「悪いが、今日持ってきた野菜は一切受け取れない。いや、むしろこれから先も必要なくなった。1000万円分の野菜。もういらねえから」 高級レストランのオーナーに、突然取引を打ち切られた。年間1000万円分の野菜。契約を前提に作付けも増やし、設備投資もしてきた。頭が真っ白になる中、彼は面白がるように笑った。「ビジネスっていうのはそういうもんだ」と。…

高級レストラン「レストラン神崎」に野菜を納品しに来た農家の俺。しかし、オーナーの神崎さんから突然、取引打ち切りを宣告された。 「悪いが今日持ってきた野菜は一切受け取れない。いや、むしろこれから先も必要なくなった。1000万円分の野菜。もういらねえから」 一瞬、何を言われたのか理解できなかった。1000万円分というのは、ざっくり計算した年間の卸し金額に相当する。つまり、取引そのものを断ち切られたということだ。 「そ、そんな急に取引停止なんて困りますよ」 俺は思わず声を荒げてしまう。このレストランとの契約を前提に、今年は作付けも増やしていたし、設備投資もしていた。あまりに唐突すぎる話に頭が真っ白になる。 でも神崎さんは、むしろ面白がるように口元を歪ませた。 「困る?知らないね。ビジネスっていうのはそういうもんだ。こっちが必要ないと判断したら、早いうちに切るのが鉄則だろ」 その傲慢な物言いに、俺は胸が苦しくなる。どれだけ手をかけて育ててきた野菜か。何度も何度も試行錯誤して、美味しいと言われたくて努力してきたのに、あまりにもあっさり否定されると言葉が出ない。 すると、その時、外国人のVIPがレストランに入ってきた。どうやらレストランと取引を結びに来たようだが、すり寄るオーナーをよそに、彼は俺を見て言うのだった。 「君ほどの人が、なぜこんなところに?」 それを聞き、目を白黒とさせるオーナー。だって、俺の正体は? 俺の名前は吉川蒼太。のどかな田舎で農業を営んでいる。朝は日の出と共に起き、畑に出て作物の様子をじっくりと観察するのが日課だ。土の状態を確かめ、少しでも乾いていれば水やりの量を変えたり、害虫を見つければすぐさま対策をしたり。表舞台には立たない地味な仕事だけれど、この積み重ねこそが美味しい野菜を生む金なんだと信じている。 しかし、俺の毎日はただ黙々と土をいじるだけじゃない。週に数度、収穫した野菜をトラックに積んで、高級レストラン「レストラン神崎」へ卸しに行く機会がある。そこの料理長が、仙台オーナーの頃から大切に育んできた取引であり、ありがたいことに俺の作物をかなりの量引き取ってくれているんだ。 実際、「レストラン神崎」は、文前からして特別感が漂っている。レンガ作りの落ち着いた外観に、柔らかな照明がともるエントランス。俺みたいな農家が気軽に足を踏み入れていいのかと戸惑うほど高級感に満ち溢れている。 だが、そこで働く水沢さんは、いつも俺の姿を見つけると笑顔で迎えてくれる。彼女はシェフとしての腕前が抜群で、店の看板メニューをいくつも手掛けているらしい。俺から見れば、すごい人かどうかは分からない。ただ、彼女の料理を口にした人たちは、皆一様に絶賛しているみたいだ。俺自身、野菜を下ろしているだけで料理の一端を担いでいるようで、なんとなく誇らしい気持ちになる。 「レストラン神崎」には、仙台オーナーの代から質のいい素材を徹底的に追求するポリシーがあったと聞く。俺が配達を始めた当初は、仙台オーナーが「若いのに頑張ってるじゃないか」と声をかけてくれたり、水沢さんも「このキュウリすごく瑞々しくていいわね。どうやって育ててるの?」なんて興味津々に尋ねてくれたりして、いつも温かく迎えてもらっていた。 それに、水沢さんは俺の野菜をとても丁寧に扱ってくれた。「このトマトは酸味が爽やかだからサラダに使いたいな」「ナスは焼き加減が大事だから、ちょうどいい仕上がりになるか挑戦してみるわ」など、彼女なりの創作アイデアをどんどん聞かせてくれるんだ。その度に、俺も「よし、次に持ってくる野菜はもっといい状態で収穫しよう」と気合いが入る。 だからこそ、最近少しずつ変わってきた店の空気に、俺も気がかりを覚えている。仙台が退き、新しく二代目オーナーに就任したのが神崎さんだ。水沢さんとは幼馴染みという話をちらりと耳にしていて、神崎さん自身も「昔からずっと彼女の料理センスは抜群だと思ってた」と何度か話しているのを聞いたことがある。 ただ、俺と神崎さんが顔を合わせると、どうにも雰囲気が良くない。彼は洗練されたスーツ姿で店の経営方針を矢継ぎ早に打ち出しているみたいだが、その態度にどこか違和感を感じるんだ。以前は俺が納品に行っても仙台オーナーが気さくに声をかけてくれたものだけど、今の神崎さんは、まるで「業者にかまっている暇はない」と言わんばかりにさっさと通りすぎてしまう。 水沢さんが俺にこっそり教えてくれたところによると、神崎さんは海外への事業拡大を見据えているらしい。しかも、相当なスピードでコスト削減を進めようとしていて、既存の契約や仕入れルートにも容赦なくメスを入れかねないとか。 「吉川さん、ここだけの話なんだけど、神崎君がやたらと海外の話をしていて、実はそこに多額の投資をしようとしているみたいなの。だから今のレストランの運営費をかなり削りたがっていて」 配達作業を終えた裏口で、水沢さんにそう打ち明けられ、俺は少し気遅れしながらも聞き返した。 「ということは、もしかして仕入れ先の見直しもあるかもしれないってことですか?」 「え、実はちょっとだけそんな話を耳にして。今すぐどこというわけではないと思うんだけどね」 彼女が言葉を濁しながら心配そうにこちらを見る。その視線を受け止めた俺は、思わずため息が出そうになった。ここのレストランは俺の野菜を多く買い取ってくれている大事な取引先だ。もし関係が断たれたら、経営的にも大打撃だ。 俺が苦い顔をしていると、水沢さんが「大丈夫だよ」と柔らかく微笑んで見せた。 「川さんのところの野菜がどれだけ人気なのか、私が一番よく知ってるんだから。正直、うちのレストランは吉川さんの野菜で持ってるようなものだよ。だから神崎君が何か言っても、私が止めるから心配しないで」 俺を安心させようとしてくれているのが伝わってきて、思わず胸が温かくなる。 「いや、ありがとうございます。でもすみませんね。何から何まで」 俺がそう返すと、水沢さんは首を振って笑みを深めた。 「全然。吉川さんだってうちのレストランを支えてくれてるし、私も美味しい野菜のおかげで新しいレシピがどんどん思い浮かぶからね。むしろ感謝してるんだよ」 「そう言ってもらえると助かります」 「だから、あんまり落ち込まないで。もし彼が仕入れを見直すとか言い出しても、私も黙ってないからさ」 彼女は言葉の端々こそ砕けているものの、まっすぐこちらを見つめる視線は頼もしかった。シェフとして一流だと噂されるだけのことはあるし、何よりあの二代目オーナーに食材や調理法についても堂々と意見を言っていると聞く。どうやらそこには、幼馴染みならではの遠慮のなさがあるらしい。 「神崎君とは昔から一緒に育ってきて、親の経営する店を見てきた仲なんだ。確かにやり方が強引な時もあるし、海外進出っていう夢に熱くなりすぎちゃうところもあるけど、本当は悪い人じゃないと思うよ。まあ、私から見ても、もうちょっと穏やかになればいいのにって思うことはあるけどね」 そう言いながら、水沢さんは少し苦笑した。子供の頃からそばにいた神崎さんのことを、彼女なりに色々感じ取っているんだろう。俺も「なるほど」と相槌を打ちながら、どこか羨ましいような気持ちを抱く。 「私も神崎君が海外店舗を夢見る気持ちは理解してるんだ。元々、世界中の人にうちの料理を楽しんで欲しいって言い続けてたから。だけど、だからと言って大切なものを犠牲にするのは違うよね。レストランって、お客様に美味しいって思ってもらうのが一番大事だからさ」 「はい。俺も野菜を育てる時は、美味しいかどうかを基準にしてます」 「それだよ、それ」と、水沢さんは軽く指を刺してくる。「でしょ?その美味しいかどうかが、結局は人を喜ばせる根本だよね。だからコスト削減は必要でも、素材の質を落としたら意味がない。私はシェフだからかもしれないけど、素材の味が最高だと自然に美味しくなるんだ」 「水沢さんは本当に料理が好きなんですね」 「そりゃ、ずっとこれで生きてきたからね。ああ、変な意味じゃなくてさ」 彼女はそう言いながら照れくさそうに笑った。冗談めかしてはいるが、その瞳には確かな自信が伺える。料理人としての誇りというか、自分の腕を信じているからこそ言える言葉なんだろう。俺はそんな彼女を見て胸が熱くなる。こういう人に出会えたからこそ、俺は頑張って野菜を作り続けていられるんだと思う。 それは、ある日の朝だった。俺はいつも通りトラックの荷台に新鮮な野菜をぎっしり積んで、「レストラン神崎」へ納品に向かった。空は晴れ渡り、秋の日差しが少しだけ肌を温める。最高の収穫日和だと感じながら、ハンドルを握る手にも自然と力が入る。つい先日、水沢さんが「この季節のオクラ、すごく瑞々しくて美味しいわよね。是非サラダに使いたい」と言っていたのを思い出して、俺は少しでも状態のいいものを届けようと一生懸命育ててきた。 なのに、いつもは俺が到着すると裏口で待っていてくれるはずの水沢さんの姿が見えない。代わりに、レストランの入り口付近で慌ててそわそわしている店員たちが目に入った。嫌な胸騒ぎがして、急いで荷台から野菜のコンテナを下ろして店に入ろうとすると、すぐさまあの威圧的な声が聞こえてきた。 「はあ?その値段でOK出したのか。ダメだ。もっと安く交渉しろ」 神崎さん、二代目オーナーだ。いつもピリピリしている彼だけど、その日はいつにも増して険しい顔をしていた。俺が戸惑いながらも近づくと、彼はコンテナの野菜に目もくれず、鼻で笑うように唇を歪めて言い放つ。 「悪いが今日持ってきた野菜は一切受け取れない。いや、むしろこれから先も必要なくなった。1000万円分の野菜。もういらねえから」 一瞬、何を言われたのか理解できなかった。1000万円分というのは、ざっくり計算した年間の卸し金額に相当する。つまり、取引そのものを断ち切られたということだ。 「そ、そんな急に取引停止なんて困りますよ」 俺は思わず声を荒げてしまう。このレストランとの契約を前提に、今年は作付けも増やしていたし、設備投資もしていた。あまりに唐突すぎる話に頭が真っ白になる。 でも神崎さんは、むしろ面白がるように口元を歪ませた。 「困る?知らないね。ビジネスっていうのはそういうもんだ。こっちが必要ないと判断したら、早いうちに切るのが鉄則だろ」 その傲慢な物言いに、俺は胸が苦しくなる。どれだけ手をかけて育ててきた野菜か。何度も何度も試行錯誤して、美味しいと言われたくて努力してきたのに、あまりにもあっさり否定されると言葉が出ない。 すると、奥から駆けつけてきたのが水沢さんだ。彼女は俺と神崎さんの間に割って入り、懸命な形で訴える。 「神崎君、どういうつもり?こんな急に仕入れを切るなんて。うちのメニューはどうなるの?うちのレストランには吉川さんの野菜が必要なのよ」 … Read more

