あの日、父のリクライニングチェアに座って真っ黒なテレビ画面を見つめながら、僕は理解した。この家では、何をやっても無駄なんだって。誰かに認められたいと思うこと自体が、もう滑稽なんだって。
16歳の夏、初めてのバイト代を持って帰った日、母はスマホからも一度だけ目を上げて、僕を頭のてっぺんから爪先まで見渡すと、こんな言葉を吐いた。
「まさかうちの子が、あんたみたいな肉体労働者になると思わなかったわよ」
その言葉に、空気を読む間もなく、父が続けた。
「ジェイクは今ごろ、あんな時給の仕事で時間を潰すより、ちゃんと頭を使うことを学んでるところだぞ」
ジェイク。僕の兄。この家の完璧な跡取り息子。運動もそこそこ、勉強はそれなり、でも何より、両親が何か言うことを何も聞かなくても、ただ生まれてきただけで、彼は「選ばれた子」だった。
そして返ってくる嘲笑。小学生の頃、兄にからかわれたことを覚えている。食事中、兄の友達が家に来ていた時に、兄が言った。「ジェイクの弟が、カフェでドアを開けて挨拶してるらしいぜ。掃除係のくせに、まるでマネージャー気取りだってさ」と。
兄の友人たちがくすくす笑う。両親もこの時ばかりは、何も言わない。「もう二度と、ああいうことはするな」と言いたくなるような空気の中で、父はただスマホをいじっていた。
「ねえ、9番通路のボスレベルは倒したのか?」兄が言った。皆が笑う。僕の話は、いつも取るに足らないこととして流れていく。
「君ぐらいの年齢の若者は、みんなパーティーに行ったり、女の子と出会ったり、普通のことをしているんだよ。木材を運んで生活してる場合じゃない」
その言葉は、僕の心に突き刺さるはずだった。が、母がその時、兄に向けて、誇らしげな笑みを浮かべた。あのとき、何かが、音を立てて、砕けた。
いや、正確に言えば、僕の中で、髪の毛ほどの細い線が入った。その亀裂は、あっという間に広がった。兄を見た。あの笑みを浮かべている、新品のパーカーを着た、何の努力もせずにすべてを手に入れてきた男を。僕は毎週末、働いているのに、笑い者にされて、金もなく、それでも隅っこで生きているのに。
あの時のことは、あまり覚えていない。ただ、計画を立てた。とにかく、ガソリン代すら惜しい、最悪のアパートの一室で、図書館のパソコンで、無料のマーケティングコースを受け始めた。世の中から必要とされる何かを作りたかった。何か、僕だけのもの。そうでなければ、この家に、存在する理由すらないと思ったから。
数年が経ち、高校を卒業した。大学の合格通知が届いたとき、母は何かを期待しているようだった。が、その話題はすぐに、ジェイクの大学の話へと変わっていった。
「ジェイクは、いい大学に行くのよ」母が、またその口癖のように言った。「あなたは、せいぜい、州立を出て、それなりの企業に就職できれば十分なんじゃないかしら」
大笑いまでの会話。その分、自分の計画は、着実に動いていた。
ジェイクが大学に行く前の、むしむしする8月の夜のことだった。食卓で、母がジェイクの出発を祝うかのように言った。「さあ、あなた。今日、あなたのために大事なものを買ってきたのよ」
そして、指さしたのは、キッチンの隅にある新しい電子レンジと、奥の部屋に見える新しいミニ冷蔵庫。それから、モニター画面。父も加わった。「約700ドルの出費だ。まあ、ジェイクのためなら、安いものだ」
「給料、君は何に使ってるんだ?」
父が、そのツールを指さしながら言った。つい先ほどまで気にしていなかったのに、何かを思い出したように。声は、からかうように、軽い嘲笑混じりだった。
「大学に手を付ける前に、自活っていうものを学んでみたらどうだ?」
