離婚届を突きつけた瞬間、夫の姉がまだ言い放ったんです。「嫁のくせに随分強気ね。お金出してる人の家でしょ」って。でもね、その家のローンも頭金も、全部あたしが出してたんですよ。夫の借金履歴でローンが通らなかったから。姉は夫の家に居候するつもりでキャリーケースまで持ち込んでました。夫は泣きながら「機嫌直しておいてくれ」って言ったけど、あたしはもう家を売る準備を始めてました。人が食べ物を勝手に食い散…

離婚届を突きつけた瞬間、夫の姉がまだ言い放ったんです。「嫁のくせに随分強気ね。お金出してる人の家でしょ」って。でもね、その家のローンも頭金も、全部あたしが出してたんですよ。夫の借金履歴でローンが通らなかったから。姉は夫の家に居候するつもりでキャリーケースまで持ち込んでました。夫は泣きながら「機嫌直しておいてくれ」って言ったけど、あたしはもう家を売る準備を始めてました。人が食べ物を勝手に食い散...

いきなり夫がお腹を押さえてしゃがみ込んだ。何事かと思ったけど、本当に痛いらしい。一瞬、このまま置き去りにしようかとも思ったけれど、立ち去ったら何か言われそうで、結局救急車を呼んだ。

救急隊員が夫を運び出しながら、私に向かって「奥様もご準備を」と言った。でも私はきっぱり言った。「もう赤の他人なので無理です」と。隊員は不思議そうな顔をしていたけど、何かを察したのか、そのまま夫だけを搬送していった。あの時の夫の顔は、妙に情けなくて、思わず笑ってしまった。

娘に連絡すると、病院に行ってくれることになった。どうやら夫はしばらく入院するらしい。命に別状はないとだけ聞いて、詳しいことは聞かなかった。聞いたところで、もう赤の他人だ。変に気を遣っても困る。娘にそう言うと、分かってくれた。

荷造りの続きをしていると、また夫と浮気相手の写真を見つけてしまった。なんとリビングの引き出しの中にも置いてあったのだ。そこには私と夫の結婚指輪もしまってあって、夫がそこに写真を入れたのかは分からないけど、今まで気づかなかった私はどうかしている。そう思うと同時に、再び怒りが湧いてきた。

仕方なくこの家を出て行こうと思ったけど、私がこの家を出て行って終わりになんてさせない。夫がいない。今がチャンスと思い、行動に移す。夫の荷物はレンタル倉庫にまとめて預けた。

半月後、私が新しいマンションで生活を始め、仕事を終えて携帯を見ると、着信履歴に夫の名前がずらりと並んでいる。思わず携帯を落としそうになっていると、また着信があった。仕方なく通話ボタンを押すと、夫の声が響いた。

「おい、今どこにいるんだ?なんで家に入れないんだ?」

どうやら退院して家に帰ったらしい。私は笑った。

「残念ね。そこはもうあなたの家じゃないから、浮気相手のところにでも行ったら?」

「どういうことだ?」

夫は怒るけど、私は構わない。

「その家は売りました。あなたは何か勘違いしているようだけど、その家の名義は私。自分の持ち物をどうしようと、あなたにとやかく言われる筋合いはないわ。それに私はもうあなたの妻を卒業したの。すでに離婚も成立しているしね。あとはご勝手にどうぞ」

「離婚…?」

半月ほど前に離婚届を記入したことを忘れてしまったのか。それとも私が本当に離婚なんてしないと思っていたのか。戸惑っているようだったけど、私はそのまま電話を切った。

その後、弁護士を通して元夫と浮気相手に慰謝料を請求した。元夫は「有能な弁護士なんてすぐに雇える」と言っていたけど、浮気の証拠や期間が長いことなど、どう考えても負ける案件に手を貸してくれる弁護士はいなかったそうで、私はまとまったお金を手にすることができた。

娘が元夫から聞き出した話から推測すると、元夫の浮気は会社でも有名だったらしい。会社に電話をした時の電話口の反応にも納得だ。実際には出張ではなく、浮気相手との旅行だったのだろう。

