研究開発室の長として、副社長の無茶なアイデアを押し付けられ、大赤字を出したのは俺だ。なのに、副社長は「俺のアイデアじゃない。お前たちが独断でやったことにしろ」と平然と言い放った。そのせいで全社員のボーナスがカットされ、俺は米倉部長から毎日のように責められた。「お前のせいで車が買えなかった」と。あの時、俺は心の中で決意した。もう、この社長親子のために我慢するのは終わりだ。だが、まだ全てを仕掛け…

研究開発室の長として、副社長の無茶なアイデアを押し付けられ、大赤字を出したのは俺だ。なのに、副社長は「俺のアイデアじゃない。お前たちが独断でやったことにしろ」と平然と言い放った。そのせいで全社員のボーナスがカットされ、俺は米倉部長から毎日のように責められた。「お前のせいで車が買えなかった」と。あの時、俺は心の中で決意した。もう、この社長親子のために我慢するのは終わりだ。だが、まだ全てを仕掛け...

研究開発室は、いつも米倉部長の標的だった。恒例の月次会議で、またしても「お前たちは会社の足を引っ張っている」と叱責の言葉が飛ぶ。あの日も、会議室の空気は重く、俺は独立のタイミングを計りながら、ただ黙って耐えていた。俺の名は枝田島。食品加工会社でアイスクリームの開発を手がけ、いつしか「エジソン出張」と呼ばれるようになった。

転職して10年、給料は減ったが、やりたい研究ができていた。そんな日々が変わったのは3年前。社長の長男が副社長として戻ってきた時だ。ある日、俺は社長室に呼び出され、極秘の新商品開発を命じられた。「これは息子のためだ。就任早々、大ヒットを出せば社員も認めるだろう。俺のアイデアだとは伏せてくれ」と。最初は納得した。だが、副社長が言い放ったアイデアを聞いた瞬間、俺の頭は真っ白になった。

「ナポリタン味のアイスクリームだ。どこもやっていない、面白いだろう」と、彼は自信満々に笑った。俺は思わず聞き返した。「本気ですか、それ?」。しかし、社長も副社長も本気だった。社長が「斬新だ」と後押しし、俺たち研究開発室は反対を押し切られ、商品を開発せざるを得なかった。販売発表の場では、営業部から「売れるわけがない」と大ブーイングが起きた。それでも首脳陣は強引に販売を決めた。

案の定、売れない。大赤字を出し、その年のボーナスは全社員がカットされた。すると、副社長は俺を呼び出し、こう言い放った。「僕のアイデアじゃない。お前たちが独断でやったことにしてくれ。絶対に秘密にしろ。分かっているな?」。あの時、俺は初めて、この社長親子を心底信じられなくなった。米倉部長はボーナスカットで欲しかった車を買えず、なおさら俺たちへの当たりが強くなった。あの日、いつものように詰め寄られながらも、俺は静かに決意した。

「もう、ここにいても何も生まれない」と。

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