何も言わなかった。口を開けば、言い返す言葉さえ思いつかなかった。後片付けをして、自室に戻り、ドアの鍵をかけた。ドアの向こうで笑い声が聞こえる。兄が、何か得意げに話している。僕は、枕に顔を埋めて、決意を新たにした。
就職活動の波に乗り遅れ、2年目の終わり。僕はマーケティング会社で、インターンから正社員に上がった。仕事は、タイトで、つまらなくて、インスタントラーメンばかり食べて、髪の毛が少し抜けても、面白かった。自分の意志で動けると、何かが変わり始めた。
あの日、あのガラス張りのオフィスは、威圧的だった。しかし、この新しいチャンスは、不意に転がり込んできた。元同僚のリアが、転職先の広告代理店の人を紹介してくれた。「彼、最高の顧客を抱えてるのよ。ロングラン案件です」というメッセージに、即座に「承知しました」と返信した。
面接でそれを聞いた瞬間、奇跡が始まった。スポーツドリンクの新興企業、グリッドフューエル。資金は潤沢、展開は拡大中、しかしブランドイメージというものを持っていなかった。そして、彼らは混乱を切り開く、ブランドストラテジストを渇望していた。僕が持っているのは、まさにそのスキルだった。
「前の担当者、スタートアップの破綻したのを1つしらないまま、わが社の言うことを聞こうとしなかったんだよ」と、マネージャーのソフィアは笑った。「あなた、どうしてそこまでわかるの?」
「自分が覚えたことを、全部捨てたからです。インターネットの海を必死で泳いだ時期があったんです」と説明した。
すぐに、持ち前の物事を単純化する力が評価され、契約が決まった。プロジェクトは、デジタルキャンペーンを立ち上げ、ブランドの声を一新し、急成長に乗り始めた。
やがて、最初のブランド戦略プレゼンが成功した。会議の後、ソフィアが口にした。「うちのクライアント、あなたを、まるで『新世代のマーケティングの申し子』みたいに褒めちぎってたわよ。それに、前の男の人の完全にお株を奪ったわね」と。
「以前の担当者、とは?」
ああ、前の担当者は、ジェイクが送ってきた履歴書を、何通も見たことがある、という顔でソフィアは言った。「ジェイク・カーター。今の業界に、彼がいたら、どんな感じかしら?」
ジェイク。その名前を聞いて、流れる時間が止まった。あの、あだ名の男。理由はわからなかったが、何かが寒くなった。
「……いえ、知らない名前ですね。どういう方なんですか?」
「さあね。マーケティング畑でもないのに、ブランド開発の仕事がしたいと売り込んできた。でも、見込みはなかったわ。結局、あっちから音信不通になったけどね」
それが全てだった。あの日、あの夏の日。ソフィアは、詳しい話はしなかった。それ以上、聞きたくなかった。
転機は、予想外の場所から訪れた。同窓会の後、飲みに行った友人のブレントが、信じられない話を持ち込んできた。
「なあ、覚えてるか? お前の兄貴、大学の後、どこで何してるか知ってるか?」
「あいつ、今、実家に戻って、ソファー暮らししてるらしいぜ。転がり込んで、クビになったらしくて、それで、何の当てもないらしい。『これからだ』って言い続けて、働いたこともないのに」
笑い話のようだった。裁判沙汰の母の話を聞きながら、僕は何かを感じた。まったく感情は起きなかった。が、心臓は、ドキドキとし始めた。
それは、残酷なチャンスだった。自分のために、試すというわけではない。しかし、まるで天からの使いのようだった。
「本当なの?」とだけ言った。
2日後、僕はソフィアに、友人のスタートアップを手伝うとメールをした。ポートフォリオに載せるアイデアのため、彼女は快諾した。
そして、ある方法で、ジェイクに罠を張った。フェイクの男向けグルーミングブランド『ヴァラー・クレート』を作り上げたのだ。ロゴ、写真、ウェブサイト、メルマガ。死ぬほど作り込まれた、虚構のシェル。ジェイクの説明会のためだけに。
