのは、いつもの顔。髪の毛をいじりながら、面倒くさそうに言うその子は、見た目で損をするタイプの子だ。でも、そういう子に限って、いろんなことを一人で抱え込んでいたりする。

「はいはい、わかったから。とりあえずベッドで寝てろ」

「わい先生、いい人だね」

満面の笑顔を見せるその生徒は、とても幼く見えた。まだまだガキだな。そう思いながらも、俺もつられて笑みがこぼれる。大人が思っている以上に、この子たちは大きなストレスを抱えているのだ。

しばらくして、ドアをノックする音が聞こえた。

「失礼します」

そう言って入ってきたのは、さゆり先生。現代文の教師で、その長い髪とモデルのようなスタイルは、男子だけでなく女子からも憧れの存在だ。

「みのりさん、いますか?」

「ああ、彼女ならそこのベッドに」

さゆりはカーテンの前に立ち、声をかけた。どうやら怒られているわけではなさそうだ。カーテンの向こうからは、時々楽しそうな笑い声も聞こえてくる。

しばらくすると、さゆりが出てきた。さっきまでとは違い、どこかスッキリした表情をしている。

「じゃあ、私はこれで戻るので。みのりさんのこと、よろしくお願いします」

「はい。っていうか、先生こそ休まなくていいんですか?」

俺がそう言った瞬間、今まで穏やかだったさゆりの表情が、一瞬で凍りついた。冷たい視線が、まっすぐ俺に突き刺さる。

結局、さゆりは何も言わないまま、保健室を出ていった。

「先生ったら、女心がわかってないね」

「うるさいな。お前こそ、生徒だからって担任に迷惑かけるなよ」

「あーあ、また『お前』って言った。またさゆり先生に怒られちゃうよ」

みのりは微笑みながらカーテンを閉め、再び横になった。生意気な生徒ではあるが、ここで嫌なことを吐き出してリラックスできるなら、それでいいと思っている。

「実り、好きな曲かけてやろうか」

「うん」

俺は机の引き出しからCDを取り出し、再生した。音楽が流れる中、俺は事務作業に戻る。

しばらくすると、再びドアがノックされた。

「失礼します」

その声を聞いた瞬間、俺は思わず背筋を伸ばした。

「ここ、修正箇所があります」

「あ、はい」

「全体的に再確認してもらえますか?気になった点には付箋を張っていますので。それから、もう少し丁寧に確認していただけませんか?」

確かに、俺の書類のチェックは甘かったかもしれない。でも、その口調にはどこか棘があった。

「…確かに。私も好きだけどね」

「へえ、意外。苦手そうなのに」

「だって、幸先生の説明ってすごく分かりやすいんだもん。私、こう見えて結構勉強好きなんだよ。特に数学」

「そうなんだ。初めて知ったよ」

俺は実りを見つめ、顔を上げた。すると、実りは目を丸くし、顔を赤くした。

「そこは、ないんだ」

「俺、好きな気持ちを笑うやつだからさ」

「何それ?変なの?」

その会話を、さゆりはどんな顔で聞いていたのだろうか。俺は、その時まだ気づいていなかった。この日常の延線上が、やがて思わぬ事件へと繋がっていくことに。

もしかして、あの時嫌がらせをしていたのは──。

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