11 September 2026

Den před svatbou mi kamarádka řekla, že moje sestra je v Evropě. Myslela jsem, že se plete. Pak jsem otevřela Instagram a uviděla fotky své rodiny na dovolené – zatímco já jsem platila letenky a…

Den před svatbou mi zavolala Jessica, kamarádka z vysoké školy. „Věci se konečně dávají dohromady,“ řekla jsem jí. Pak se odmlčela. „Mimochodem, nepřijde na svatbu tvoje sestra. “ Zaváhala jsem. „Cože? Samozřejmě, že přijde. Měla by tam být celá rodina. “ „Vážně? Přísahala bych, že jsem dnes ráno viděla na Alexandřině Instagramu nějaký příspěvek. Vypadalo … Read more

11 September 2026

引っ越しの荷解きをしていると、義母が突然現れて「泊まってもいいわよね?」と当然のように言ってきた。私は笑顔で「どうぞ」と答えた。だって、今日から彼女の地獄が始まるんだから。7年間倉庫に眠っていた古い腕時計の裏側に、思いもよらない刻印を見つけたのは数日前のこと。義母が必死に隠してきた過去が、その時計に全て刻まれていた。彼女はまだ気づいていない。私が何を知っているのかも、誰と会ったのかも。今度は…

あの腕時計。あずさの結婚式のお返しにもらった腕時計のことを思い出す。もう7年も倉庫に放り込んだままだが、時計自体はいいものだった。中古品としての価値があるかもしれない。 私は倉庫へ急いだ。棚の中から例の腕時計を取り出す。ほこりをかぶっているが問題なさそうだ。安心した私は何気なく腕時計の裏側を見る。その途端言葉を失った。 嘘。これって… 時計の裏側にも思いもよらない刻印がある。義母に見せたらどうしてお前がこれを持っているんだと発狂するだろう。それはもう少し先のことだった。 話を戻すけれど、腕時計の裏側を見た私はあることをひらめく。うまくすれば義母をやり込められると思った。彼女が気づいていない。今がチャンスだ。腕時計をくれた人も私の役に立つと言った。 今度はあなたに苦しんでもらうわよ、お母さん。 復讐する覚悟を決める。しかし義母よりも悪い人間が身近にいることに私は気づいていなかった。 私は鹿原みさ、35歳。約10年前にヒトと結婚した。今では息子の翼も生まれ、恵まれた生活をしている。ただ1つ、義母の存在を除けば。 結婚前から分かっていたことだが、同居する義母は本当に性格が悪かった。服装や持ち物に文句を言われるのは日常茶飯事。私物を勝手に捨てられたことまである。さらに「これを使いなさい」と自分の古いブランドバッグを押し付けてくる始末。言っておくけれど、遠回しの優しさなどではない。「みさに私のバッグを譲ったから、新しいものを買ってもいいわよね」と義父に新作をねだるための口実だった。呆れて物も言えない。 自分勝手な義母とは離れてしまいたいと、最近の私は考えるようになっていた。同居という選択をしなければまだ良かっただろう。しかし私には断ることができなかった。理由は結婚の挨拶をした時に約束したからだ。 私がヒトと出会ったのは高校生の時だった。同級生の中でもリーダーシップがある人。当時は彼のことをそう思っていた。学校で話しているうちに次第に彼に惹かれていく。高校2年の時に私の方から告白して付き合うようになった。高校卒業後の進路は違っていたけれど関係は変わらないまま。私は就職し、彼は大学へ進学した。 プロポーズされたのはヒトが就職した2年後のことだ。彼は恥ずかしそうにこう言った。「高校の時から俺の結婚相手はみさって決めてた。いいかな?」「ええ、私も同じだから」互いに吹き出してしまったのはいい思い出だ。 ただ良かったのはそこまで。結婚の挨拶をするためにヒトの実家を訪れた私は現実を思い知らされてしまう。当日、玄関先で出迎えてくれたのは義母だった。彼女は私たちをリビングへ案内しながらこう聞いてくる。「随分と地味な子だけど、あなたがヒトのお相手?」「はい、みさと申します」「名前は聞いているわ。それと母子家庭の子だってことも」ニヤニヤする義母。妙な胸騒ぎを覚えた。 「うちの主人は社長よ。ヒトはその後と息子。それが分かっているのかしら?」「えっと、一応」「じゃあ家柄の違いも理解しているのね。安心したわ」嫌味な言葉が突き刺さる。悔しいけれど唇を噛みしめて俯いた。 そんな私の反応に気づいたのか、ヒトがフォローしてくれる。「母さん、言いすぎだよ。うちは普通じゃないか。家柄とか言うなよ。恥ずかしい」「あら、本当のことじゃない。母子家庭のこと、社長の息子では大変よ」 言われなくても分かっていた。プロポーズの直後、私もヒトに確認したくらいだ。けれど彼は笑ってこう答えた。「社長なのは父親で俺じゃない。もし反対されたら家を出ればいいだけだ」ヒトの言葉に背中を押されたのは事実だ。覚悟も決めていたはずなのに、どうしても反論できなかった。 黙っている私の代わりに彼が話を続ける。「みさのことを見下すだけなら帰るよ。いいのか?」「はい」「はい。ごめんなさいね。それで何だったかしら?」義母がわざとらしく間を置いた。よそを向いてこちらが口を開くのを待っている。「結婚の挨拶だよ。俺、みさと結婚しようと思っているんだ」「ああ、そうだったわね。そうね。結婚の挨拶にしては少しみすぼらしい格好じゃないかしら」じろじろと私を見てくる義母。やがて彼女は鼻で笑っていた。 「母さん、ちょっと失礼じゃないか」「そう。でもこんな時にスーツとか」義母が深いため息をつく。私は苦しさに視線をそらした。確かに結婚の挨拶ではワンピースなどが好まれると知っているけれど、手持ちの服の中に手頃な服がなかった。新しく買えば下だと勘違いされる可能性もある。色々と考えてスーツという選択をしたのだが、失敗だったようだ。 「スーツは別にいいだろう。きちんとしているし」「そうね。でも安っぽいからダメなのよ。うちの家柄に合うブランドのスーツならまあ良かったけど」義母がこちらを向いた。戸惑う私に彼女は聞いてくる。「そのスーツ、せいぜい5万円ってところでしょ。もう少しいい服を着なさい」「すみません」返す言葉もない。事実、私が着ていたのはセール品のスーツ。安くて3万円もしないくらいだ。 「とにかく結婚したらうちの家柄に合う格好をしてちょうだい。いいわね」「あ、はい」「それが分かったなら結婚は認めるわ」意外な言葉に驚きながら顔を上げる。