借金の底辺が、こんな高級な場所に来るなんて恥ずかしくないのか。
藤原グループの新入社員歓迎会。高級ホテルの宴会場には、シャンデリアの光がきらめき、豪華な料理が並んでいた。
私は24歳。母を支えるために、奨学金で大学を卒業し、この会社に入った。母は病を患っていて、治療費は毎月30万円かかる。私が必死で働かなければ、母を守れない。
普段は着ない安物のスーツに身を包み、私は緊張しながら会場に足を踏み入れた。
そこで、信じられないものを見た。
テーブルの上に置かれた石札。そこには、こう書かれていた。
「借金片親底辺」
私は目を疑った。間違いだろう。だが、確かに私の席に置かれている。
周りの社員たちが、こちらを見てひそひそと笑っている。
「あれが借金女らしいよ。よく来られるよね」
胸が締め付けられた。これまで必死に頑張ってきたのは、何のためだったのか。奨学金を返すため、母の治療費を払うため、毎日夜遅くまで働き、勉強してきた。それなのに、こんな屈辱を受けなければならないのか。
「お母さん、ごめんなさい。こんな屈辱を受けるために頑張ってきたんじゃないのに」
心の中でそうつぶやき、涙が溢れそうになるのを必死でこらえた。
その時、一人の女性が立ち上がった。
同期の新入社員、藤原レナ。24歳。藤原グループ社長の一人娘だ。傲慢な雰囲気を漂わせる、大柄な態度の女性だった。
「皆さん、今日は私たち新入社員の歓迎会ですね」
レナは自信に満ちた表情で話し始めた。
「でも、この中には身のほど知らない人がいるみたいですね。借金の底辺が、こんな高級な場所に来るなんて恥ずかしくないのかしら」
レナの視線が私に向けられた。
会場全体に衝撃が走った。私は信じられない思いでレナを見つめた。怒りで体が震えた。だが、母のことを考えると、何も言えなかった。
レナは壇上から降りて、私の席に近づいてきた。
「安物のスーツね。見るに耐えないわ」
レナは私のスーツの袖を掴んだ。
「こんな貧相な服で、我が社の歓迎会に出るなんて」
レナは力任せに、私のスーツの袖を引き裂いた。
周囲の社員たちは、誰も助けようとしなかった。皆、見て見ぬふりをしていた。