でも離婚をした途端に、元夫は「妻に逃げられて家も売られた」と会社で笑われるようになり、肩身が狭いらしい。同僚や部下なんて、白けるものだ。

さらに元夫は浮気相手のところに行ったが、浮気相手にも慰謝料の請求が行くと「こんなはずじゃなかった」と言って捨てられたという。人の夫に手を出しておいて、こんなはずじゃなかったなんて、よく言えたものだ。

娘も浮気をしていた父親を許すことができず、その後は連絡を取ってはいないというので、どうなったかは知らない。プライドの高い人だから、会社で笑われているなら、もうあの会社にはいられないかもしれない。同じ生活圏内に住んでいても出会わないので、田舎にでも帰ったのかもしれない。

私には何もできないと思っていたけど、こうして家事が仕事になると、今までの時間が無駄じゃなかったと思えて、今は充実した生活を送っている。

私の名前はさやか。35歳の会社員だ。夫の真司と結婚して半年。結婚したのが遅かったので、子供のことや家のことなど、正直言うと色々焦っていた。

そんな時、夫が突然住宅展示場のチラシを持って帰ってきて、「今度見に行かない?」と言った。知り合いが住宅メーカーに勤めていてチラシをもらったらしい。「買うか買わないかはさておき、一度こういうのに行ってみてもいいかもね」と、私は少し楽しみになって頷いた。

次の週末、私たちは住宅展示場に出かけることにした。焦っていた部分はあったけど、それを抜きにしても、こうして実物を見てしまうと欲が出る。今のマンションも手狭になってきているし、やっぱり一軒家は憧れだ。

この年になると周りは子供がいたり家を買ったりしていて、結婚が遅かった私は劣等感すら抱いていた。そして夫婦で話し合い、家を建てる方向で考えることにした。話はトントン拍子に進み、比較的立地のいい場所に新築一軒家を購入。引っ越しの準備をする時点で、新しい生活にワクワクしていた。

それがまさか、あんなことになろうとは。

新居に引っ越して1週間、「やっぱり一軒家にして良かった」と、私はどこか浮き足立っていた。今までよりも夫婦の会話が増えて、なかなか楽しくやっている。

すると突然、義姉が尋ねてきた。実は私は義姉のことが苦手だ。定職にもつかず、好き勝手に生活している。義実家に住んでいるはずだけど、ほとんど帰らないようで、義両親も「何をしているのか分からない」と言っていた。

「義姉さん、どうしたんですか?」私が尋ねると、義姉は私を見下して言った。

「弟の家に遊びに来ちゃいけないっていうの?」

最初からそんなに敵意を向き出しにされても困る。この人は世間話もできないのか?というか、夫は確かに弟だけど、私はある意味他人だ。ここは私の家でもあるのに、そんな言い方はないだろう。内心そう思っていると、夫は私の様子には気づかず、にこやかに話しかけた。

「姉さん、来るなら一言言ってくれれば、ワインでも用意したのに」

夫はシスコンの傾向があり、義姉のことが大好きだ。普段は離れているから気にならないけど、私に敵意を向き出しにしてくる義姉と一緒の空間にいると、夫の態度になんだか不安になる。

結局この日は義姉のせいで、大事な休日が潰れてしまった。まだ片付いていない部屋を片付けようとか、足りない家具を見に行こうとか思っていたのに。

夜、義姉が帰ってから夫に言った。

「義姉さんが来るって言ってたの?せめて前もって言ってくれれば、こっちも予定が立てられたのに」

義姉とお酒を飲んでいた夫は、気が大きくなっているのか「別にいいだろう。身内なんだから」と、私を見て呆れたように言う。その態度にイラっとしたけど、「まあ今日だけだし」となんとか忘れることにした。

それなのに、翌日も義姉がやってきた。しかも夜遅くまで夫と2人で飲んでいて、「もう帰るのが面倒になったから、泊まっていくわ」と言い出した。

「え、そんな…お客様用の布団も出してないし、困ります」

私がとっさにそう言うと、夫が口を出した。

「困るってなんだよ。お前はソファーで寝て、お前の布団を姉さんに貸してやればいいだろ」

「は?今何て言った?」

カチンと来たけど、その場はなんとか我慢をした。

「で、でも、人の布団で寝るのなんて嫌でしょ。真司の布団を貸してあげれば」

私ができるのはここまでだ。私は他人に布団を貸すのも嫌だし、他人の布団を借りて寝るのもちょっと気が引ける。ほとんどの人がそうじゃないだろうか。義姉にとって私はいわば他人だし、まさか夫の提案は飲まないだろう。

