義実家で出されたのは、豪華な寿司ではなく、たった一皿のわさびだけだった。息子の合格祝いだと招かれたのに、義兄は「お前たちに寿司を食べる権利はない」と平然と言い放った。何十年も前から、私たち夫婦に子供を産めと迫り続けてきた義母と義兄。断固として拒否した私たちに、彼らは復讐を仕掛けてきたのだ。屈辱と悲しみで言葉を失う私の手を、夫が掴んだ。「帰ろう」と。しかし、その日の夜、義兄が私たちの家に怒鳴り…

義実家で出されたのは、豪華な寿司ではなく、たった一皿のわさびだけだった。息子の合格祝いだと招かれたのに、義兄は「お前たちに寿司を食べる権利はない」と平然と言い放った。何十年も前から、私たち夫婦に子供を産めと迫り続けてきた義母と義兄。断固として拒否した私たちに、彼らは復讐を仕掛けてきたのだ。屈辱と悲しみで言葉を失う私の手を、夫が掴んだ。「帰ろう」と。しかし、その日の夜、義兄が私たちの家に怒鳴り...

私は平田文香、73歳の専業主婦。夫の教師郎と結婚してから、ずっと穏やかな日々を送ってきた。息子の両も成長し、今では立派な社会人になった。しかし、義実家にまつわる出来事は、私の人生で最も苦い思い出として残っている。

あれは両が小学校に入学する直前のこと。義母から呼び出され、義実家を訪れた。義母は両の入学祝いを用意してくれていて、最初は和やかな雰囲気だった。だが、義兄の久里が口を開いた瞬間、空気が変わった。

「お前みたいなブスが嫁に来ても嬉しくないんだよ。せめて子供くらいは可愛い子を産めよ。でも無理か、遺伝するって言うもんな」

久里は私のことを見下すように言い放った。さらに、両のことも「全然可愛くない」と平然と言ってのけた。私は怒りと悲しみで胸が張り裂けそうだったが、義母の前で反論するのははばかられた。

その後、義母が突然「2人目は作らないの?」と切り出した。結婚の挨拶の時に「3人以上は子供を作ってね」とお願いしたと言うのだ。私にはそんな記憶はない。両だけを大切に育てると決めていた私たち夫婦は、その場で断固として拒否した。

「それならあなたも働けばいいでしょ」

義母は冷たく言い放った。久里も「女の子が欲しいんだよ。俺の子供じゃなくてもいいから、お前たちに産んでほしい」と主張した。彼らにとって、子供はただの道具でしかないように思えた。

「もういい。帰ってください」

私は勇気を振り絞って言った。義母と久里は怒り狂い、私たちを玄関から追い出した。両の手首には、乱暴に引っ張られた赤い跡が残っていた。

あの日から、義母は私たちの家に来ては掃除や洗い物にケチをつけるようになった。そして、また子供の話を持ち出してきた。私はついに「もう2度と来ないでください」と言い放った。義母は怒って帰っていったが、それ以来、ぱったりと連絡がなくなった。

それから20年以上が経ち、両は結婚し、息子のかずやが生まれた。私たち夫婦は穏やかな日々を取り戻し、かずやの成長を見守っていた。しかし、かずやが高校受験を終えたある日、再び久里が姿を現した。

「お祝いしてやるから、うちに来い」

久里はかずやの合格祝いをすると言って、私たちを義実家に招いた。嫌な予感はあったが、断る理由も見つからず、私たちは久しぶりに義実家を訪れた。

そこには豪華な寿司が並んでいた。だが、私たちの前に置かれていたのは、わさびだけだった。

「俺と母さんの願いを叶えてくれなかったお前たちに、寿司を食べる権利はない」

久里は勝ち誇ったように言った。私は悲しみと屈辱で言葉を失った。教師郎が私の手を掴み、「帰ろう」と言った。私たちは何も言わずに義実家を後にした。

数十分後、自宅に帰り着くと、インターホンが鳴った。モニターには、息を切らしてドアを叩く久里の姿があった。彼は教師郎が役員をしていることを知り、怒り狂ってやってきたのだ。

「お前、なんで役員だって言わなかったんだ!」

久里は教師郎に詰め寄った。私は「あなたに教える必要はありません」と反論した。すると久里は「俺はお前たちにメリットがあるって言ってるんだ!」と喚き散らした。しかし、彼は何の役職も持っていないことが判明した。

「お前は平社員のままだろう。この年齢で平社員ってありえないぞ」

教師郎が冷静に指摘すると、久里は言葉を失った。そして、私たちの隙を見て家に上がり込もうとしたが、教師郎が力ずくで追い出した。

その後も久里は執拗に私たちに絡み続けた。両の家にも押しかけ、かずやの学校の前で待ち伏せすることもあった。私たちは警察に相談したが、「親族間の問題は自分たちで解決してほしい」と言われてしまった。

1ヶ月後、ようやく久里は会社を解雇された。酒を飲んで出社したり、女性社員にしつこく触ったりしていたことが発覚したのだ。しかし、久里は解雇されたことを認めず、私たちの家に怒鳴り込んできた。

「なんで俺が解雇なんだ!生活はどうすればいいんだ!」

久里は喚き散らした。私は「全部あなたの行いのせいです」と言い返した。すると、かずやが電話越しにこう言った。

「俺、もう久里さんと関わりたくないです。縁を切ります」

その言葉に、久里は固まった。かずやは続けた。「じいちゃんとばあちゃんを悲しませたのが嫌でした。なんであの場でひどいことをするんですか?」

久里は「俺はかずやのことを大切に思ってるんだ」と必死に言い訳したが、かずやは「そんな上から目線で話す時点でダメなんですよ」と一蹴した。

さらに、私が「もしかして、かずやを可愛がってるのは将来の子供のことを考えてるから?」と問い詰めると、久里はついに本音を漏らした。

「そうだよ。俺はどうしても親族に女の子が欲しかったんだ。男の子でもいい。純粋に自分より年下の兄弟や姉妹を可愛がりたいんだよ」

その言葉に、私たちは戦慄した。かずやは「本当に気持ち悪いです」と言い放ち、双葉も「私も久里さんとは距離を置かせてください」と続けた。両も「俺もあなたとは一生関わりたくない」と言い、電話は一方的に切られた。

久里は最後まで謝罪することなく、私たちの家を去っていった。その後も彼は執拗に連絡をしてきたが、私たちは彼の連絡先をブロックした。そして、彼が家に押しかけてきた時、教師郎が「お願いだ。これ以上俺たちを困らせるな」と言うと、久里は泣きそうな顔をして去っていった。

それ以来、久里からの連絡は一切なくなった。私たちはようやく平穏な日々を取り戻した。

今、私は以前と変わらない生活を送っている。教師郎は退職を考え始め、かずやは大学生になった。両と双葉は旅行の計画を立てている。義家族との関係で大変な目にあったが、今幸せな生活ができているのは、周りの人たちが頼もしかったからだ。私も教師郎たちを見習い、もっと頼もしい存在になりたいと心の底から思っている。

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