「あの、なんか体がちょっとおかしいっていうか…」そう言って僕の手を掴んだのは、40歳の美人だった。製薬会社で新薬の人体試験を任された僕は、性的欲求を高めるという美容薬のテストに、まち子さんという女性を受け入れた。最初の2回は全く効果が出ず、3倍の量を投与した夜、彼女の様子が変わった。薬のせいだと分かっていても、懇願する姿に僕の理性は崩れ去り、その場で関係を持ってしまった。1週間の試験が終わっ…

「あの、なんか体がちょっとおかしいっていうか…」そう言って僕の手を掴んだのは、40歳の美人だった。製薬会社で新薬の人体試験を任された僕は、性的欲求を高めるという美容薬のテストに、まち子さんという女性を受け入れた。最初の2回は全く効果が出ず、3倍の量を投与した夜、彼女の様子が変わった。薬のせいだと分かっていても、懇願する姿に僕の理性は崩れ去り、その場で関係を持ってしまった。1週間の試験が終わっ...

ある日、俺は開発された新薬の人間試験を命じられた。その薬は女性用の美容薬で、性的な欲求を高める効果があるという。製薬会社の小さな部署で働く俺、大宮克は、参加者を募るために募集をかけたが、なかなか人が集まらない。

報酬を上げても、募集の幅を広げても、参加者は集まらなかった。1人でも多くのデータが必要なのに、一向に集まらない。焦りが募る中、諦めかけていた頃、ようやく一通の応募が届いた。

40歳の女性、まち子さんという名前だった。条件はすべてクリアしている。俺は飛びつくようにして参加を承諾した。

試験当日、まち子さんは時間通りにやってきた。彼女はかなりの美人で、40歳とは思えないスタイルの良さに、思わず見とれてしまった。少し固まっている俺に、彼女は「あの、何か?」と声をかけてきた。

「ああ、すみません。ではこちらへ」

俺は慌てて彼女を試験用の個室に案内した。ベッド付きの、病室のような部屋だ。1週間宿泊してもらい、その間に数回、薬を投与してデータを取る予定だった。

俺はマニュアル通りに説明を進め、最後に疑問点がないか確認した。すると、彼女はどこか不安な表情を浮かべていた。

「あの、ちなみに、もし効果が出なかったら、どうすればいいですか?」

彼女は声を小さくしながら言った。私は性的な欲求がほとんどなくて、市販の薬をこれまで何度飲んでも効果が出たことがないと言うのだ。だから、今回も反応しないんじゃないかと心配しているのだという。

「まち子さん、大丈夫ですよ。あなたのような方にも効果が出るように作られた薬です。仮に効果が出なくても、それはあなたのせいではありません。データを取るのが目的ですから」

俺はそう言って、彼女を少しでも安心させようとした。こんなに美人な人でも、悩みがあるんだな。心の中でそう思いながら、試験が始まった。

1回目の投与時間、俺は規定の分量の薬を彼女に渡し、飲み込むのを確認した。何かあったらすぐに呼ぶように伝えると、彼女は窓の外を見ながら静かに頷いた。その横顔すらも綺麗で、心臓がドキドキしたのを覚えている。

見回りの時間まで、彼女から呼ばれることはなかった。部屋に入って体調を尋ねると、「今のところ、何の変化もありません」と、彼女は小さくため息をつきながら言った。2回目、俺は投与量を倍にした。それでも彼女は反応しなかった。

「やっぱり、あまり効果が出ないようで、ごめんなさい」

「いいんです。では次は濃度を3倍にしてみましょう」

頼む、これで効果が出てくれ。俺は心の中で何度もそう願った。そして、通常の3倍の量を投与して、部屋を出た。

見回りまでの間、彼女の様子が気になっていた。すると、突然、呼び出し音が鳴り響いた。これまで一度もならなかったのに。俺は急いで彼女の部屋に向かった。

「まち子さん」

部屋に入り、声をかけると、彼女の表情は先ほどまでとは違い、どこか艶めかしかった。ついに効果が出たのか。そう確信した。

「あの、なんか体がちょっとおかしいっていうか…」

その話し方には、今までにない色気が感じられた。投与から30分が経過している。ちょうど効果が出始める頃だ。俺はベッドに横たわる彼女の隣に立ち、しゃがんで視線を合わせた。

「大丈夫ですか?」

「やっぱり、なんか変よ。なんとかならないの?」

そう言いながら、彼女は俺の手をぐっと掴んだ。温かい手が触れて、ドキドキしてしまう。落ち着け、俺はデータを取ればいいだけだ。

俺が困惑していると、彼女は突然、俺の腕を引っ張った。

「ここに座ってください」

彼女はベッドの横に座るように言った。立場上、拒否しなければならないのに、言われるがまま座ってしまった。すると、彼女は俺に抱きついてきた。彼女の魅力に翻弄されて、俺は彼女を抱きしめ返してしまった。

「このまま、どうかしてください」

「それはダメですよ」

「でも、こんな気分になったのは生まれて初めてなんです」

俺はどうにか理性を保とうとした。でも、彼女の懇願するような声と、泣きそうな表情に、確実に自分の理性が壊れていくのを感じていた。だめだ。俺も限界だ。

俺は、そのまま彼女にキスをした。してはいけないと分かっていたのに、自分を抑えることができなかった。結局、その場で彼女を抱いてしまった。

薬を飲んでから1時間が経っても、彼女は何度も俺を求めた。ここまで求められると、まるで自分が求められているように錯覚してしまう。これは薬の影響なのに、それでも俺は彼女に必要とされていることが、すごく嬉しかった。

