「あら、ちょうど迎えが来たったわ」…

「あら、ちょうど迎えが来たったわ」...

「じゃあ、私、実家に帰ります。5000万の車で1億の豪邸に」

義母と夫、そして義兄夫婦がいるリビングで、私は静かに言った。今日もまた、義母の嫌味三昧の昼食会だった。結婚してから1年間、これでもかと続く嫁いびり。子供ができないこと、高卒であること、実家が農家で古い家に住んでいること。彼らのお気に入りの攻撃材料だった。

夫は高収入の会社員で、私を「寄生虫」と見下していた。義母も同じだ。「うちの息子が優秀すぎて、あんたみたいなのがもらってあげてるんだから感謝しなさい」と。私はいつも黙ってうつむくだけだった。

でも、今日は違った。

「5000万の車?1億の豪邸?負け惜しみもいい加減にしろよ。俺の愛車のベンツだって700万だぞ。田舎者は怖いな」

夫は大笑いし、義母も「とこさん、あんたの実家なんてお化け屋敷みたいなボロ農家でしょうが」と続けた。彼らにとって私は笑い者で、ただの格下の存在だ。ただ、私はこの日のためにずっと準備をしてきた。我慢してきた分、彼らに現実を思い知らせる時が来たのだ。

私は通帳を二冊取り出した。一冊は夫婦の共有財産、もう一冊は私が独身時代に貯めたものだ。

「これを見てください。共有財産から600万引き出した日付があります。正木さんがベンツを買った日です。それだけでは足りず、私の独身時代の貯金からも200万引き出していました。契約書に日付が揃ってますよね?」

夫の顔色が変わる。義母も固まっていた。だが、二人はすぐに開き直った。

「まさ、顔を上げなさい。あなたは悪くない。こんな不良品の嫁を養ってやってるんだから、多少の金を使うのは当然でしょ」

「その通りだ。俺の金は俺のもの、お前の金も俺のものだ」

彼らは私を玄関へ連れて行こうとした。でも、私はスマホを取り出して言った。

「あら、ちょうど迎えが来たわ」

玄関を開けると、そこにはランボルギーニが停まっていた。作業服姿の男性と女性が車から降りてくる。私の両親だ。

「お父さん、お母さん、急に呼んでごめんなさい」

義母と夫は混乱していた。農家で貧乏だと思っていた私の両親が、なぜこんな高級車に乗っているのか分からない様子だ。

「この車、どうしたんですか?」と夫が尋ねると、父は軽く笑った。

「私も昔から車が好きでね。娘が完暦祝いにプレゼントしてくれたんだ。普段は農作業で軽トラに乗ってるけど、今日はこの車で来た」

二人は信じられないという顔をしていた。そして、私が言った言葉を思い出す。「実家に帰ります。5000万の車で1億の豪邸に」

「年収いくらだと思ってた?」と私が尋ねると、夫は「せいぜい300万だろ」と答えた。

「残念、0が一つ少ないわ。私の両親の年収は3000万よ」

夫は絶句した。義母も何も言えない。しかし、彼らはまだ諦めなかった。「農家でそんなに稼げるわけない」と反論したが、私は動画を見せた。これまでに義母と夫が私を嫁いびりしてきた数々の場面、特に実家から届いた野菜を黙って捨てた時の映像も入っていた。

「いつか使えるだろうと思って、小型カメラを仕込んでいたのよ」

二人は言葉を失った。両親は冷たい目で彼らを見つめ、父が言った。

「人を見た目で判断するような人間には、うちの娘は任せられん。とこ、帰るぞ」

私は両親と共にランボルギーニに乗り込み、実家へと向かった。車内では両親がはしゃいでいた。

「ああ、すっきりした!あんなにきついことを言う父さん、久しぶりだわ」

「そりゃな。わしらのこと何も知らんと大口叩きやがって。もっと言ってやればよかったわ」

私はそんな両親を見て、やっと自分の居場所に帰って来たと実感した。

実家に帰って数日後、両親と畑仕事の準備をしていると、見覚えのあるベンツが近づいてきた。案の定、夫と義母だ。彼らは高級な服を着て、わざとらしく田舎を馬鹿にしながらやって来た。