面談は、カフェのテラス席。ジャケットを着た男性(インド人留学生で、カフェでバイトをしながら、モデルの仕事をしていた)を使い、『ブレント』と名乗らせた。目がくらむような話で、ジェイクを呼び出す。
ジェイクが現れた。少し太った、スーツの上がはだけたその男。劣等感の塊のような、それを隠すための笑顔。僕を見つけ、すぐに声をかけてきた。心臓が、うるさいほど叩いているのがわかった。
「やあ、久しぶりだな、弟よ。すごい出世してるらしいじゃないか。ニューヨークで大物なんだって?」
軽口を叩き、あいまいな笑みを浮かべる。「ああ、まあね。成功は、努力した者に舞い込むって言うだろ」
「それで、その座を、一つ、俺にくれないか?」
直球だった。
「何の話だ?」
「マーケティングだ。お前、絶対に仕事はあるだろ。取引先に割り込ませてくれ。俺にも、チャンスをくれ。何でもやる。営業の下積みでも、アシスタントでもいい。期限付きでもいいからさ。見捨ててくれないでくれ、顔を潰すことなく」
ああ、そうくるか。デタラメだと言おうとした。が、その時、カバンの底にしまった紙が目に入った。ある計画、あの成功の裏で、ずっと温めてきた計画。
「言っておくが、君に、その器量があるかどうか分からないぞ」 極めて冷静に、感情を殺して言った。「著名なクライアントを任せるには、いくつかの条件をクリアしてもらう必要がある。経験不足だ」
「経験なら、ある!」ジェイクは前のめりになった。「何でも、学ぶ。お前のオフィスで、コードを書いてから、物事を覚えていく」
「ブランド戦略、特にデジタルは、才能があるかどうかよりも、教えられるかどうかの問題だ。まず、我々のクライアントを知ること。だが、残念ながら、無料ではない」
「構うものか」
食い下がる。
「試用期間は90日だ。最初の1か月は、準備期間。お前の成長度合いによって、本採用を考えてやる。だが、もし、この話が漏れたら、その時点で終わりだと思え」
「わかった!」ジェイクは、何のためらいもなく、頷いた。「だから、もう一度言う。本当に、いいのか?」
「ああ、とっくに決めてたことだ」
数週間後のカフェ。ジェイクには、自分の決断の重大さに、まったく気づいていない。無能で、ナルシストな兄は、ドアの外で落ち着きなく携帯をいじっている。
「ここで、初日のオリエンテーションだ。あとで、知ってる人間を何人か紹介する」
「俺のこと、楽しみにしててくれよ」
喫茶店の隅の席に座って、パソコンを開く。メールの返信を装い、その実、別のことをしていた。彼の面倒を、仮想のマネージャー『ブレント』(実は、使い捨てのアドレスを持つ、カフェの店長)に見させていた。
ジェイクは、メールを送ってくる。短い、まとまりのない文章と、無意味なマーケティング用語の羅列。それを、僕は、若い有望な起業家に、興味を持ったふりをして、指導する。データ分析のやり方、コピーライティングのコツ。そして、何度も期限を守らせる。
1か月後、ジェイクのフラストレーションは、限界に達していた。
「『ブレント』さんは、いつになったら、評価してくれるんだよ?」
「もう、3週間も待ってる。お前からも、適当に、いい話をしておいてくれよ」
まるで、自分は何か、大きなプロジェクトの中心にいるかのように、ジェイクは言う。
「キャンセル待ちのクライアントもいるんだ。上手く見せないと、切られるかもな」
「すでに、かなり」と送る。
「それは、よかった。じゃあ、3か月目の最終プレゼンを準備しろ。その準備ができたら、承諾のメールを送る」
ジェイクは、その週、徹夜続きだった。カフェで、資料室で、いつでもパソコンを広げている。徹夜続きの甲斐あってか、彼はプロらしい資料を作り上げた。
