結婚して5年。元々は私の実家で両親と一緒に暮らしていたんだけど、父が病気で亡くなってからは、母と夫と3人で暮らしている。夫も私も共働きだから、家事は母がほとんどやってくれて、本当に助かっていた。
そんなある日、夫が母と私に「大事な話がある」と言い出した。義兄の一家が、来月、遠方へ転勤することになったらしい。義兄は、子どもたちの学校のことや、妻のことを考えると、単身赴任がいいと思ったんだって。
ここまではまだいい。問題はこの後だ。「単身赴任中の1年間、妊娠中の嫁と4人の子どもたちを、お前の家で預かってほしい」と義兄に頼まれたという。しかも、義兄一家は賃貸暮らしで、うちと同居すれば、単身赴任中の家賃を浮かせたいらしい。
我が家は一応一軒家だけど、そんな大所帯を引き受ける余裕なんてない。それに、義兄の妻エミリさんとは、年に数回会うか会わないかの親戚付き合いしかしたことがない。別に親しいわけでもないのに、いきなり家というプライベートな場所へ受け入れるのは、どうしても抵抗がある。
しかも、子どもたちは全員男の子。一番上は17歳で落ち着いているけど、他はみんなまだまだやんちゃ盛りだ。いくら何でも急すぎる。私は「無理よ」と反対した。
でも夫は、義兄の頼みを聞き入れたい様子。「エミリさんは今年37歳だろ。高齢出産になるし、兄貴としてはそばに誰かいてほしいんじゃないかな」とか、いろいろ言っていた。正直、私の頭の中はそれどころじゃない。
その時、ふと義母の顔が頭に浮かんだ。「そもそも、お母さんに同居してもらえばいいんじゃないの?」と私は提案した。いい考えだと思ったのに、夫は首を横に振った。
「実は、母さんとエミリさんは仲が悪いんだ。一応、俺も母さんに聞いてみたんだけど、『静香さんに協力をお願いしたい』って言われたよ」
その言葉を聞いて、妙に納得してしまった自分が恨めしい。義母は、自分が嫌いな人はとことん遠ざけたい性格だ。義兄の妻との同居なんて考えられないと突っぱねたのだろう。それに、義父が残した遺産で、奔放な生活を楽しんでいる義母は、自分の自由が減るのが嫌なんだ。
「反対したのに、そんなにお兄さんやエミリさんたちにいい顔したいの? 私や母の気持ちは考えないの? そんな夫って必要?」
言い過ぎたと思ったけど、止められなかった。夫は黙ってしまったけど、顔は納得していない。
結局、夫は義兄の頼みを受け入れるつもりでいるみたい。私はどうしたらいいのかわからない。これから、私の生活はどうなってしまうんだろう。