「やっぱり来たわね」

夫は「年収3000万は嘘だろ。こんなボロ屋に住んでるくせに」と言い放った。父は笑いながら言った。

「そう言うなら、ちょっと付いてきなさい」

私たちは歩いて数分の場所まで移動した。そこには、古い家とは対照的な、豪邸が建っていた。広い駐車場には、ポルシェやロールスロイス、ベントレーが何台も停まっている。夫はその車の数々に目を輝かせていた。

「これ全部売ったら、いくらになるんだ…。億どころじゃないぞ。しかし、なぜこんなに金があるのにあんな古い家に住んでるんだ?」

父はしみじみと話し始めた。「農家は天候に左右されて、最初から儲かってたわけじゃない。とこが学生の頃に台風で畑がやられて、本当に苦しかった。そんな中、とこは一番近い高校に進んで働いてくれたんだ。その後、私たちの両親が自分たちの家を譲ってくれて、なんとかやってこれた。その古い家は、私たち家族の思い出が詰まった大切な家なんだよ」

夫と義母は黙り込んだ。しかし、そこで終わらなかった。突然、義母が高笑いした。

「ふふふ、あはは!確かに両親はすごいわね。でも、その両親から生まれたのは、子供も産めない役立たずの娘だけどね!」

「そうだぞ。この役立たずを、優秀な俺様がもらってやってるんだ。感謝しなさい」

また始まった。私は父が夫に掴みかかろうとするのを制して、スマホを取り出した。

「興奮する前に、これを見てください」

私はスマホの画像を見せた。そこには、夫が不妊治療のクリニックに入っていく姿が写っていた。義母が「検査に行ってたの?優しいのね」と嫌味を言うが、私は続けた。

「そう、結果はこれです」

私は夫の診断書と、自分の診断書を並べて見せた。不妊だったのは、私ではなく夫の方だったのだ。夫は言葉を失い、義母は怒り狂った。

「まさ、あんた、ずっと黙ってたの?!私が娘に不妊の罪を着せてたのに!」

夫は泣きながら言った。「怖かったんだ…。俺が不妊だと知られたら、見捨てられると思ったんだ…。だから、とこが不妊ってことにしてお前をいびってたんだ…」

義母は頭を下げ、夫も土下座した。「戻ってきてくれ。今度こそお前に寄り添うから」と。

だが、私は冷たく言い放った。

「あなたたちが言ったでしょう。人間の本質は中身だって。外見だけはいいけど、中身が腐ったあなたたちの元には戻れません。さっさと出ていってください」

夫は怒鳴り散らしたが、私は「もう二度と私たちの前に現れないでください」と言い放ち、両親と共に作業へ向かった。夕方帰ってくると、夫の車はもうなかった。

その夜、私は両親と話し合った。父は「あいつにはまだ隠し事があるだろう」と言う。私は、夫が借金をしている証拠を掴んでいた。高級車を見た時に、彼の目に黒いものが走ったのを見逃さなかったのだ。

数日後、私は両親の指示で、あの豪邸の駐車場に身を隠していた。やっぱり、夫がバールを持って現れた。私は声をかけた。

「そこで何してるの?」

「うわっ!なんでいるんだよ!」

「私の家だからよ。そのバールで何をするつもりだったの?」

夫は白を切ったが、私は封筒を投げつけた。中には借用書と、探偵の調査結果が入っていた。夫は看護師に独身だと偽って近づき、ブランド品を貢ぎ、そのための借金をしていた。そして、義母に遺産を独占するために利用していたことも、離婚してその看護師と再婚しようとしていたことも、全て調べがついていた。

私は車の影から義母も呼び出していた。義母は夫を「もう二度と家の敷居をまたがないで」と罵り、去っていった。夫は警備員に連行され、逮捕された。

その後、私は離婚が成立し、地元に戻って就職が決まった。両親は「しばらく家にいたらいい」と言ってくれたが、これ以上甘えるわけにはいかない。私は一人暮らしを始め、休日は実家に帰って農業を手伝っている。

両親は基本的にはあの豪邸で祖父母と暮らしているが、実際はあの古い家で過ごすことの方が多い。「立てておいてなんだけど、私と父さんには、やっぱりこっちが落ち着くのよ」と母は笑う。あの古い家には、何者にも代えがたい思い出が詰まっている。私は両親を見て、そう思った。

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