しばらく経ち、さすがに彼女も動けなくなり、ベッドに横たわった。俺も隣に寝転びながら息を整えていると、彼女が突然謝り出した。

「ごめんなさい」

「どうして謝るんですか?」

「あんなに強引に誘っちゃって、本当は嫌でしたよね」

「僕も男なので、求められて嫌な気持ちにはなりませんよ。それに、本当に嫌だったら、この場を離れることもできました。でも、僕はまち子さんと一緒にいたかったから、断りきれなかったんです。謝らないでください」

「それなら、いいのですが…」

彼女は小さな声でそう言った。それから、「この薬はすごいんですね。こんな経験は初めてで、今もふわふわしてます」と、不安そうに話した。俺は彼女を抱きしめて、「次は量を減らすこともできますから」と伝えた。彼女は俺の腕の中で、甘えるように頷いた。

次の投与時間、俺は彼女の部屋を訪れた。彼女はよほど疲れていたのか、ぐっすり眠ってしまっていた。その寝顔を見ただけで、俺の体は反応してしまった。今まで、こんなことは一度もなかったのに。

彼女が目を覚まし、今回は減らした量の薬を飲んだ。部屋を出ようとした瞬間、彼女に呼び止められた。

「もし、また効果が現れたら、来てくれますか?」

「僕でいいんですか?」

「克さんがいいんです」

彼女は真剣な目でそう言った。俺はもう、断る選択肢なんてなかった。心の中では、彼女に呼ばれるのを待っている自分がいた。

それから、彼女は薬を飲むたびに俺を呼んだ。規定の量に戻しても、彼女の体は反応するようになっていた。初回の経験があまりにも強烈で、体がその感覚を覚えているんだろう。

6日目の晩、彼女を抱きしめた後、俺は言った。

「明日で終わりですね」

「そうですね。なんだか、寂しいです」

「それは僕も同じ気持ちです」

「この試験が終わった後も、こうして会えますか?」

「僕もできればそうしたいです。でも、いいんですか? この1週間、僕たちが愛し合ったのは、薬の効果があったからです。それに、僕は薬を飲んでいないのに、まち子さんのことを求めてしまいました。だから、この関係を続けて、いつかまち子さんが後悔するんじゃないかと思って」

俺が素直な気持ちを話すと、彼女は優しく微笑んだ。

「確かに、薬の効果はあったと思います。でも、量を減らしても効果が出たのは、きっと相手が克さんだったからです。それに、克さんが部屋に来てくれるだけで、私、あなたに触れたいという気持ちになっていました。だから、克さんじゃないとダメなんだと思います」

彼女の言葉に、心が動かされた。俺たちはこれからも会う約束をし、連絡先を交換した。

こうして、わずか1週間の試験が終わった。たったの1週間しか経っていないのに、こんなにも人を好きになることがあるのか。もう自分をごまかせないほどに、彼女への気持ちは大きくなっていた。

彼女は帰ってすぐにメッセージを送ってくれた。「できるだけ早く会いたい」と。俺は「僕も今すぐに会いたい」と返信した。

そして、俺たちは会う予定を立て、デートをした。夜は彼女の部屋に招かれ、部屋に入るなり抱きしめ合った。

「今日は薬を飲んでないのに、すごくしたかったの」

彼女はそう言って俺を誘った。薬に頼らずに愛し合うのは初めてだった。俺たちは定期的に会う関係を続け、2ヶ月が経つ頃には、俺は完全に彼女に惚れていた。常に彼女のことが頭から離れないほどだった。

だから、俺はまち子さんに告白しようと思った。気持ちを言葉で伝えなければ、その大きさは伝わらないと思ったからだ。

ある日のデートの帰り、俺は彼女に言った。

「まち子さん。僕はあなたのことが好きになりました。付き合ってください」

彼女は驚いたように目を見開いたが、すぐに嬉しそうに微笑んだ。

「私も克君のことが好きよ。試験に参加する前は、本当に欲求がなくて、女である以前に、人としてダメだなって思ってた。過去の恋愛だって、私の欲のなさで失敗ばかりだった。だから、私なんか恋愛してはいけないんだって自分に言い聞かせてた。でも、克君に出会って、それが変わった。今は薬がなくても、克君に抱いて欲しいって思えるの。それが本当に嬉しいし、幸せ。私の人生を変えてくれて、本当にありがとう」

こうして、俺たちの交際が始まった。彼女は美人で性格もよく、会うたびにその魅力に惹かれていった。幸せな時間はゆっくりと過ぎていった。

交際から1年が経ち、俺は結婚を考えるようになった。もっと彼女の近くにいたい。俺は彼女に内緒で、プロポーズの準備を始めた。指輪を買い、花束を用意し、レストランを予約した。

そして、プロポーズ当日。

「まち子さん、僕と結婚してください。僕はあなたに初めて会った時から、見とれてしまいました。あなたの全てが好きです。これからもずっとそばにいて欲しいんです。僕が幸せにしてみせます」

俺が全ての気持ちを伝えると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。

「私も克君の全てが好きよ。これからもよろしくお願いします」

俺たちはプロポーズを受け入れ、結婚に向けての準備を始めた。両家への挨拶、新居選び。全てが順調に進み、あっという間に入籍して、夫婦になった。

それから8年が経った今も、俺たちは何も変わらず幸せな日々を過ごしている。あの美容薬は正式に販売されることになったが、俺たちは全く使っていない。今のまち子は、薬に頼らずゆっくりとするのが好きらしい。だから、俺たちはこれからも薬の力ではなく、互いに素直な気持ちのまま愛し合っていくことにしている。その方が、より幸せを感じられる気がするから。

あの時、彼女が応募してくれなければ、今の幸せはなかった。あの出会いが、俺の人生を大きく変えたのだ。

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