義母は再びため息をついた。「ま、結婚はあなたたちが決めることだし、礼儀作法に問題はなさそうだものね」「母さん、ありがとう」「ただし服装と持ち物は家柄にふさわしいものにするのよ。みすぼらしい格好をしていたら親の私が恥をかくのだから」語尾がかなり厳しいところは少し気になる。ただほっとしたのは確かだ。 「結婚後は厳しくするわよ。覚悟はある?」「はい、よろしくお願いします」「いい返事ね。じゃあ同居しましょうか。私が鍛えてあげるわ」義母の口元が緩む。私は答えに詰まってしまった。ここで頷けばすんなりと結婚の挨拶は終わる。義母にも認めてもらえて結婚後の生活もうまくいくだろう。しかし、いきなり同居するのはハードルが高い。家柄の話をされたばかりだし、日々小言を言われるのは確実だった。 「どうしたの?返事は?」「あ、はい。頑張りますのでお願いします」私はそう答えるしかなかった。挨拶を終えた後、ヒトと一緒に彼の実家を出る。少し歩いたところで私は深いため息をついた。「ああ、やっちゃった」「ごめん。俺も助けを出す隙がなくて」「うん。ヒトは悪くないよ。私がつい同居にOKしちゃっただけだから」確実に後悔している。だがもう後戻りはできなかった。 そんな中で迎えたのが両家の顔合わせだ。参加するのは私の母と義両親。母子家庭のことで義母に馬鹿にされると私はビクビクしていた。しかし思いのほか顔合わせはすんなりと終わる。義母がしたのも当たり障りのない世間話ばかり。子供の成長は早いとか披露宴の会場はホテルにしたいとか、そんなことだった。最後には義母たちは3人で仲良くタクシーに乗って帰ったくらいだ。 ほっとした私は3人が乗ったタクシーを見送った後、ヒトに話しかけた。「お疲れ様、ヒト。多分うまくいったよね」「ああ、母さんが余計なことを言うんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたよ」互いに顔を見合わせて苦笑いしてしまう。そこでヒトが私にこう言った。「あとは結婚式だけど、少しは考えてる?」「うん。友達をたくさん呼びたいと思ってる」ヒトは笑顔で尋ねる。ヒトは少し考えながら答えた。「友達を呼ぶなら立食パーティーはどうだ?」「それ最高。そうしましょう」「会費制にすればご祝儀で困る人もいなくなるし」つい話し込んでしまう。私たちは顔を合わせた店の前で30分ほど立ち話をしていた。 そんな風に結婚式のアイデアを出し合っていたのだが、義母の一言で全てが水の泡となる。きっかけはヒトの家で結婚式の話をしていた時のことだった。「ヒト、いるんでしょ?」義母の声だと私は顔をしかめる。同じく険しい顔をしたヒトはゆっくりと立ち上がった。玄関を開けながら少しだけ強く言う。「母さん、急になんだよ。来る時は連絡くらい」「連絡ちゃんとしたわよ。あなたが出なかっただけじゃない」「出なかった?」不機嫌そうな顔でヒトは自分の携帯電話をポケットから出した。着信履歴を確認したのか、すぐにため息をつく。「なかったらどうするつもりだったんだ?」「いいんだから、それでいいじゃない。はい、上がるわよ」 勝手に上がり込む義母。部屋の中でくつろぐ私と目が合い、彼女は眉間にしわを寄せた。「あら、あなたも来ていたのね」「はい。結婚式の話をしていたところで」「ああ、ちょうど良かったわ。私も結婚式の話をしようと思っていたところよ」義母が部屋の隅にバッグを置く。中から書類の束を出しながら彼女は言った。「これ、結婚式の招待客のリストだから目を通しておいて」「え、招待客?」思わず目を丸くしてしまう。そんな私を義母は指さした。「少し考えれば分かるでしょ。結婚式は息子と嫁を披露する場よ。引き先の方を呼ぶに決まっているじゃない」 あまりの勢いに、とても意見できる雰囲気ではなかった。「とりあえず主な招待客のリストアップは終わっているから、あとはあなたが招待する親族の人数を教えてちょうだい」「親族って…友達はどうすれば?」恐る恐る尋ねる。反射的に義母は眉をひそめた。「友達なんか招待するの?貧乏人は邪魔なだけよ」 「貧乏人」という言葉にショックを受ける。私を馬鹿にするのはまだいいが、友達まで見下すのは到底許せなかった。カッとなった私はとっさに反論しようとする。しかし先にヒトが口を開いていた。「なんだよ、その言い方は。ひどすぎるぞ、母さん」「あら、本当のことでしょ?『友達を呼ぶ』って言葉知らないの?」にやっとする義母。ヒトはため息をつきながら言い返した。「そんなことを言ってもいいのか?みさの後輩には、うちの会社が契約している運送会社の社長嬢もいるんだぞ」「運送会社?本当なの?」義母がこちらを見る。私は静かに頷いた。「池本あずさと言いますが、聞き覚えはありませんか?」「池本?ああ、あそこね。大丈夫よ。招待客のリストに入っているわ」得意げな顔の義母は自分が出した書類の束の真ん中あたりを指さす。そこにはあずさの父親の名前が書かれていた。母親と彼女の名前もあるので3人を招待するつもりのようだ。 「ま、そのあずさって子は招待してもいいわ。でも他はダメ。そんなに友達を呼びたいなら2次会で呼びなさい。十分でしょ」「それで、あ、でも…」「あ、何か文句あるの?」義母の口調が厳しくなる。とっさに私は口をつぐんだ。その後は義母のペースで話が進む。気づいた時には彼女は結婚式のプログラムを語り始めていた。当然私たちの意見は聞いてくれない。決定事項を説明されていく。結局、私たちの結婚式というより、本当に義母たちが自分の息子と嫁を紹介する場になった。 ただ、いいことがあったのも確かだ。1つは結婚式の費用を全て義父が出してくれたこと。ホテルに併設されたチャペルで結婚式を挙げ、大広間で披露宴を行ったのだが、私たちは1円も払わずに済んだ。また義父は2次会の費用も負担してくれている。おかげで安い会費で多くの友達を呼ぶことができた。もう1つ良かったのは、親戚を呼ぶ際の送迎と宿泊施設を手配してくれたことだ。こちらの費用も全て義父の負担だった。遠方の親戚も呼ぶことができて本当に感謝している。 色々とあったけれど、総合的には満足できる結婚式になった。しかし素直に喜べていたのはそこまでだ。新婚旅行から帰ると地獄が待っていた。結婚の挨拶で約束した通り、新婚生活は義両親との同居から始まる。簡単に挨拶した後、私は部屋で荷解きをしようとした。すると、なぜか義母も一緒に部屋に入ってくる。私は慌てて声をかけた。「どうしたんですか?」「え?どうって、あなたの荷解きを手伝うのよ」義母は当然であるかのように話す。そんな彼女に私は困惑してしまった。「いえ、お母さんのお手を煩わすわけには…」「遠慮する必要はないわよ。それに不要品の処分もしないといけないから」ニヤニヤしている。私はゾッとした。 「ほら、あなたの荷物を出しなさい。必要かどうか私がチェックするから」結婚の挨拶をした時のことが思い起こされる。彼女が気に入らない服などは全て捨てられるに違いない。