「邪魔なんだよ。帰ってくれないか。」愛する息子の口から放たれたその言葉に、私はその場で凍りつきました。孫娘の七五三を心待ちにし、朝から支度を整えて訪れた私を待っていたのは、嫁の冷たい視線と、招かれていた義父母の楽しげな笑い声でした。3年間、雨の日も風の日も孫の面倒を見てきた私が、なぜ「邪魔者」扱いされなければならないのでしょう。そして息子たちは、私の家を勝手に売って新居の資金にするよう迫り、…
「邪魔なんだよ。帰ってくれないか。」 愛する息子から放たれたその一言は、私の人生を凍りつかせるには十分すぎる威力を持っていました。 11月の空がどこまでも高く澄み渡る晴天の朝のことでした。私は孫娘の晴れ姿を一目見ようと胸を高鳴らせて、息子の家の玄関前に立っていました。孫の花奈ちゃんは3歳になり、今日はいよいよ七五三のお祝いなのです。この日をどれほど心待ちにしていたことか。私は早朝から支度をし、お祝いの品を手に満面の笑みでチャイムを鳴らしました。 しかし、ドアを開けた瞬間に私を待ち受けていたのは、息子の妻である亞由美さんの氷のように冷たい視線でした。 「お義母さん、今日は来ないでって言いましたよね。」 私は自分の耳を疑いました。そんな連絡は一度も受けていません。 「でも今日は花奈ちゃんの七五三でしょう。私もお祝いしたくて。」 「だから、邪魔なので帰ってくれませんか?」 亞由美さんは私の言葉を遮り、無情にもドアを閉めようとしました。その隙間からリビングの光景が目に飛び込んできました。そこには楽しそうに談笑する亞由美さんのご両親の姿があったのです。彼らはすでに家の中に招き入れられ、息子家族と和やかに過ごしているではありませんか。 なぜ私だけが拒絶されるのでしょうか? 私は呆然と立ち尽くし、これまでの歳月を振り返らずにはいられませんでした。 10年前に夫が他界してからというもの、私は女手一つで息子の徹也を育て上げてきました。銀行員として支店長代理まで務め上げ、それなりの蓄えもありました。徹也の大学費用700万円も惜しみなく注ぎ込みました。就職が決まった時のあの子の涙を今でも鮮明に覚えています。結婚式では援助として300万円を包みました。亞由美さんとの新生活を心から祝福していたからです。 そして3年前、2人がマイホームを購入する際には迷うことなく頭金として800万円を用意しました。 「母さん、本当にありがとう。」 あの時の徹也の感謝の言葉と笑顔が今も目に焼きついています。 花奈ちゃんが生まれてからは私の生活は孫一色になりました。2人のために週の半分以上は朝から夕方まで孫の面倒を見ました。熱を出せば夜中でも駆けつけ、看病しました。公園デビューも初めてのおしりも、全て私が見守ってきたのです。 それなのに、なぜ私だけが七五三に参加できないのでしょうか? なぜ亞由美さんのご両親は歓迎され、私は邪魔者と呼ばれなければならないのでしょうか? 胸が張り裂けそうな思いで、私は息子の家を後にしました。 その日の夕方、徹也から電話がありました。 「母さん、今日は急に来られても困るよ。七五三は身内だけでやることにしたんだ。」 「身内だけって。亞由美さんのご両親はいらっしゃったじゃない。」 「それは向こうは違うんだよ。」 「どう違うの? 私も花奈ちゃんの祖母なのに。」 「とにかく、ゆみがそう決めたんだから。」 一方的に電話を切られ、私は愕然としました。 思い返せば、このような理不尽な扱いは今に始まったことではありませんでした。花奈ちゃんのお宮参りの時も、私は事後報告でした。亞由美さんのご両親とは事前に日程調整をしていたのに、私には前日の夜に「明日来て」という連絡だけ。予定を変更して駆けつけた私を待っていたのは、すでに半ば終了している祝いの席でした。 「お義母さん、遅いですよ。」 亞由美さんの第一声がそれでした。前日の連絡だったことなど、まるでなかったかのように。 初節句の時はさらにひどいものでした。 「お義母さんは午後から来てください。午前中は私の両親と過ごしますから。」 まるで私が余計な存在であるかのような扱いです。それでも孫の晴れ姿が見たくて指定された時間に訪れると、もう片付けが始まっていたのです。 「あら、もう終わっちゃいました。でも写真は撮りましたから。」 亞由美さんは悪びれることもなくスマートフォンの画面を見せてきました。そこには華やかな衣装を着た花奈ちゃんを中心に、亞由美さんの両親と息子夫婦が笑顔で映っていました。私の居場所はどこにもありませんでした。 最も衝撃的だったのは、去年の花奈ちゃんの誕生日です。 「お義母さん、誕生日会は家族だけでやりますから。」 「でも、私ケーキを予約してあるの。もう用意してあります。」 玄関先で追い返された私は、用意していたプレゼントを渡すこともできませんでした。 後日徹也から聞いた話では、亞由美さんの両親は朝から来て1日中一緒に過ごしたそうです。 「家族だけって言ったじゃない。」私が抗議すると、徹也は困ったような顔をしました。 「母さん、向こうのご両親は違うんだよ。ゆみにとっての本当の両親だから。」 「じゃあ、私は何なの?」 「母さんは、まあ僕の母親だけど。」 その言葉に、私は深く傷つきました。 そして先月、亞由美さんから信じられない要求を突きつけられました。 「お義母さん、花に会いすぎです。教育に良くないので、月1回にしてください。」 「でも、私毎日送迎をしているのよ。」 「もう結構です。うちの両親が引っ越してきたので、これからは向こうにお願いします。」 3年間、雨の日も風の日も続けてきた送迎と世話。熱が出れば看病し、亞由美さんが美容院に行く時も友人とランチする時も、いつでも預かってきました。「今までありがとうございました」の一言もないまま、私は花奈ちゃんの日常を奪われたのです。 最後に会った時、花奈ちゃんは私に言いました。 「バーバ、どうして最近来ないの?」 「バーバはね、ちょっと忙しいのよ。」 「ママが、バーバは邪魔だからきちゃダメって言ってた。」 無邪気な孫が放った言葉に、私は凍りつきました。 … Read more