プレゼン当日。社内の小さな会議室。ジェイクは、開いたスライドを開き、自信満々に話し始めた。デモグラフィック、チャート、成長戦略。中身はない。が、彼は必死だ。
「で、どうですか? ブレントさんは、僕のこのプランをどう思いますか?」
ディスプレイの向こうにいる、アルバイトの『ブレント』は、何かタイピングしている。しばらくして、メールが届いた。担当の顔つきで、ファイルを開くように言う。
「最終案、承った。承認の方向で進める。次回、プロジェクトに関する詳細な連絡を待て」
「やった!」ジェイクは、小さくガッツポーズをした。
「やったか?」ブレントは、厳しい口調で言った。「だが、次に失敗したら、契約は白紙だ。会社を追われることになる。分かってるな、君のこれまでの実績は、ボロボロだぞ?」
立ち上がった。ジェイクは、顔色を変えなかった。成功の瞬間に酔いしれる男が、通常、見せる反応だ。逆に、ほっとしたようにも見える。
「次のプロジェクトだ。納品物のデザインから入ってくれ。ロゴとタグラインすべて、俺様のアートチームが仕上げる。お前は、それに合わせるだけでいい」
ジェイクは、言われるままに、デザインを磨いた。何度も、赤を入れ、修正を繰り返した。納期は、過ぎ去る。彼の初稿は、まるで、コピペの集積のような、迷走のポイントの固まりだった。
「これ、全部、間違ってるぞ。ブランドの意味をなしてない。色、変だし、フォントも、お前の顧客を紹介した覚えは一度もない」
「でも、これは、あなたが求めているテイストを反映させただけで、しかも、前回のフィードバックを……」
「前回? 俺は、君のキャリアに、指一本、触れちゃいない。君の言葉は、『戦略』『共感』『革命』、どれも、お前の口から出てくるには、不自然過ぎる。現実には、お前は、使い物にならないんだよ」
ジェイクは、怒り狂った。「ちょっと待ってくれ、ブレントさん。俺は、この90日間、君のために、骨をうがって働いてきたんだ。それを、その台無しの仕方は、いくらなんでもやり過ぎだろ! お前に人を呼べる資格があるのか?」
「資格? ああ、あるとも、あるから、契約書に目を通してもらおうか?」
ブレントが、ファイルを一枚、机に投げた。最初のページには、『解約条項』と書かれた、大量の条文。そのページの下部に、ジェイクはここに来る前に、確かにサインをしていた。
「これは、損害賠償条項だ。お前は、今、俺の契約に違反した。その代わり、こちらは、御社を訴える。この裁判沙汰は、あなたの将来を、完全に台無しにするだろうな」
「ふざけるな!」ジェイクは、椅子を蹴って立ち上がった。「お前、そんな権利、あるわけないだろ、俺は何もしてない!」
「どのみち、無料のコンサルティングだったよ、それは」
「お前が、言ったんじゃないか! この3か月、お前の言う通りにやってきたんだろう?」
「残念だが、その通りだ。だが、私のアドバイザーが、そうすべきだと言ったのを、私は覚えている。さて、ここで、私たちの時間の無駄を終わらせよう」
縋るようにブレントを見たが、ブレントは、書類を閉じ、指で軽く叩いた。愕然としたように、椅子に座り込み、自分の膝に手をやった。
「よし、わかったよ。当分、あなたの言う通りにするよ。で、はっきり言っておく。あなたは、俺にとやかく言えるほど、きれいな人間じゃないのは、分かってるんだろうな?」
「どういう意味だ?」
「俺を雇うべきだ、少なくとも、俺を助けてくれたのと同じくらい、今この瞬間、味方をしてくれる人の方がいいぞ。俺の靴を履いてみるか? ジェイク?」
「お前の靴なんかに、履けるか」