私はとっさに荷物が入ったダンボール箱を隠した。「だ、大丈夫です。1人でできますから」「は?あなたがチェックしても意味がないでしょ。うちの家柄にふさわしいかどうか、あなたの判断では不足じゃないの」義母が私の服を指さす。その時に来ていたのはカジュアルブランドのルームウェアだ。安くはないけれど高級感があるとも言い難い。「これはとにかく、そんな安物の服は捨てなさい。せめてハイブランドの服を買うこと」厳しい目で睨みつけられる。「でも、この服はカジュアルブランドの中でも…」「言い訳は必要ないわ。捨てなさい」ピシャリと言われ、返す言葉もなかった。結局、着ていたカジュアルブランドの服はもちろん、他の服と一緒に捨てられることになってしまった。 「まだ着れますし、もったいないので…」「だから何?数着ルームウェアとして残してもいいけど、普段着として着る服は新しく買いなさい。いいわね」念を押され、私は素直に頷いた。翌日、私は義母に繁華街へ連れて行かれる。向かった先はハイブランドの直営店だ。店の前を通ったことはあるけれど、中に入るのは初めて。恐る恐る店内を見回していると、義母が平気な顔で店員に話しかけていた。「あの子に似合う服を選びなさい。普段使いできるものがいいわ」命令口調がよく似合うと考えているうちに、店の奥へと連れて行かれる。さすがにハイブランドの直営店だけあって仕事が早かった。あっという間に10着ほどの服が選ばれ、義母が会計を済ませていた。「はい、これ。待って。次に行くわよ」「え、次?」思わず顔がひきつる。義母はため息をつきながら言った。「それは普段着。他にも訪問着なんかも用意する必要があるじゃないの?」「訪問着ですか?」「うん。そうね。まずは着物が必要ね。結婚式の場では着物ということも多いから。他にもドレスも必要だし」 頭が追いつかない。あちらこちらへ連れ回される日々が数日続いた。義母に必要だと言われると、私の方からは断れない。言われるがまま購入するだけだった。ただ1つだけ困ったことがある。実は買ったものの支払いが半々だった。手出しが半分とはいえ、高額の買い物ばかり。私の貯金はあっという間に底をついていた。 すぐにヒトに相談したのは言うまでもない。彼から義母に話してもらったが、義母は平然とこう答えた。「結婚の条件を忘れたの?」「あのなあ、条件だか何だか知らないが、不必要な買い物は控えてくれ。俺たちも結婚したばかりで貯金が少ないんだから」声を荒らげるヒト。それでも義母は取り澄ましていた。「悪いけど、これは必要な買い物よ。家柄にふさわしいものを持ってもらわないと私が恥ずかしいんだから」「俺は何度も聞いたよ。とにかく今後はみさに無理なことを言わないでくれ。これ以上余計な買い物をさせるなら、俺たちは出て行くからな」ヒトが断言する。さすがに堪えたのか、しばらくは買い物に誘われなかったけれど、それも本当に少しの間だけ。2週間ほどが経つ頃には再び義母から口を出されるようになっていた。 「みささん、あなたバッグは何を使っているの?」「えっと、今はこのトートバッグを…」社会人になった時に買ったトートバッグを今でも使っている。決して高級ではないけれど、丈夫で長持ちだったからだ。だがそれを見た義母はすぐに顔をしかめた。「ああ、何よ、その貧乏臭いのは」「そうですか。とても使いやすいですけど」「ブランド品を使いなさいと何度も言ったでしょ」無名のブランドでも優れているのは確かだ。高級ブランドのバッグに負けない品質だと思っている。しかし義母にはそんなことは関係ないようだった。「とりあえず私のバッグをいくつかあげるわ。当面はそれを使いなさい」「あ、はい」手渡されたのは海外の有名ブランドのバッグだ。傷もなく新品に近いと感じた。「いいんですか?高そうですけど」「いいわよ。みすぼらしいバッグを持ち歩かれるよりはね」ふんと鼻を鳴らす義母。そんなに見すぼらしいかしらと反論できない言葉が頭に浮かんでいた。ただ、有名ブランドのバッグをもらったのは正直嬉しい。中古でも十分に高額取引されているようなものだったからだ。 「お母さんって意外と優しいのかも」私はそんなことを呟いていた。けれど翌日、現実を見せつけられてしまう。ちょうどヒトが出勤した直後のことだった。同じように会社に向かう義父と義母の会話が玄関先から聞こえてきた。「ねえ、あなた」「なんだ、急に」何の話だろうと思いつつ、私は2人の会話に耳を傾ける。「昨日ね、みさに私が使っていたブランドバッグをあげたのよ。あの子、安っぽいバッグしか持っていなかったから」「そうか。それがどうした?」「だからね、新しいバッグ買ってもいいわよね」急に義母のおねだりが始まった。開いた口が塞がらない。「いいでしょ。みさにあげたバッグよりは安いものを買うから」「しかし、お前はこの間も買ったばかりで…」「何よ。私はね、あなたが恥をかかないようにみさにバッグをあげたのよ」義母が声を張り上げる。おそらく近所の人にも聞こえていると思えた。「おい、落ち着け。声が大きい」「仕方ないでしょ。声が大きいのは元々よ」義母は大声を出せば義父が折れると考えていたらしい。実際、すぐに彼は降参していた。「分かったよ。好きにしなさい」「あら、いいのね」「全く、お前というやつは」 どうやら私は都合よく利用されただけのようだ。腹が立つというよりも呆れていた。「優しいと思った私がバカみたいだわ」自己嫌悪に陥る。この日から私は絶対に義母を信じないと誓った。彼女に何か言われた時はまず疑ってかかるようにする。私はそれを徹底した。ちょっとしたことでも必ず疑う。さらに証拠を残すためにボイスレコーダーも肌身離さず持つようになった。 ただ録音されたのは義母の罵声がほとんど。「みささん、掃除と洗濯は任せるわ。これも嫁の仕事だからいいわよね」他に記録されていたのはこんなやり取りだけだった。後で聞き返してみると、私に家事を押し付ける発言が目立つ。私を怒るか仕事を押し付けるかの2択なのね。文句を言うべきなのだろうか。少し悩むところだった。 そんなある日のことだ。夕方、義父よりも先に帰宅した義母が私にこんな話をしてきた。「あなた、結婚前はジムの仕事をしていたのよね」「え、まあ」いぶかしく思い、顔をしかめてしまう。そんな私の警戒心を解くように義母は笑顔を作っていた。「ちょっと頼みがあるんだけど、聞いてくれるわよね」「頼み?何ですか?」「主人の会社の仕事を手伝って欲しいのよ」義父の会社は食品加工の会社だ。複数の工場があり、社員数は約100人。中小企業ではあるけれど、地元ではそれなりに有名だった。「工場で働けと?」「違うわ。ジムよ。特別にパート従業員にしてもらうから、やってくれるわよね」今でこそ義父は社長を務めているが、元々は彼も社員の1人だったそうだ。前任の社長が事故で行方不明になり、後継者になったのが義父だった。義母は当時から一緒に働いていたと言うけれど、細かい経緯はよく知らない。とにかく義父が社長で、義母とヒトは社員ということだった。 「ジムですか?