「あなたの浮気相手、既婚者よ。ちなみにあなたの荷物は、浮気相手の実家に送ったわ」
夫の顔色が一瞬で青ざめた。今日から義両親との同居が始まるというまさにその日、私は心の中で静かに笑った。
夫の義行は引っ越し当日、大量の荷物を指差して言い放った。「荷物はお前が全部片付けろ。両親には余計なことを言うな。お前は黙って夫の言うことを聞いていればいいんだ」
背後には何も知らない義両親が立っている。義行は私が同居を提案したと平然と嘘をついた。「リカさんが同居を提案してくれたそうだね。本当にできた嫁をもらったよ」
義行の嘘を聞きながら、私は決心を固めた。もうこの夫に従うつもりはない。
義両親が新居の中を案内され、私と二人きりになった瞬間、義行は口元を歪めた。「俺の荷物は丁寧に扱えよ。分かったらさっさと運び始めろ」
私はまっすぐ彼の目を見た。「無理よ。あなたの荷物、ここには一つもないから」
義行の顔が怒りで歪む。「さっきから何言ってんだ?俺の荷物はお前に頼んだはずだ」
私は静かに言い放った。「確かに送ったわ。でもここにはないの」
義行の大声を聞きつけて、義両親が戻ってきた。義行は慌てて取り繕う。「ちょっと驚いて声が出ただけだ。リカが俺の荷物を送り忘れたみたいで」
義母が優しく言った。「大丈夫よ、リカさん。私たちも手伝うから、今からでも取りに行きましょう」
「いえ、大丈夫です。忘れたわけではありません。荷物は私の弟が送ってくれる予定ですから」
義父が安心したように頷く。その隙に、私は義両親に真実を伝えた。
「お二人に謝らないといけないことがあります。私、同居はできません。義行は私が同居を提案したと言いましたが、私は同居のことを一切聞いていません」
義両親は困惑した表情を浮かべ、夫に問い詰めた。「よし、どういうことだ?お前が勝手に決めたのか?私たちを騙したのか?」
義行は必死に言い訳を重ねる。「最近仕事が忙しくてリカとの時間が少なくなってたんだ。リカはしっかり者に見えて抜けてるところがあるから、同居のことも忘れてしまったんだよ」
私は深呼吸をして、とどめの一撃を放った。
「あなたの浮気相手、既婚者よ。あなたの荷物は、浮気相手の実家に送ったわ。彼女、旦那さんと実家に暮らしているそうよ」
「はあ?嘘だろ?」
「浮気相手の両親と旦那さんにも、あなたのことは全部話してあるわ。将来の社長候補が、こんなことをしていて笑わせるわね」
義両親は言葉を失い、義行は蒼白な顔で立ち尽くしている。もっと優しくすればよかったのに。自分の奥さんなんだから。
でももう遅い。私はこの日のために、すべて準備してきたのだから。