それなのに、義姉は思わぬ回答をする。

「別に、私は大丈夫だよ」

いや、大丈夫だよじゃないよ。そこは遠慮するところでしょう。私はそもそも泊まって欲しくないんだから、気づいてよ。心の中でそう思うけど、この人に察して欲しいというのは無理なのかもしれない。

私はため息をついて、急いで荷物を置いてある部屋に行き、まだ見開きしていない客用の布団を出した。面倒ではあったけど、自分の布団を貸すよりはいい。

とりあえず布団を敷いてリビングに降りると、なんと2人はソファーで寝ていた。テーブルの上にはビールの缶やつまみが残されている。私は怒りが湧いて、寝ている2人を見て見ぬふりをして自室に戻った。

翌日、義姉が帰ってから夫に釘を刺す。

「ねえ、義姉さんが来る時は事前に言ってよね。こっちにだって予定があるんだから」

「はあ。お前の予定なんて大したことないだろ。身内がいつ遊びに来たっていいじゃないか。それにお前は酒が弱くて一緒に飲めないだろ。1人で飲むより2人で飲む方が楽しいんだよ」

それを言われると、自分が悪いのかという気すらしてくる。確かに私はお酒が全然飲めなくて、お酒が好きな夫は昔から「一緒に飲めればいいのに」と言っていた。

外で飲まれるよりはいいのか。他の女と飲むくらいなら、家で義姉と飲んでくれていた方がいいのか。そんなことを考えていると、夫が言った。

「ああ、ビールなくなったから買っといてくれよ」

そして私の返事を待たずに仕事に行ってしまう。残された私は、ため息をついた。

数日後、私が仕事から帰るとインターホンが鳴る。出てみると義姉だった。

「真司が早く帰れるから、一緒に飲もうって言ってたの」

そう言うと、手土産もなしにズカズカと上がり込んでくる。「それにしても、この家、最高の家ね」と義姉は言う。

私はその言葉に少し嬉しい気持ちになる。自分の劣等感が拭えたような気がして、どこか安心した。だけど、次の義姉の言葉でそんな気分はどこかに行ってしまう。

「今日から私も住むわ」

よく見ると、義姉はキャリーケースを引いてきていて、玄関に置いてある。どういうことなのかとパニックになっている私を置いて、義姉はソファーでくつろぎ始めた。

それから義姉はうちに入り浸り、冷蔵庫の中やキッチンの戸棚を勝手に漁り、勝手にソファーで寝て、勝手にうちで生活するようになっていった。初めのうちは「住むなんてさすがに冗談で、2、3日泊まったら出ていくでしょう」と思ったけど、全くその気配がない。

夫には何度も言うが「はあ。飽きたら出ていくでしょう」と言って、毎晩2人でお酒を飲んでいる。夫は私の言うことを聞いてくれないし、全然頼りにならない。本当に結婚して良かったのかと疑問を感じ始めた。確かに幸せな時間もあるけど、結婚に焦っていたのも事実。離婚の文字が頭をよぎる。