それって給料は出るんですか?」1番大事なところがここだ。義母にブランド品を使うように指示されたせいで貯金がほとんどなかった。給料が出るなら減った貯金の穴埋めができる。「パートとして給料は出すわよ。当然じゃない」「それなら任せてください」「よかったわ。じゃ、明日から頼むわよ」義母は笑顔でそう言った。これが罠だと気づいたのは翌日のことだ。ヒトと一緒に出勤しようとした途端、義母が私を叱りつけた。「どこに行くのよ。朝食の片付けが終わっていないじゃない」「今日から仕事なんですよね。片付けは帰ってから…」「何を言っているのよ。仕事と家事は別じゃない。家事を済ませてから仕事に行くのが嫁の務めでしょ。分からないの?」はめられたと気づいたのはこの時だ。言い訳を考えるが何も思いつかなかった。「すぐに家事を終わらせなさい。遅刻は勘弁だから」「あ、はい」奥歯を噛みしめる。隣にいたヒトが話しかけてきた。「みさ、何か手伝おうか?」「あ、うん。それじゃあ…」言いかけたところで義母が口を挟んでくる。「夫に家事をさせる嫁がどこにいるのよ?」「すみません」今時夫婦で家事を分担するのは当たり前だと思っていたけれど、義母の中では違うらしい。仕方なく1人で家事を始めた。「じゃ、私は先に行くから、遅刻しないように出勤しなさいよ」「分かりました」返事をする前に玄関の閉まる音が聞こえる。とっさに足を踏み鳴らしていた。「何よ、本当にもう」怒りを吐き出すように叫ぶ。その後は家事に集中した。洗濯機を回し、朝食の後片付けをする。合間に掃除機をかけてから手早く着替えを済ませた。最後に玄関に鍵をかけて家を出る。幸い、会社の事務所は家から徒歩5分の場所だった。走れば遅刻せずに済む。私は久しぶりに全力疾走した。 会社に着いたのは始業時間の5分前。事務所では義母がニヤニヤしていた。「間に合ったようね。もう来ないかと思ったわ」「はい。初日から遅刻はできませんので」義母の嫌味を受け流す。そこへ義父が来た。「家の方は大丈夫なのかい?ゆっくりでも良かったのに」「ええ、まあ」先に行っておいて欲しかったと思いつつ、笑顔で頷く。「でも悪かったね。急に辞めた社員が何人もいて」詳細は聞いていないけれど、同時に3人の社員が辞めたそうだ。1人は工場で働いている人で、残りの2人が事務員だった。理由は親の介護や結婚などらしい。偶然退職が重なっただけのようだ。「とりあえずみささんには事務仕事を手伝ってもらいたい。大丈夫かな?」「はい。結婚前にやっていましたので」「それなら問題ないだろうね。でも今日は先に倉庫の整理を頼めるかな。先々のことを考えて、不要なものは廃棄しておきたいから」数日前、夕食の時に義父が話していたことを思い出す。生産効率を上げるために新しい工場を作ることになった。今は新工場の工事を確認しながらいつも通りの仕事もしている。だから本当に忙しいと彼は言った。「それって新しい工場ができるからですか?」念のために聞いてみる。義父は大きく頷いた。「ああ、そうだよ。色々と使う予定があるから、できるだけ早く頼む」「分かりました」「じゃあ後のことは彼女に聞いてくれ。私は新工場の方を見に行くから」そう言った義父が指さした先には若い女性がいる。彼女はすぐに立ち上がった。「初めまして。西村カレンです。ジムと社長を補佐しています」ゆっくりと近づいてくるカレン。手には書類を持っていた。「それは必要なもののリストです。まずはこれをピックアップして、残りの不要品をまとめて捨てるということのようです」とりあえずやることは分かった。「倉庫はこちらです。行きましょう」彼女に案内されて倉庫へ向かう。建物の北側、1番奥に倉庫はあった。中は少しばかりほこり臭い。書類や本が適当に積み上げられている。古いパソコンやディスプレイもあり、まさに倉庫という感じだった。「では、このリストを見ながら必要なものを集めてください。お願いします」「分かりました」カレンからリストの半分を手渡される。1つ1つ確認しながら私は必要なものを集めていった。 そうして30分ほどが経った頃だろうか。何気なく開けた書類棚からアルバムが落ちてくる。「うっ」私は慌てて飛びのいた。すぐにカレンが駆け寄ってくる。「大丈夫ですか?」「ええ、避けたので」落ちてきたアルバムを拾い上げる。そこには古い写真が挟まっていた。「昔の写真のようですね。会社の門の前で社員が整列している」記念写真のようだが、中央には見知らぬ男性がいた。「この人が社長かしら?」「前の社長じゃないでしょうか。あら、隣に鹿原社長がいますし」よく見ると中央の男性の隣に若き日の義父が立っている。背後には義母らしき女性も確認できた。写真の下には「創立20周年記念」という文字が書き込まれている。会社にとっては貴重な資料になると思われた。「取っておくべきですよね、これ」「前の社長は創立20周年の記念旅行中に事故で行方不明になったそうなので、これは貴重な写真かもしれませんからね」事故で行方不明だとは聞いていたが、創立記念の旅行中だったというのは初耳だ。写真を裏返す。そこには「佐野正弘社長と社員一同」と記載されていた。「じゃあ、これはテーブルの上に置いておきますね」カレンに声をかけてから写真をアルバムに挟み直す。その後は黙々と作業を続けたのだった。 初日の仕事は倉庫整理だけで終わる。かなり時間はかかったが、必要なものは全て集まっていた。次の日からは普通に事務を任される。ジムと秘書を兼任するカレンと手分けをして仕事をした。ただ彼女は随分と忙しそうにしている。社長である義父のスケジュール管理なんかもしているから、私よりも仕事が大変なのは確かだ。義父が出かける時は同行する必要もある。そのせいか、1週間が経つ頃には彼女とも打ち解け、休み時間に仕事の愚痴を聞かされることも増えていた。「みささんが来てくれて本当に助かっているわ」「そんな、私なんてただのお手伝いですよ」「全然、十分に戦力になってるわよ。あの人に比べれば」カレンの視線が遠くに飛ぶ。その先には義母がいた。言われてみれば義母が仕事をしているところは見ていない。来客の際にお茶を出していたくらいか。専務に連れられて工場の視察へ行ったことも知っている。しかし実際に何の仕事をしているのかと問われても答えられなかった。「そういえば、お母さんは…」「ダメよ。それ以上は余計なことを言うとまた怒られるわ」「そうね」2人でこっそりと笑い合う。そんな私たちに気づいたのか、義母がこちらに声をかけてきた。「楽しそうね、あなたたち」「あ、いえ、ちょっと…」適当にごまかす。義母は不機嫌そうに顔をしかめた。「ちょっと、何がおかしいの?」「えっと…」うまい言い訳が思いつかない。困っているとカレンが助けてくれた。「みささんが奥様に素敵なバッグを頂いたという話をしてくれていて」「ああ、あれね。私のお古だけど、高級ブランドのバッグだから」得意げに語り始める義母。その様子を横目にカレンは私にささやいた。「平気?」「ありがとう。助かったわ」あ、ウインクだけで意思疎通を図る。それで十分だった。 