叔父の農園で働く俺、松本優太は、ある日大口取引先の社長令嬢から電話で怒鳴られた。社長が倒れてから、彼女は俺たち農家を見下すように態度を変え、無理な要求ばかりしてくるようになった。ついに納品日の当日に一方的にキャンセルされ、育った野菜を無駄にしろと言われた瞬間、我慢の限界を超えた。
「農家なんてたくさんあるのよ。安くするか、契約をやめるか、どっちでもいいわ」
「これ以上は下げられません。ここがギリギリの値段です」
「後悔しても遅いからね」
俺は迷わず取引を中止した。後悔なんてするはずがない。農家を馬鹿にするような相手と付き合う気はない。気持ちを切り替えて野菜作りに集中しようとした。
それから一ヶ月後、顔面蒼白の社長令嬢が農園に現れた。彼女の様子は完全に変わっていた。震える声で俺に詰め寄る。
「お願い、また野菜を卸してほしいの」
「あの時は私が悪かったわ。謝るから、どうか」
一体、彼女に何があったのか。彼女の後ろには、何かを必死に隠そうとするような、焦った表情の秘書が立っていた。俺は叔父に相談せずにはいられなかったが、叔父は難しい顔で黙ったままだった。