1週間我慢したけど、私はさすがに耐えきれなくなり、夫と義姉が晩酌をしているところに乗り込んだ。

「義姉さん、いつまでここにいる気なんですか?」

「何言ってるの?ちゃんと言ったでしょ?ここに住むって」

悪びれもせず言われて、私は余計頭に来る。

「なら離婚します。今すぐ出て行ってください」

そう言うと、夫が慌て始める。

「おい、何言ってるんだよ、さやか。冗談やめろって」

「冗談?今この場で冗談なんていう気分じゃないわよ」

私は記入してある離婚届を差し出した。それを見た夫は仰天する。

「え、離婚って本当に?」

「だから、冗談でこんなこと言うはずないでしょ。それ書いて、この家から出ていって」

すると、義姉が口を挟んだ。

「何?嫁のくせに随分強気ね。夫の姉である私がどうしてここにいちゃいけないの?」

やっぱり義姉は何も分かっていなかった。夫が止めるのも聞かず、義姉は続ける。

「私がここに住んであげるから、他人のお前が出ていけ」

お酒の力もあるのか、義姉は我が者顔で私に指図する。夫は顔色を変えながら義姉を止めていた。

「姉さん、違うんだよ。ちょっと黙って」

私はその様子に、怒りを通り越して笑いが込み上げてくる。するとそれを見ていた義姉は私を睨んだ。

「何笑ってるの?早く出ていきなさいよ」

私は睨み返す。

「勘違いしているようですね。ここは私の家ですけど」

そう言うと、義姉は馬鹿にしたように笑ってきた。

「はあ?家を建てるって言って内装を選んだから私の家?真司はどうしてこんな態度の大きい嫁をもらったのかしら?お金出してる人の家でしょ。嫁のくせに本当に図々しいわね」

私は笑うしかない。

「だから、私の家なんですよ。頭金は私が出したし、ローンも私の名義で、この家は私のものなんです」

ポカンとした顔の義姉の隣で、真司は青ざめたままだ。この後に及んで自分の姉のことも止められない。そんな夫に愛想なんて尽きてしまった。

「真司は結婚するまで貯金はあるって言ってたのに、全然なかったんですよ。だけど家を買うことになったから、私の独身時代の貯金を頭金に当てたんです。家のローンくらい真司が組むと言っていたけど、まさかローンの審査が通らないなんて思いませんよね」

実は真司は昔の借金履歴があり、しかも転職したてで勤続年数が短く、ローンが通らなかった。借金していた過去があったなんて、この時に初めて知ったけど、完済で全て返したと言っていたので、そこは目をつむることにしていた。実際私も家を購入することに気持ちが傾いていたし、今はきちんと働いているから問題ないと思い、「今後は真司の収入も私が管理する」と約束をして、私の名義でローンを組んだ。だからここは私の家なんです。

一番大事なことをもう一度言って、真司に詰め寄った。

「早く書いてくれる?荷物は後で取りに来てもいいから。とにかくそれ書いたら、この人連れてさっさと出ていって」

この人たちの顔を見たくなくて強く言うと、真司は情けない顔で懇願してきた。

「さやか、考え直してくれ。本当に悪かった。姉さんは今後一切この家に入れないから。ここは2人の城じゃないか。家具も家電も2人で選んで楽しかっただろう」

その言葉に私は笑うしかない。

「そうね。楽しかったよ。だってその時はこんなことになると思ってなかったもの。それに義姉さんのことは何度も言ったよね。今更そんなこと言ったって遅いでしょ」

それでも2人が動かないので、私は義姉のキャリーケースを引っ張り出してきて、玄関に放り出した。

「ちょっと、何してるのよ」

「さっさと出ていかないと、不審者が滞在していますって通報しますよ」

私は夫の方に向き直って、夫にペンを渡す。

「今すぐ書かないなら、このことあなたの実家にも報告するし、共通の友人にも細かく話すけど、いい?」

義両親は義姉に手を焼いていて、「もう家から出て自立して欲しい」と言っているけど、金銭で援助して甘やかす夫のことも怒っている。このことが義両親にバレたら、厳しいお父さんに2人ともこっぴどく怒られるだろう。

夫はよほどお父さんが怖いらしく、そう言ったらすぐにペンを取った。私は記入された離婚届を回収し、夫に旅行バッグを押し付けた。夫はしぶしぶ荷物を詰め始める。腕組みをしてその様子を眺めていると、夫が泣きながら言ってきた。

「ひ、不幸あってまた話に来るよ。その時までには機嫌直しておいてくれよな」

その情けない姿に私は呆れ果て、無言で玄関から出ていく2人を見送った。

そこから私は忙しく動く。翌日には離婚届を出しに行き、弁護士の友人に相談をして、食べ散らかされた高級なお肉や高級ワイン、生活費の請求ができないか相談した。この家は住み続けるべきか悩んだけど、売り払うことに決め、不動産屋を回って査定額が一番高かった業者にお願いし、半月後にはこの家を売り払った。短期間でここまでできたのは、私の怒りがなせる技だったと思う。