ひとしきり義母が話したところで、不意に私の携帯電話が鳴る。急に真顔になった彼女は不機嫌そうに言った。「誰から電話かしら」「あ、えっと」慌てて確認すると、相手はあずさだった。どうやらメールを送ってきたらしい。「すみません。あずさでした」「あず?どこの誰よ」むっとした義母が睨みつけてくる。私は視線をそらしながら答える。「後輩です。高校の時の…」「お友達とメール?それ、いい大人が仕事中にやることなの?」義母の小言が始まった。「あ、でもあずさは取引先の社長令嬢なので、仕事の関係かも」たまらずそんなことを口走ってみた。途端に義母の顔色が変わる。「取引先の…あ、前にもそんな話をしていたわね。確か運送会社の…」「ええ、そうです。だから仕事の関係かも」ごまかすように言って、私はさっとメールの内容を確認した。「どうせ大したことじゃなかったんでしょ」「あの…結婚するんです、彼女」「結婚?」義母がとんでもないという顔をする。しかし次の瞬間には難しい顔になった。少し考えてから彼女は私にこう告げる。「結婚するならご祝儀が必要ね」「ええ、私も頂いているので、きちんと渡すべきだと思います」「そうね。勝手にしなさい」ふんと横を向く義母。私は安堵した。取引先の社長令嬢だからとか関係なく、あずささんにはお祝いをあげたい。大事な後輩であり、大切な友人の1人だから。きっとヒトも同じ気持ちだろう。「じゃあ、彼女の結婚式には出てもいいですか?」「うん、当然よ。ただし条件があるわ」「条件?」とっさに聞き返す。義母は笑いながらこう言った。「主人からもご祝儀を出す方がいいわよね」「ええ、まあ、お父さんたちも結婚式に呼ばれると思いますので」「じゃあ、それあなたが用意しておいて」突然のことに言葉を失ってしまう。「どうしたの?返事をしなさい」返事を促されて我に返った。慌てて言い返す。「あの、どうして私がお父さんたちの分のご祝儀まで用意するんですか?」「あなたの後輩なんでしょ?立て替えるくらい問題ないじゃないの」「後でちゃんといただけますよね」念のために確認した。途端に義母は険しい表情になる。「私を疑っているのかしら?これだからお金に汚い貧乏人は、全く」さすがにむっとした。「すみません。お金に汚くて。でも、そんな言い方をすると、お母さんの方がなんだかケチ臭い感じがしますよ。違いますか?」「なんですって?あなたは言われた通りにすればいいのよ」怒鳴りつけられてしまった。仕方がないので素直に従う。「分かりました。とりあえず私が用意しておきます」「全く、最初からそう言いなさい」義母は肩で息をしていた。多分だが、私が会社名義で払ったご祝儀は帰ってこない。そう思った理由は、彼女と義父の話を聞いてしまったからだ。 2人が話をしたのはその日の夜。食事を終えた義母は、私が後片付けをしている間に義父にこう告げる。「今日、みさから聞いたんだけど、池本社長の娘さんが結婚するそうよ」「池本?ああ、運送会社の…」「そう。ご祝儀が必要だから用意しておいてくれる?」平然と嘘をつく義母。義父はそんな彼女の話を信じていた。「そうだな。相場は3万から5万くらいか」「そうね。十分だと思うわ」「分かった。じゃあこれで足りるな」自分の財布から数枚のお札を出す義父。そのままテーブルの上に置いた。「え、ご祝儀袋は私が用意しておくわ」「あ、任せるよ。ところで結婚式はいつなんだ?仕事の方も都合がつけばいいんだがな」「正式な招待はまだ届いていないのよ。まあ、無理だったら私とみさだけで行くわ。大丈夫よね」「それで…」義母が確認する。少し考えていた義父だったが、すぐに軽く何度か頷いていた。「そうだな。もしもの時は任せるよ」「え、分かったわ」 そんなやり取りがあったようだ。補足しておくが、直接聞いたわけではない。録音された音声データを確認しただけ。2人が話していたリビングのテーブルの下に私は上着を置いていた。その中に偶然入っていたのがボイスレコーダーだ。普段から持っていたもので、録音する時にスイッチを入れていた。全てが偶然とは言わない。以前、義母は私に罪を着せてバッグをねだったことがある。だからこの時も何かあるかもしれないと思い、証拠の録音用に準備していたボイスレコーダーのスイッチを入れていただけだ。本当にいい録音ができた。 あずさから結婚式の招待が届いたのはその数日後のことだ。式の日は半年ほど先になっていた。土曜日だったのだが、義父は少し残念そうにする。「おお。この日はイベントだ。東京に行く予定になっている」「じゃあ私とみささんの2人で行くわ」「悪いな。頼んだぞ」こうしてあずさの結婚式には私と義母の2人で行くことになった。義母というのが少し不安だけれど、大切な後輩であるあずさの結婚式だから欠席は考えられない。何事もありませんように。私はその一心で当日を待ちわびていた。 やがて時は立ち、結婚式の当日が訪れる。会場へ向かうタクシーの中、義母が私に手を出してきた。「みささん、あれ、出して」「あれ?何ですか?」「ご祝儀よ。あなたが準備するように言っておいたでしょ」そうだったとため息をつく。義父からご祝儀を預かっていたことは分かっていた。しかし録音した音声で聞きましたとは言えない。「これ、5万円が入っていますので」しぶしぶお金が入った封筒を渡した。義母は中身を確認した後、バッグに入れていた豪華なご祝儀袋を出す。「あなた、自分の分は用意しているのよね」お金をご祝儀袋に入れながら義母が聞いてきた。当然だと心の中では鼻で笑ってしまう。ただ表面上は取りつくろった笑顔で答えた。「はい。3万円ですが」「少ないのね。それでいいの?」「はい。お母さんたちよりも多くは出せませんから」適当なことを言っただけだが、義母は気分を良くしたようだ。「なかなか分かってきたじゃない。その調子よ」ヘラヘラと笑う義母に無言で頷いておく。余計なことを言ってしまいそうだったからだ。 話すうちにタクシーが会場へ着いた。受付を済ませ、結婚式が執り行われるチャペルに足を踏み入れる。広くはないけれど、とてもいい雰囲気だった。「なんか狭いわね。もう少しお金をかければいいのに」小ばかにする義母の言葉にカチンと来る。本当は言い返したかったのだが、お祝いの場で喧嘩をするのはためだ。私は聞こえないふりをしていた。しばらくすると結婚式が始まる。誰もが羨むような式の後は披露宴となった。場所を移し、披露宴の開始を待つ。案内された席は義母と一緒だった。あずさが気を使ってくれたのだろうが、少し居心地が悪い。落ち着かず、ついバッグの中の携帯電話に手を伸ばしてしまった。その時、義母が私の左手を強く掴んだ。「何ですか?」「あなたの腕時計は何?」ふと視線を左手に向ける。この日はあずさの結婚式ということもあり、彼女とお揃いで買った時計をつけていた。これは彼女との思い出の時計で…。「そんな話をしているんじゃないわよ。これ、安物でしょ」確かに高価な腕時計ではない。可愛いピンク色で、値段は1万円くらいだ。「何度も言ったわよね。安物を身につけると私が恥をかくって」「すみません。