あの日、学校に不良が乗り込んできた。地味で陰キャな俺には関係ないと思っていたのに、奴らはなんとクラスの委員長のみずほに手を上げようとしたんだ。「おい、やめろ」と叫んだ俺の体は、気づけば不良の前に立っていた。奴は俺を見て笑った。「弱そうなやつだな」。だが次の瞬間、殴りかかってきた奴を俺は一撃で倒した。すると奴は震える声で言った。「お前、中学時代の空手王者だろ。俺はお前に人生をめちゃくちゃにされ…

あの日、学校に不良が乗り込んできた。地味で陰キャな俺には関係ないと思っていたのに、奴らはなんとクラスの委員長のみずほに手を上げようとしたんだ。「おい、やめろ」と叫んだ俺の体は、気づけば不良の前に立っていた。奴は俺を見て笑った。「弱そうなやつだな」。だが次の瞬間、殴りかかってきた奴を俺は一撃で倒した。すると奴は震える声で言った。「お前、中学時代の空手王者だろ。俺はお前に人生をめちゃくちゃにされ...

放課後、廊下が妙に騒がしいと思ったら、校門の前に他校の不良たちが数人、仲間を連れて乗り込んできた。

校内の不良連中と揉み合いになり、そのうちの一人がみずほに掴みかかろうとした。

「おい、やめろ」

気づいた時には、俺はみずほと不良の間に立っていた。

「今度は誰だよ。また弱そうなのが来たな」

「あんた、俺より強いの?」

俺が余裕の表情で煽ると、不良は殴りかかってきた。だが、それを冷静にかわしてカウンターを放つと、不良は目を丸くして倒れた。

「ちょっとルイ君、大丈夫?」

みずほが心配そうに声をかける。

「大丈夫。ここは俺がなんとかするから、ちょっと離れてて」

俺はいつもの調子で言ったつもりだった。

ところが、倒れた不良が這うようにして顔を上げ、俺を睨みつけて言った。

「ルイ……ルイ? もしかして、お前、中学時代に空手の王者だったあのルイか?」

「へえ、よく知ってるじゃん。でも、なんでそんなこと知ってるんだ?」

「俺はお前に人生をめちゃくちゃにされたんだよ。中学の大会で、お前に負けたんだ。だから今日こそ、お前を倒して俺の本当の強さを証明してやる」

正直、俺は彼のことをまったく覚えていなかった。だが、彼が俺に恨みを持っていることだけは確かだった。

「分かった。やってやるよ」

今度は俺から仕掛けると、不良はたまらず受けてしまった。その後も攻撃を避けながら反撃を続け、ついに彼はその場に崩れ落ちた。

周りの生徒たちは誰もが驚愕していた。地味で影が薄いと思っていた俺が、不良を叩きのめしたのだから無理もない。

「この子の前で負けるわけにはいかないんだよ」

俺は振り返ってみずほを見た。

「みずほちゃん、大丈夫だった? 怪我はしてない?」

「私は大丈夫。でも君こそ、面倒なことに巻き込んじゃったみたいでごめんね」

みずほは今にも泣き出しそうな顔で俺を見つめていた。

「ルイ君、守ってくれてありがとう。実はね、私、ルイ君のことが好きだったの」

「え?」

「ずっと言うの我慢してたんだけど、さっきのルイ君がかっこよすぎて、我慢できなくなっちゃった」

俺は嬉しさと驚きで頭の中が真っ白になった。しかし、まだ心の中にモヤモヤが残っていた。

「でもみずほちゃんには、彼氏がいるんじゃないの?」

「え? 彼氏? そんなのいないよ」

「でもこの前、スーツを着た背の高い人と楽しそうに歩いてたじゃないか」

みずほは何かを思い出したように、「ああ、あの日のこと? ルイ君、誤解してるよ。あれは私のお兄ちゃんだよ」と笑った。

「え、お兄ちゃん?」

「もしかして、最近ルイ君が私に冷たいのって、お兄ちゃんを彼氏だと思ってたから?」

「だって、あんなに仲良さそうに歩いてたから……」

真実を知った瞬間、心のモヤモヤは一気に晴れていった。

「勝手に誤解しちゃってごめん。本当は俺も、みずほちゃんのことが好きなんだ」

俺はこのタイミングでようやく告白をした。

「そっか、両思いだったんだね。よかった。これからよろしくね」

こうして俺たちの交際は始まった。高校を卒業し、社会人になってからも関係は順調で、少し前に俺は彼女にプロポーズをし、彼女は受け止めてくれた。

そして今日、俺たちは二人で母校の校庭を散歩しながら、あの日のことを話していた。

あの日、不良に立ち向かう勇気を持てたからこそ、今の俺たちがある。

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