「それな、まさに、それが、あなたの人生の本質なのよ。誰かの人生に足を踏み入れて、言い訳して、誰かの靴を履こうとしない限り、何も成功しない」
ジェイクの顔が引きつった。そして、ようやく、何かを悟った。最初に見たのは、周りの人間が何か言った時、戸惑い、怒り、そして、理解を示すその顔。何も理解してなかった。
「この会議室のドアを出たら、今日から、俺はブレントじゃない。俺は、カート・カーターだ」
「何の冗談だ?」
「最初から、俺は、お前を雇うつもりはなかった。この90日間、よくやってくれたな。デタラメと虚栄心だけで、よくも、大体の時間を乗り切ったものだ。面白かったよ」
「てめえ、ふざけやがって!」 ジェイクが掴みかかろうとしたが、ドアが静かに開き、数人の屈強な男性が現れた。
「ジェイク・カーターさん、ですね。当社のスタートアップが被った損害について、お話がしたいのですが?」
「何の話だ? 誰だ、お前ら!」
「あなたが、この90日間、『ヴァラー・クレート』にしたことだよ」
「あ、あの話は、単なるビジネスだ! 第一、お前には、俺を訴える権利なんてない!」
「あるよ。あなたが承諾した『業務請負契約書』と『秘密保持契約書』が、ここにある。あなたは売上金の横領、および、すべてのコンサルティング料金の未払いについて、法的措置を取るに十分な証拠を、多数残している」
「ふざけんな! ふざけんな!」 ジェイクの叫び声は、店内に響き渡った。ようやく、自分が嵌められたと分かった。オフィスを出る時に、肩を落とした。
玄関を出る時、ジェイクは、すれ違いざまに、僕に当たるように言った。「お前のせいだ。お前が、裏切ったからだ」
「俺のせいで、誰が?」
「あんた、兄のくせに何も知らないで、よくも雇ったな。俺は、弟のことを馬鹿にしてきた。でも、あの日まで、少なくとも、あいつは、俺のためじゃなかった。」
「一体、何を言ってるんだ?」
「俺の面倒を見たときだよ。ホームレスの弟を、職場に匿っただろ。それで、俺の人生を、台無しにしようとしてるんだろ?」
僕は、その場で何も言えなかった。たった今まで、自分がしようとしていたこと。兄を破滅させる。それが、何か、違う気がした。彼の中に、かすかな光を見た瞬間、僕は、この何年もの間、自分の心を支配していた、あの理解しがたい冷めた感情に、あの憎しみの塊に、いまだに支配されていたことを知った。
数日後、友人から連絡が来た。あのプロジェクト、あれから、あるベンチャーキャピタルが興味を持っているらしい。実は、あの『ヴァラー・クレート』は、ダミーではなかった。あのデザイン性の高いダミーサイトが、逆に、投資家の目を引いたらしい。彼らは、リアルタイムで、僕が作ったシステムを、実際に評価していたのだ。
そして、彼らは言った。実際に商品化して、世に問うてみないか、と。
あの日、カフェのテラスで、ジェイクが土下座をして謝ってきた。契約書にサインをするよう求められたが、最後に、僕は言った。「ごめんなさい、ジェイク。もう、あなたを助けることはできない」と。
そして、その日を境に、僕はジェイクと、両親とも、一切の連絡を絶った。実家からの、無言の電話すら、数回で出なくなった。
それから1年後。母が、泣きながら留守電にメッセージを残していた。「こっちには、何もいらない。ただ、あなたに、元気でいてほしいだけ。いつでも帰ってきなさい」
僕には、それで十分だった。僕は、あの家族から、長い間、取り戻せない時間を奪われていたけれど、永遠に縛られるわけにはいかない。
今は、僕の人生だ。ようやく、自分の手で舵を取った。もう、見返りのために何かをすることはない。ただ、前だけを見て、自分の足で立って、歩き出す。それは、決して彼らを許したからではなく、自分自身のために、この物語を書き換えたのだ。