でも今日だけは…」「ダメよ。外しなさい」強引に時計を引っ張る義母。まずいと思った瞬間、ベルトの部分が切れてしまった。「あっ」「すぐに外さないからよ」「でも、ベルトが切れたならちょうどいいわね。ふふっ」義母が笑ったところで、テーブルの上に腕時計が落ちる。私はそっと拾い上げた。「どうしてくれるんですか?大切なものなんですよ」「は?そんなこと私が知るわけがないでしょ」知らん顔をする義母は視線をそらし、こちらを見ようともしない。さすがに堪忍袋の緒が切れた。絶対に仕返しをしてやると心に誓いながら腕時計をバッグに入れる。「この件、お父さんに報告しますから」「ど、どうして?」義母は急に慌て始めた。傲慢な彼女でも義父には弱いらしい。「当たり前じゃないですか。私とあずさの思い出の時計なんですよ。彼女が気分を害したら、今後の仕事に影響が出るかも」義母は懸命に弁解しようとしているが、うまく言葉になっていない。やがて言い訳を諦めたのか、義母は深いため息をついた。「あ、まあ、今回のことは事故だったのよ。ベルトくらい修理すればいいことじゃないの」よくわからない形の同意を求めてくる。私は厳しい視線を彼女に向けて、ここぞとばかりに言った。「じゃあ修理費用はお母さんが出してくれるんですか?違いますよね」「お、その、ほら…」「やっぱり帰ったらお父さんに報告します」上目遣いに顔を背けた。途端に義母は猫なで声を出す。「その修理費用は渡すから、主人には何も言わないでね」その瞬間、私はあることに気づいた。義母は腕時計を壊した件を告げ口されるのが怖いわけではない。話が今日のご祝儀に及ぶのを恐れているのだと。義父にお金を着服した件がバレれば、おそらくは怒られる。なんとしてもそれだけは避けたいと思っているようだ。 ただ私としてもそういう展開は本意ではない。仕返しをするならもっと豪快にやりたいからだ。お金の件を告げ口してその場限りの失点で終わらせるのはもったいないと考えていた。「分かりました。帰ったら修理に出しますので」「うん。は、請求して。それで終わり。いいわね」念をすように言ってくる。私はしぶしぶ頷いた。ほどなく披露宴が始まる。本当に良かった。あずさも幸せそうで、私までほっこりしたくらいだ。ただ、私と義母のトラブルを誰かに聞かれたようで、披露宴の直後にあずさからこんなメールが届いた。「先輩、お母さんとのトラブルは大丈夫ですか?」誰に聞いたのかしら?首をかしげつつ返事を送る。内容はこうだ。「トラブルは解決したのだが、2人で買った腕時計が壊れた。修理に出すけれど、すぐに治ると思う」しばらくするとあずさから返信が届いた。「安心しました。よかったわ」心配かけなくて。 翌日、腕時計の修理を依頼するため、街にある時計屋へ向かう。ベルトが切れただけだから簡単に直せると言われた。その場でよく似たベルトに交換してもらう。時計自体が高くなかったこともあり、費用は3000円で済んだ。元通りとはいかなかったけど、十分よね。綺麗になった腕時計を左手につけてみる。しかしまた同じような目に合うのは嫌だったので、これが最後だと心に誓った。帰宅後はすぐに時計を棚にしまい、それから義母に領収書を渡した。嫌そうな顔をしていた彼女だが、義父に話すと言った途端、大人しくなる。しぶしぶだったけれど、自分の財布から3000円を出してくれた。 そんなことがあったあずさの結婚式から約1週間後、会社に彼女が尋ねてきた。手には小さな紙袋を持っている。「どうしたの?あずさ、こんなところまで」「結婚式のあれですよ、先輩。社長さんにもご挨拶をと思って」あずさが紙袋を持ち上げる。その瞬間、どこからか義母が飛んできた。「あら、いらっしゃい。この間の結婚式は本当に良かったわ」「ありがとうございます。あの、これ、お礼です。カタログギフトですが」言い終わらないうちに義母はさっと取り上げる。中身を手早く確認してから再び微笑んだ。「ありがとう。気にしなくても良かったのに」「いえ、社長にもよろしくお伝えください」「ああ、そうね。話してくるわ」言うが早いか、義母は自分と私の分のカタログギフトを手にする。止めようとする私を振り切り、彼女は社長室の方へ走っていった。「ちょっと、私の分まで…」「すみません。持っていかれましたね」全く、本当にあの人は…。色々と言いたいが言葉にできない。文句を口走ってしまいそうだったからだ。とりあえずごまかすようにため息をついた。「大丈夫ですか?」「いいのよ。もう慣れたわ」「じゃあ、先輩には特別にこれを」あずさが紙袋から小箱を出す。蓋を開けると、中には古い腕時計が入っていた。「何これ?」「時計です。先輩の時計が壊れた時のことを会場で見ていた人が、どうしてもこれを先輩にあげて欲しいって」見る限り男女兼用の腕時計だ。ただどうにもデザインが古い。傷もあるし、私が使うのは…という感じだった。「先輩の役に立つだろうからって、もらってあげてください」「そうね。ありがたくいただくわ。使うかどうかは別の話だ」相手が誰かは分からないけれど、気持ちだけはもらっておこう。私はそっと蓋を閉じた。 さて、古い腕時計をもらったのはいいが、置き場所には困る。変な場所に置いていると義母が捨ててしまうからだ。仕方がないので、私は物置き代わりに使っている2階の部屋に隠すことにした。物置きには妙な焼き物や古い本などが山積みになっている。あまり掃除しないからかなりほこりも溜まっていた。「ここならお母さんも入らないから大丈夫よね」物置きの1番奥の棚を開く。中には昔のアルバムなどが入っていた。そこにもらった腕時計をしまい、「ごめんね。こんなところで」と呟いた私はそっと棚を閉めた。いずれは別の場所へ移そう。最初はそう考えていたのだが、すぐに忘れてしまった。理由は妊娠が判明したからだ。つわりもひどく、義父が「病気なのか?」と疑うくらいだった。「本当に家事もできないのか?」疑いの目を向けられる。その時、なぜか義母が私をかばう。「男のあなたにはつわりの大変さが分からないのよ。でも、いい加減にしなさい。この機会に妊娠出産がどれだけ大変か、あなたもヒトと一緒に勉強することね」さすがの義父も言葉の根も出ない。私は義母のおかげで妊娠出産を無事に終えることができた。 息子の翼が生まれた後は以前に逆戻り。家事と会社の仕事を押し付けられる日々となった。子育ても重なり、私は疲労困憊。翼が7歳になったのを機に同居を解消することにした。最初はしぶっていた義母だが、義父に説得されて最後には頷く。引っ越しを自分たちで賄うことを条件に認めてくれた。「とりあえず不要品を売るのが1番よね」私が売れるものは、義母に買えと言われたブランド品の数々。使っていないものがあるから、それを売れば多少はお金になる。他には…と考えてはたと気づいた。あの腕時計。あずさの結婚式のお返しにもらった腕時計のことを思い出す。もう7年も倉庫に放り込んだままだが、時計自体はいいものだった。中古品としての価値があるかもしれない。 … Read more