家を売ったお金でマンションに引っ越しをし、落ち着いた頃に真司から電話が来た。何度か連絡は来ていたが、同じことしか言わない真司に嫌気がさして、ろくに会話はしていない。

とりあえず電話に出ると、やはり同じことを言ってきた。

「そろそろ機嫌治った?俺、今度の週末に家に帰るよ」

その言葉に私は笑った。

「あなた、今更どこに帰る気?言っておくけど、あの家はもう他人のものだから」

「え?」と声を出す真司。

「買い手がついたから、すぐ言ったわ。あ、真司の荷物は実家に送らせてもらったから、そろそろ届くと思うよ。あと義姉さんの置いていった荷物もね。お父さんとお母さんには、ちゃんと言っておいてよね」

「え、実家に?え、ちょ、ちょっと待って」

慌てふためく真司だが、私にはそんなことは関係ない。

「ああ、あとあなたと義姉さんが勝手に食べた食材とか生活費、2人がワインをこぼして染みをつけたカーペット代とか、全部まとめて請求させてもらうから、よろしくね」

私が楽しみにして買っておいた高級肉や缶詰など、値段が高いものから順に義姉に食べられたり、2人のつまみになっていたりした。途中で止めたのに、真司は「ケチ臭いな」と言って私を振り払った。その恨みは忘れない。食べ物の恨みは恐ろしいんだぞ。

それに新築のために買ったカーペット。あれは私が一目惚れして買った高級品。せっかくだからとお金をかけたのに、ワインをこぼして放置したらしく、私が気づいた時にはすでに遅く、染みが取れない状態だった。

結婚に焦っていた私も悪かったけど、まさかこんな解消なしのシスコンだとは思っていなかったわ。新築一軒家だって、インターネットのブログで「俺の城」だって自慢してたのね。「みんないつでも遊びに来い」だって。あの家は一度もあなたの家になったことはないんだからね。友達から聞かれたから、ちゃんと訂正しておいたわ。「あなたはローンが通らなかったから、あれは私の家だ」ってね。

友人に聞かれて真司のブログを見て、私は呆然とした。嘘をついてまで自慢するなんて、どれだけ見えっ張りなのか。真司は「共通の友人にばらすなんてひどい」って言ってたけど、私から言ったわけではない。私は聞かれたことについて答えただけだ。そもそもそんな嘘をついていると思わなかったし、私に連絡が来るリスクは考えなかったのか。

私は言いたいことだけ言って電話を切る。すると、翌日お母さんから電話が来た。

「あ、さやかさん。なんだか荷物がたくさん届いたんだけど、これはどういうこと?」

「真司から聞いてないですか?それは真司と義姉さんの荷物です。申し訳ないんですけど、本人たちから事情を聞いてもらえますか?」

そう言った数時間後、今度はお父さんから電話が来た。どうやら真司と義姉さんは友人のところを点々としていたらしく、お父さんが捕まえて事情を聞いたらしい。今は義実家に戻っているそうで、お父さんは激怒している。

私はお父さんに聞かれ、今回の経緯を再度説明した。するとお父さんはより一層激怒してしまい、私には「私が請求する分については、必ず2人に払わせる」と約束してくれた。

後日、義実家に呼び出され、お父さんとお母さんに頭を下げられた。その横で真司と義姉さんも頭を下げる。2人は相当怒られたのか、項垂れて顔に痣まで作っている。そして私が請求していた金額は、一括で支払われた。迷惑をかけたというお父さんの配慮で、その金額は上乗せされていて、財産分与についても真司には放棄させたとのことで、婚姻時代の貯金についても全額きっちり回収できた。

義姉さんは実家に戻され、お父さんとお母さんに厳しい監視をされ、「人に迷惑をかけないように」と門限まで設けられたらしい。真司はこの一件で、友人のほとんどを失ったという。

私は請求した金額以上に支払ってもらったので、もうこの兄弟に用はない。無事に縁も切れて、すっきりだ。

その後の私は、結婚や子供に焦るのをやめ、気ままな一人暮らしをしている。これが私の生き方だ。そう思うと、人生が今まで以上に楽しくなっている。

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