11 September 2026

Mia sorella mi ha chiamato alle 6:28 del mattino per dirmi che papà era morto. La sua voce era gelida: “Ha lasciato tutto a me e a Braden. Tu non riceverai niente. Punto.” Sentivo suo marito…

Erano le 6:28 del mattino. Il caffè era ancora caldo, il pane tostato era sul tavolo e mio padre mi stava rubando una fetta di pancetta dal piatto, sorridendo come faceva sempre. Due minuti dopo, il telefono iniziò a vibrare. Sul display comparve un nome che non vedevo con piacere da mesi: Simona, mia sorella. … Read more

11 September 2026

Stavo solo facendo il mio lavoro quando ho visto quel tipo umiliare uno sconosciuto davanti a tutti, con la telecamera del telefono accesa e un sorriso crudele. Nessuno diceva nulla. Tutti…

Il foglietto della prenotazione cadde a terra in due metà strappate, e Madelyn Whlock lo schiacciò sotto il tacco con un sorriso capace di far sanguinare. «Questo tavolo è per chi appartiene davvero a questo posto», annunciò verso la telecamera accesa del suo telefono. Il bracciale di diamanti catturò la luce del lampadario mentre suo … Read more

11 September 2026

Zehn Tage vor meiner Abschlussfeier rief mich meine Mutter an den Küchentisch. Lasagne, Knoblauchbrot, ihr berüchtigtes „Wir müssen reden“-Gesicht. „Amber fühlt sich ausgegrenzt“, sagte sie. „Wir…

Meine Eltern sagten meine Abschlussfeier ab, weil meine Schwester es nicht ertragen konnte, nicht im Mittelpunkt zu stehen. Ich packte meine Taschen und ging, und sie erfinden weiterhin Geschichten darüber, warum. Das Lasagneabendessen hätte mich warnen sollen. Meine Mutter kocht Lasagne nur in zwei Situationen: wenn sie etwas zu feiern hat oder wenn sie etwas … Read more

11 September 2026

Beim Sonntagsessen fragte meine Schwester ganz beiläufig, ob ich immer noch in der Remise wohne. Ich sagte ja, bis ich etwas Eigenes finde. Sie lächelte: „Die wäre perfekt für mich als…

Meine Eltern sagten mir, ich solle die Remise hinter ihrem Haus zu meinem Zuhause machen. Sie sagten es mit warmen Worten, und ich glaubte ihnen. Ich habe das alte Gebäude entkernt, neue Leitungen gezogen, den Boden begradigt, Fluchtfenster eingebaut – alles mit meinem eigenen Geld und meinen eigenen Händen. Ich bin Zimmermeister, das ist mein … Read more

11 September 2026

Mia madre mi ha mandato una foto di mia sorella sorridente nel soggiorno di casa mia, con la didascalia: “Sorpresa! Ho dato le chiavi a tua sorella per stare lì qualche tempo.” Peccato che avessi…

Ero a Miami, a chiudere contratti, quando il telefono ha vibrato con un messaggio di mia madre. Una foto di Amanda sorridente nel soggiorno di casa mia, con la didascalia: “Sorpresa! Ho dato le chiavi a tua sorella per stare lì qualche tempo. ” Il sangue mi si è gelato. Ho chiamato subito. “Mamma, cosa … Read more

11 September 2026

Mia figlia mi ha fatto disdire l’invito al suo matrimonio 13 ore prima della cerimonia. La wedding planner mi ha chiamata con voce tesa: “Temono che la sua presenza possa disturbare l’armonia…

Il telefono squillò alle 22:12 di un venerdì di giugno, tredici ore prima del matrimonio di mia figlia Chiara. Ero in cucina, con le buste paga dello staff ancora aperte sul tavolo. Dall’altra parte, la voce di Serena, la wedding planner, era tesa, cortese in modo forzato. Mi disse che Chiara e la futura suocera … Read more

11 September 2026

Mio fratello mi ha consegnato un braccialetto rosso davanti a 114 ospiti, dicendo che la sicurezza doveva sapere chi non contava. Mia madre mi ha chiamata “famiglia di sfondo” e mio padre mi ha…

Mi chiamo Elena Marsh e ho 29 anni. L’8 giugno doveva essere la festa trionfale per la laurea di mio fratello minore Derek, un master in economia pagato interamente dai nostri genitori, celebrato nel locale più esclusivo della città, sul tetto della Skyline Tower. Quello che la mia famiglia non sapeva, mentre mi consegnava un … Read more

11 September 2026